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先月、大手音楽レーベルのユニバーサル・ミュージックMTVと音楽ビデオ放送の契約を打ち切り、YouTubeの音楽チャンネル「Vevo」と契約を締結したことを発表した。しかし、comScoreが発表した8月のサイトトラフィックでは、MTVの訪問者数がVevoを上回る結果となった。

レポートによると、MTVは5300万人のユニークビジターを獲得し、昨年同期比で165%アップした。Vevoは4300万人にとどまった。
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ここで注目すべき点はユニークビジター数の差だけにとどまらず、短期間でMTVが挽回したことだ。今年2月にVevoが音楽エンターテイメントサイトで1位の座を獲得したとき、MTVはMyspaceAOL Musicに続く4位に甘んじていた。その後、MTVはトラフィックを2倍以上に増やしている。
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無論、これで音楽ビデオサイトの頂上決戦は終わったわけではない。ここで覚えておきたいことは、ビジター数で上回るMTVのコンテンツは音楽ビデオだけではないことだ。例えば、ビジターはTVシリーズの「Jersey Shore」の動画クリップに音楽ビデオよりも興味があるかもしれない。反対にVevoは、音楽ビデオ専門のプラットフォームで、その視聴数で多くの広告主にアピールをしている。

しかし、ビジター数5300万人はユニバーサル・ミュージックにとっては、例えユーザーがたまたまMTVのサイトでアーティストや音楽ビデオを見つけた場合であっても、存在的なインプレッション数で大きな損失だ。同様のケースは膨大なユーザー数を抱えるYouTube上での展開を進めるVevoにもあてはまる。
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MTV Networkの音楽グループ担当プレジデントのVan Toffler氏は、「MTVは音楽ビデオに限定されず、パフォーマンス、ライブストリーム、セカンドロール動画、インタビュー、バックステージフッテージにまで提供する」と説明する。

Toffler氏はまた「OK Goがトレッドミルに乗っている動画 (Here It Goes Again動画)はYouTubeで何千回も再生された。しかし、彼らが本当に注目され売れ始めたのは、MTVビデオミュージックアワードに出演してからだ」と指摘する。

さらにToffler氏は「ユニバーサル所属のTaylor Swiftが最新ビデオをMTVに独占で宣伝に来たこともある。私はユニバーサルとVevoの戦略についてはわからないが、だがアーティストとそのマネージメントはMTVとVH1(アダルト層向け音楽チャンネル)、CMT(カントリーミュージックのチャンネル)、オンラインサイトに本当の価値があることに気が付いていると理解している」と述べている。

また、Vevoとパートナー契約を締結できなかったワーナーミュージックは、MTVとパートナー契約を結び、MTVのデジタル・モバイルサイトに所属アーティストの音楽ビデオを配信することで合意した。ワーナーのチェアマン、Edgar Bronfman氏は先の業績発表で「MTV Networkは我々の戦略を収益化する」とコメント。さらにBronfman氏はMTVがアーティストのオンラインでの認知度向上に寄与するとも述べている。

Toffler氏はワーナーがMTVを選択した理由について「もし彼らがBruno Marsをブレークさせたいなら、MTVの番組に出演して、VMAで演奏して、ナンバー1音楽サイトでプロモートするチャンスを選らんだ」と述べている。

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一時期は音楽ビデオの救世主とも呼ばれたVevoだが、やはり多様なコンテンツを展開できるパワーを持つMTVに地力がある。特にVMAなどアーティストや業界関係者が集うアワードを開催できることは、TVとオンライン両方でのプレゼンス拡大に大きく影響している。

ここで注目したいのは音楽サービスに参戦すると噂されるグーグルの存在。YouTube上で展開するVevoが、視聴から購入をノンストップで行えるようになれば、サイトへのアクセスと滞在時間は飛躍的に伸びるだろう。またレーベルもiTunesだけでなく、グーグルのデジタル音楽ストアで所属アーティストをPRできるので、相乗効果が高まる。

さらに、今年に入りYouTubeは米国でコンサートのライブストリーミングをテストし始めた。これはYouTubeと音楽レーベルにとって、新たなキラーコンテンツとなる可能性が高い。

大手レーベルが音楽ビデオを使ったプロモーションや宣伝を全てグーグルに託す日もそう遠くない。

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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