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TechCrunch ヨーロッパ版で音楽ストリーミングサービス、Last.fmとインタラクティブ音楽ツールの開発を手がけるMXP4というスタートアップの音楽広告に関する提携がニュースになっていたので、今後の音楽サービスに影響のあるビジネスモデルと思い、少しご紹介します。

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オンライン広告を「惹きつけ易く」して、ユーザーの滞在時間を引き延ばすことは可能だろうか。それがCBS傘下のLast.fmとインタラクティブな音楽スタートアップのMXP4が結んだパートナーシップの目的である。

MXP4の技術を使ってLast.fmはブランドに、ユーザーが広告内でリアルタイムに楽曲をリミックスしたり、カラオケモードで一緒に歌ったりする、インタラクティブな広告を構築できる機能の提供を始める。これはある意味で、広告が洗練されたアプのようになるという、アップルのiAdsのコンセプトと共通するものがある。そして、音楽に関連するサービスはLast.fmにとってパーフェクトな選択肢だ。

MXP4はこのコンセプトを「ゲームのような音楽体験」と説明する。ブランドはMXP4の「FanMix」、「Remix It」、「Max It」、「Sing It」、そして「Karaoke Battle」などソーシャルゲーム機能を連携したスポンサーページを構築することができるようになる。

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image via Moving Music Forward
インタラクティブ機能には楽曲内での楽器音のオンオフ、同じ楽曲の違うバージョンのエディット、プレーヤーに表示される歌詞を見ながら歌えるカラオケ機能が搭載される。これは固定された音楽プレーヤーやバナー広告よりも魅力的だ。

MXP4によると、音楽愛好家はこれらのアプリケーションを一人当たり平均9.1分利用し、オンライングッズの購入へのクリックスルー率が3%を上回っており、これにより広告主にも利益がもたらされると述べている。MXP4はこれらの結果を踏まえて、SpotifyDeezerなど全てのメジャーな音楽プラットフォームと交渉を進めている。その中でも、MXP4のビジネス開発担当VP、Jeff Marois氏はLast.fm出身ということもあり、今回の提携は締結しやすかったのかもしれない。

パリを拠点とするMXP4は現在まで1300万ドル(約11.2億円)を集めており、最も最近ではパリのGoojetに投資するOrkos Capitalがリードしたラウンドで400万ドル(約3.4億円)を調達しており、以前にはStreamezzoに出資するSofinnovaやErykaのVentechも投資している。

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面白い動向だと思いました。これまでも動画をはめ込んだ広告やフラッシュゲームの広告などありましたが、ユーザーと関連したインタラクティブな広告というものは見かけませんでした。Last.fmにアクセスする人は音楽好きに間違いないのだから、ターゲットを絞りやすいというメリットが生きてきます。英ガーディアン紙の記事によれば、Last.fmは過去12ヶ月で米国ユーザー数が90%増加して、800万人に達してきました。とはいっても米ユーザーを6000万人抱えるインターネットラジオのPandoraに比べまだまだ差がありますが、Last.fmはCBS買収により、CBS関連のラジオ局とのライセンス提携や大規模な野外広告展開で着実に認知度を上げてきています。
Pandoraのユーザー数推移

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image via The World According To Carp 

音楽を聴きやすく、もっと好きになってほしいとは常に思っています。だが、それと音楽サイトを長時間閲覧するとは、意味が違っています。なぜならCDを一枚ずつかけてライナーノーツをじっくり読み返す視聴体験は、iPodに代表されるポータブルデバイスとMP3によって耳への一歩方向の「ストリーム」に置き換えられてしまい、ミューザックと同様の存在になってしまったからです。音楽を検索してストリームする行為になれてしまったユーザーにとって、音楽サイトでこれ以上時間を費やす意味はどこにあるのでしょうか。
オンラインが主戦場であるストリーミングサイトにとって、サイトでの音楽体験には今後さらなる工夫が求められます。ただ、自分は広告にインタラクティブを要求することは、オンライン広告に半信半疑のユーザーや、音楽を聞き流したいユーザーにとっては、魅力的ではないものでしかなく、所詮広告で終わってしまうと思っています。

それよりも、有料ユーザーを増やすことや、本当の音楽好きを集めることにフォーカスするこもオプションではないかと思ってなりません。最後に、自分はlast.fmはナビゲーションや一般的な機能が使いにくいので、そちらを先に改善してほしい、という一ユーザーの意見です。

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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