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我が道を往くエリカ・バドゥ (@fatbellybella)の新アルバムニュー・アメリカ・パート・ツー (リターン・オブ・ザ・アンク)NEW AMERYKAH PART TWO (RETURN OF THE ANKH)」(iTunesリンク)は2008年の前作「ニュー・アメリカ・パート・ワン(4th ワールド・ワー) New Amerykah Part One (4th World War)」(iTunesリンク)の続編という位置づけですが、実際はシリーズアルバムとは違う作りになっている。新作PVの全裸撮影で起訴され、同ビデオはYoutubeでは再生規制がかけられるというバズも作ってしまう新作は、フィーリングに任せて曲作りをやってみたら自然と多彩なサウンドができたアルバムだと思う。そんな多面性は「パート・1」の荒々しさに代わり、丸くなった音楽観でアルバム全体を仕上げている。抽象的で、カテゴリーに捉われない曲構成だけど、気負いが一切ないカラフルなサウンドに満ちている。

シルビア・ストリプリンの名曲ファンク(ロイ・エアーズ作)「You can’t Turn Me Away」のカバーや、エディ・ケンドリックスの70年代ソウル「Intimate Friends」のサンプルを、オリジナル以上にスムースなメロディーに乗せて歌い上げていたり、聴く度にもう一度さらにもう一度と繰り返し聴きたくなる魅力を感じさせる。個人的に「Window Seat」の、特にピアノのリフとミッドテンポのリズムが印象的で好きな曲です。このアルバム単体でもお薦めしたいが、さらに良いのは前作「パート1」と併せて聴いたら、ソウル、ファンク、ヒップホップを詰め込んだエリカ・バドゥの音楽性から、春到来を感じさせるような柔らかく温かいエネルギーを感じられると思う。

「マイルス・デイビス、エリカ・バドゥと共演」もしマイルスが生きていたら、そんな見出しが出てもおかしくない。二人には共通点が多い。メジャーレーベルに所属し、バンドリーダーで作曲家でもあり、ファンキーで実験的な音楽を常に作り出す。昔やったことにはこだわらず、音楽を進化させる。フィーリングが重要なインプロヴィゼーションの強い音楽表現が感じられる二人には、間切れもない音楽の革命家という印象がある。

エリカ・バドゥは『モダン』である。耳触りの良い音楽フォーマットに納まろうとはせず、聴き手にも常にチャレンジ的な音楽の耳を求めている。原色に忠実で、アドリブに必要な要素にまで作りこんだサウンドは、時には1コーラスやフレーズでも楽曲として構築される。アイデアが生まれ、詩が生まれ、ビートが生まれる、この即興的な側面から生まれる曲は、一般的にグループ分けされる「ソウル」「R&B」よりもむしろ「ジャズ」とくにビバップに近いアプローチだと思う。内側からのエネルギーを軸に音楽を拡大していった結果、ジャンルやルールといった束縛から解放され、表現方法を追求している音楽に仕上がっている(トラック11:Out My Mind, Just in Time)。これが今回の新作を聴きながら、ふと同じモダニストのマイルスを連想してしまった理由です。マイルスも、ここでは70年代前半の、より高い音楽性を求めてジャンルレスで活動していた時期で、楽器をいろいろ入れ替えたりロックバンドとツアーをしていた時期でもあった。だからこそジャンルを超えた影響を長年に渡り与え続ける理由かと思う。エリカ・バドゥも同じようにジャンルや時代を超えて(QuestloveやJames Poyserとの長年の制作チームに加え、Madlibや9th Wonderがプロダクションに参加したのも、新しい「血」を入れるため?)、記憶に残るメロディーを残してくれる。

トラックリスト:


1. “20 Feet Tall”  Erykah Badu, 9th Wonder 3:25
2. “Window Seat”  Erykah Badu, James Poyser 4:50
3. “Agitation” Erykah Badu, Shafiq Husayn of SA-RA Creative Partners 1:33
4. “Turn Me Away (Get MuNNY)” Erykah Badu, Karriem Riggins 5:26
5. “Gone Baby, Don’t Be Long”  Erykah Badu, Ta’Raach 4:39
6. “Umm Hmm” Erykah Badu, Madlib 3:45
7. “Love”  Erykah Badu, J Dilla 6:02
8. “You Loving Me (Session)” Erykah Badu 1:04
9. “Fall in Love (Your Funeral)”  Erykah Badu, Karriem Riggins 6:06
10. “Incense” (featuring Kirsten Agnesta) Erykah Badu, Madlib 3:27
11. “Out My Mind, Just in Time”  Erykah Badu, Georgia Anne Muldrow


4/16 ZEPP TOKYO  開場 19:00 / 開演 20:00
4/17 横浜ベイホール 開場 18:30 / 開演 20:00

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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