ドイツ代表GKでハノーヴァー96所属のロベルト・エンケ選手が11月10日、列車にはねられ亡くなりました。同日、遺書が発見され自殺であったことが判明しました。32歳でした。

[日刊スポーツ- 独代表GKエンケ氏自殺 列車に飛び込む 11/12/2008

原因は長年患ったうつ病だとされ、スポーツと生活に影響を出さないよう、公にはしていませんでした。ドイツにはカーン、レーマンという二人のゴールキーパーが長年ゴールを任されており、エンケは97年に初召集されて以来、ビッグクラブでプレイしながら正GKのチャンスを待っていました。2008年の欧州選手権後にレーマンが引退し、やっとその機会が巡ってきた矢先の出来事でした。

心臓など身体器官の異常により突然選手が死に至る場合が過去にあります(2003年カメルーン代表のマルク・フォエ、2007年セビージャFCのプエルタ)。また、ストレスなどが原因のうつ病により、若くしてサッカー人生から引退する選手もいます(バイエルン・ミュンヘンのダイスラー)。しかし、エンケは自ら命を絶つことを選択しました。何故、彼がこのような選択をしたのか、永遠に答えの見つからないであろう問いが頭の中を駆け巡り、ドイツ発のニュースを知れば知るほど1サッカーファンとして動揺してしまいました。

ドイツサッカー協会のテオ・ツバンツィガー会長は、「サッカーが人生のすべてであってはなりません。少しの慈愛や信じる勇気、人々の尊厳に対する更なる理解を(ファンに対して)私は望みます」と弔辞を述べ、選手が日常的に直面している重圧にさらなる理解を示すようファンに訴えた。(AFPBB News – エンケの追悼式 選手やファンが最後の別れ

くしくも同日10日は、ベルリンの壁崩壊から20周年の日でした。エンケは現ドイツ代表キャプテンのミヒャエル・バラックと同じ東ドイツ出身の代表選手でした。また、ドイツ選手には珍しく、海外チームに移籍し、それもバルセロナやベンフィカなどいわゆるビッグクラブでプレーしてきました。ここまでサッカーのことを考えて、人生のすべてをサッカーにそそいできたエンケにとって、最終的にサッカーは命の支えには成らなかったのかと思うと、毎週末の試合で勝った負けたで騒いでいる自分の浅はかさを改めて考えさせられると共に、サッカーが結局彼を救えなかったという思いでむなしくなります。

これからサッカー協会やチームはメンタルケアだ、メディカルだと騒ぐでしょう。しかし、もっと大事なのはサッカーファンがもっと理解をしめしてあげることが選手にとって安心してサッカーに集中できることではないでしょうか。もうこんな形で将来有望な選手を失いたくはありません。

ご冥福をお祈りします。

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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