フライシャー兄弟(マックス・フライシャー監督、デイブ・フライシャー製作)が1941年(69年前)に作った長編アニメ映画「バッタ君町へ行く」を渋谷のシネマ・アンジェリカで見てきました。この映画は1930-40年代のアメリカでアニメーション制作が黄金時代を迎えていた時期に、ディズニーの最大のライバルと言われたフライシャー・スタジオが世に送り出した最後の作品。フライシャー・スタジオはポパイのアニメーションやべディ・ブープなどキャラクター映画を作ったり、ロトスコープという実際の人間の動きをベースにアニメーションにトレースする技術を発明したり、アニメーションの基礎を築き上げた先駆者集団。ロトスコープは知っていたけれど、フライシャー・スタジオの歴史とかは知りませんでした。ディズニーは同時期に長編映画「白雪姫」が大ヒットしてその地位を不動のものにしたが、フライシャー・スタジオはこの映画が興業的に成功せずにその活動に幕を下ろすこととなってしまった。

先週日曜日の東京FM「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」にゲスト出演したエヴァの監督の庵野秀明監督も観て損はしない、と語っていました。監督はアニメーターとしての意見でしたが、同じくこの映画をプッシュしている宮崎駿監督もアニメーターとして純粋におもしろいと言っています。それを聴いて、古いアメリカのアニメ映画を観る機会はめったにありませんし(しかも劇場で)庵野監督が推薦するならと思って、友人のT氏を誘い見に行く過程にいたりました。

この映画は絵もストーリーも良くできているが、キャラクターの動きに圧倒させられる。画面上で常に何かが起こっていて、それが見ていても伝わってくる。もっと言うと、主人公達は虫なので人間や人工物につぶされないように逃げて走りまわっているのだが、サイズが小さい分だけ走り回らなければならないし、その走る動作や必至になっている仕草が常に画面上で見えるから、見ていて隙がない。かといって重苦しいわけではなく、アニメーションらしいコミカルさやスラプスティック的な要素が見られる。庵野監督や鈴木氏はそのキャラクターが動き回ることを「Mob」とラジオでは言っていた。今のアニメ映画ではなかなか見られないシーンです。これだけキャラクターが走り回るダイナミックな動画は、製作者も楽しみながら作っていたのかなと思ったりします。「ロード・オブ・ザ・リング」の戦いのシーンを想像していただければ。というより一度見た方が理解できると思います。ですので、おススメします!

最後のセリフがかなり強烈だった!

後でネット見ていたらデイブ・フライシャーはスタジオ解散後にユニバーサルに移って、実写映画のスペシャル・エフェクトを監督していたとあった。ヒッチコックの「鳥」(1963年)にも参加していた。

ロトスコープを使うアニメーション監督のラルフ・バクシの映画を年末に何本か見ていたのも予習になった(Heavy Traffic、ウィザード、アメリカン・ポップ)。バクシの作品はストーリーが物凄くファンタジー寄りなのでアニメーション映画としては面白い。
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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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