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5億人ユーザーを擁するフェイスブックが抱えるプライバシー問題をはじめ、Myspace、TwitterなどSNSやGoogleが、過去にないほどにプライバシー設定をめぐる批判を浴びています。かつては個人情報をプライベートに留めることが目的だったプライバシー設定が、ソーシャルなウェブ時代に入り、情報を公開共有することへとその存在を変化してきました。 気がついたら個人情報がネットに流出していた、ことも考えられるソーシャルメディアの利用。信頼が欠ける、慎重になりすぎ、他の業界ではこれ以上など、議論は尽きませんが、現実ではプライバシー問題の規模はどの程度になるのか、を集めたデータをご紹介です。

2010年7月において、フェイスブックに掲載したプライバシー設定をデフォルトにしておくと、『1,802,330,457人』があなたの情報を閲覧することができるけいさんになります。2005年には「Network」だけに開示されていた写真や投稿も、2010年には全てのユーザーが閲覧できるよう、プライバシー設定が変更されました。

上のデータをさらに細かく分析したところ、

– 26%の親が子供の写真をアップしており、その内13%は名前入りでアップしています。
– 23%のユーザーはプライバシー設定についての知識を持たず、また関心も持っていません。
– 7%が正確な住所をプロフィールに掲載しています。
– 3%がいつ家を留守にするかを投稿しています。

フェイスブックは2010年5月に広告主がユーザーの名前およびIDにアクセスできるよう、プライバシー設定を変更しました。またフェイスブックの利用規約には、フェイスブックがユーザーのデータを保持できるだけでなく、もしユーザーが情報を更新しなければ、アカウントを取り消すこともできると書かれています(セクション 14)

次はGoogle。Gooel マップのストリートビューは日々拡大していっていますが、インタビュー調査によると57%が不審侵入と感じていると結果が出ています。2010年5月にはGoogleのストリートビュー撮影車が写真データ以外にもWifi関連データも収集していたことが発覚し、ドイツ、オーストラリア、イギリス、最近ではアメリカでも調査に乗り出しました。
Google、Wi-Fiの通信内容を「意図せず」収集〜謝罪して運用を停止 (Internet Watch, 5/17)

何千という写真が削除、または削除要請の対象となっており、プライバシーを侵害すると思われる写真も多数アップされています。

Google Buzzも例外ではなく、発表した当初から (本来プライベートであるはずのメール (Gmail)と連携することで) ユーザーに許可なく、個人のネットワーク情報を開示してしまうことが、プライバシーの流出につながるとして問題が表面化したことは記憶に新しいかと思います。


そして実社会では、アメリカだけで3000万台のCCTV (監視)カメラが設置されており、アメリカ市民は1日平均200回、イギリス市民は平均300回カメラで撮影されています。2001年以来、アメリカ市民2億人の電話がモニターされ、アメリカ国家安全保障局(NSA)は2001年9月11日以降、アメリカ3大電話会社から電話での会話を記録し、「歴史上、世界最大のデータベース」を構築しようとしています。

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Googleのデータが少ないので必ずしも良いデータとは言えませんが、プライバシー問題の対象としては基準になると思います。昔はグーグルで電話番号も検索できた時期もあったのことが、遠い過去のように思えてきます。検索市場で60%以上のシェアを持つGoogle、ユーザー数が5億人を突破したフェイスブックも位置情報を追加することがすでに報じられています。ということは、今後ユーザーからの投稿がリアルタイムで更新されて、データが格納されていき、その度プライバシーの問題は再発していくでしょう。

ですが、僕たちは既にGoogleやフェイスブック抜きでの生活はできない世界で暮らしています。企業がデータ(ユーザー情報)とプライバシー(ユーザーを特定できる情報)を隔てる境界線をさらに強化することを願い、その上で、個人情報を公開した生活を継続していくことに抵抗を感じさせない仕組みがソーシャルネットワークの利用に組み込まれることが僕の理想です。プライバシーは無くならないと考えていますが、これまでやってきたプライベートな情報を開示することが、共有している情報の中からピックアップしたものをプライベートにしていく選択術が、これからユーザーが身につけていかねばならないプライバシーかと考えています。

最新のプライバシー設定、個人情報に関する動向を見つけましたので、ご参考までに。
特集:ネット上の個人情報管理への疑問 (8/10 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)

 

詳細はこちらのサイトでご覧いただけます。

http://socialnomics.net/2010/08/04/facebook-social-media-privacy/


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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