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photo via Zimbia

新アルバムのリリースが7月に迫る音楽テロリスト、イギリス出身のスリランカ人アーティストM.I.A. (@_M_I_A_)が、ニューヨークタイムズの5月25日付け記事に対して取材と記事の内容が異なったことに立腹し、ツイッターでインタビューを行ったジャーナリストのリン・ハーシュバーグ女史の携帯番号をつぶやき、インターネット上から対話を求めてきました。さらに、MIAはインタビューの録音を自身のレコードレーベル「N.E.E.T.」のブログに掲載、記事の内容とインタビューが異なっていたことを主張し、また同日にはジャーナリスト、人種差別、政治、アメリカなどへ向けた痛烈なメッセージを歌った新曲「I’m a singer」をサイト上で公開しました。

 
インタビュー記事:M.I.A.’s Agitprop Pop (New York Times 5/25)

 
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妊娠中に出演したグラミー賞や億万長者の夫とビバリーヒルズで暮らしながら政治的発言を繰り返しているなど記事の引用がインタビューと歪曲していたこと、スリランカの内戦に対するMIAの主張が異なって掲載されたことで (The Ten Harshest Parts of Lynn Hirschberg’s M.I.A. Profile (Vulture 5/26))、自身のイメージが不適切に扱われたとMIAは怒り、ハーシュバーグの携帯番号をTwitter上でつぶやき、同日には、「週末には真相を明かす」と新たにTweetしてきました。
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そして予告通り30日に、NEET Recordingsのブログに編集前のインタビュー音声クリップを公開し、新曲「I’m a singer」も発表。さらに、以前からニューヨークタイムズとは不和状態にあったMIAは(タイムズが、スリランカで行われている処刑を報道した2日後に「旅行」セクションでスリランカを「Places to go in 2010」に選出したことで、MIAはスリランカ人の死体写真をTwitterに載せて反論しました)、スリランカに関するつじつまの合わない過去記事を掲載しタイムズにも怒りの矛先を向けています。
 
個人的にはタイムズの記事は非常に深い内容で、エラスティカのジャスティンからアルバムのジャケット製作を依頼されたいきさつやXL Recordingsから初めてレコードをリリースするところは面白いと思いましたが、ジバンシィのネックレスを注文したらボディガードが届けてくれた話などゴシップネタも含まれていたり、Diploの「ロンドンで(消息不明のはずの)MIAの父親に会ったなど、彼女の怒りに火を注ぐようなコメントなど、どこまでが本音なのかが分からない記事です。 
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MIAの反論はオンライン上で大きく取り上げられ、ニュースサイトやブログで賛否両論を巻き起こしています。M.I.A.のツイッターも25日を境にフォロワー数が急増、現在は11万人を超えてなおも増加しています。今回、自分が最も注目した点は、これまではインタビューなど記事化された媒体のみで発言してきたアーティストが、ブログやツイッターなどソーシャルメディアを発言のプラットフォームとして自身の意見をリアルタイムで主張できるようになったということに注目しています。オンライン上でのコミュニケーションを通じてプレゼンスを上げることで、「パーソナル・ブランド」を明確にしてより多くの人達にリーチすることが、ファンや理解者を増やす大きな要因になっていると思います。しかし、他人を攻撃することにソーシャルメディアを使うことに関しては今後も議論の対象になると考えています。
 
ハーシュバーグは、ニューヨーク・オブザーバー紙に、「どのような形であれ彼女のおかげで記事が注目されることは良いこと」とコメントしています。しかしツイッター上にプライベートの携帯電話番号を公開したことについては非倫理的だとしても、過激な言動のMIAが見せる行動には特に驚いてはいない様子。今後も携帯電話の番号は変えるつもりはないと取材に答えています。
 
ちなみに、ハーシュバーグは過去にもアーティストのインタビュー記事で大きなごたごたを起こしていることで有名なジャーナリストです。1992年にはVanity Fair誌にコートニー・ラブが妊娠中に麻薬を使っていたとの記事を掲載、生まれたばかりのカートとコートニーの子供のフランシス・ビーンはチャイルドケアに保護されるという自体にまで発展し、結果法廷で争い、コートニーは彼女のバンド「Hole」からハーシュバーグに向けた「Bring Me the Head of Lynn Hirschberg」という曲まで出しています。
 
M.I.A.は3年ぶりの新アルバム「///Y/ (Mayaと読みます)」を7月13日リリース予定。日本は先行リリースで6月23日です。過激な描写のPVが注目された「Born Free」や、ジャスティン・ビーバーやレディー・ガガから果てはグーグルやフェイスブックへの攻撃など、リリース前から問題を振りまいているMIAの最新作はこれまで以上に過激で破壊的な内容になっていることは間違いありません。出来上がったばかりのアルバムカバーとトラックリストです。すでにSpin Magazineは星4.5を与えており、期待の高さが見られます。
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トラックリストは過去のエントリーからどうぞ。
 
 
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執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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