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アマゾン、グーグルに引き続き、来週6/6にはアップルも噂されてきた「iCloud」サービスと、キープレーヤーが次々とクラウド型音楽サービスを発表します。これまではPandoraSpotifyなどベンチャー企業が独自の技術でサービス提供してきたエコシステムに、技術も資金も豊富に持つ大企業が参加することで音楽ビジネスは大きな岐路を迎えると、勝手に予測しています。

そんな中、これからの音楽ビジネスにおいて、自分の中で気になるトピックが『人材』です。どのような人が音楽ビジネスにソーシャルやモバイル技術を取り込んで革新を進めていくのか、どのように消費者と関係を構築していくのか、興味深く注目しています。
*自分は音楽業界の人間ではないため、発言が推測に基づいたものである場合もあることをご了承ください。

もちろんこれまでにも業界では、「名物プロデューサー」的な人やレコード会社オーナーなど、キープレーヤーは数多く存在しました。しかし、業界全体が、比較的音楽ビジネスとアーティストに直結した人達で形成される環境のような気がしました。業界が構造変化を受け入れなければ、アーティストや消費者が満足する環境が育たず、レコード会社とそのビジネスが活性化することは難しいと思います。

今後は、テクノロジー企業の参入とソーシャルメディアの普及により、オンラインとの連携や消費者との関係構築にも比重が置かれることで、音楽業界で働く人の役割が大きく変わってくるのではないか、と考えています。

面白い例は(やはり)アメリカのエンターテイメント産業で、Fast Company で「ハリウッド初のソーシャルメディア・エージェント(代理人)」という職種の紹介記事がありました。

*ここでのエージェント(代理人)は、エージェンシーではなく、スポーツ選手やタレントのマネジメントや交渉を行うエージェントです。
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以下は抄訳です。

Eric Kuhn氏 (エリック・キューン)@kuhn)は、以前はCNN初のソーシャルメディアリードとして、ウェブとTVの連携や、Facebook、Twitter、Foursquare、Gowalla、Tumblr、GetGlueとのパートナー提携、TV番組のソーシャルストリーミング中継など、CNNのソーシャルメディア化において大きな役割を担ってきました。
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23歳のKuhn氏は、2011年よりハリウッドでメジャー級映画タレントのマネージメントを行うUnited Talent Agency (UTA)で、ハリウッド初の「ソーシャルメディアエージェント(代理人)」として、デジタル戦略を担当する。

例えば、デザイナーのマーク・エコーがiPhoneを使う若者世代に訴えかけ、全国の学校で起きている体罰を撲滅する運動を実施したいとUTAを訪ねてきた時、UTAが取った戦略はKuhn氏に一任させたことだった。Kuhn氏は、ロビイストを起用する従来のアプローチではなく、グラスルーツ的な活動をTwitter、Facebook、Foursquareで行った。ソーシャルメディアを連携させたキャンペーン(『Unlimited Justice』)は、結果としてニューメキシコ州で学校で体罰を禁じる法律を可決させることに成功した。

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Kuhn氏は、「TVやインディー系映画などで主役を勝ち取るためには、純粋な演技力だけでは十分でなくなり、Twitterのフォロワー数やFacebookアカウント等ソーシャルメディアの影響力が、タレント活動の決定的要因になります。」と説明する。

Kuhn氏は、従来の代理人と違い、次のTwitterやFoursquareを探して、SXSWなどスタートアップが集まるイベントではおなじみの存在になった。
Kuhn氏は「Twitterは、先行者であれば、より速く有名になり影響力を持つことが可能になることを、証明しました。クライアントが有利なチャンスを得られるように、最高の場所へ位置づけるためにも、私たちにとって次なる流行を探すことが重要になります」と説明する。

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Kuhn氏の場合、従来のタレントがソーシャルメディア上でも賛同を得るためにはどうすればよいか、をテクノロジーと連携させることで実現しています。これを音楽ビジネスに例えると、アーティストが、どうすればフォロワー数が伸ばせるか、どうすればサイトを知ってもらえるか、コンサートに友人と共に来てもらえるか、といった従来のPRではカバーできない分野での『ソーシャルな対応』が、レコード会社やマネジメント会社には求められてくると考えられます。

この分野には、ものすごい可能性が広がっていると思います。音楽以外の分野の人も参入でき、自分の得意分野を生かしながら働くことができる環境にシフトしていく気がします。もちろん世界の話ではなく、日本市場、そして日本から世界へも可能性が広がります。
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例えば別会社でiPhoneアプリを開発していた人が、モバイル戦略を担当するとか、プロモーション担当がローカルなTV番組と位置情報サービスを連動させた全国規模のツアープロモーションを企画するとか、様々な音楽体験を消費者に提供できる環境がソーシャルメディアのおかげで可能になっています。

日本でも「ジャニーズがソーシャルメディア担当者を採用」とか、「エイベックスグループがソーシャルメディア部署を立ち上げのため人材募集」とか、業界をまたいでソーシャルをデザインできる人材のニーズが出てくるかもしれません。

Foursquareの共同創設者のNaveen Selvaduraiは、元ソニーミュージックのソフトウェアアーキテクトでした。音楽ストリーミングサービス「MOG」の創設者のDavid Hymanは、元MTVのマーケティング担当上級VPでした。メディアの人間、というモデルから「メディアからサービス」へ消費者に付加価値を提供できる、ソーシャルな職種が今後どこまで音楽業界に広がっていくか、注目しています。

最後に、先日グーグルの求人募集で、『音楽製品担当マーケティングマネジャー』職を見つけました。グーグルは音楽ビジネス企業ではありませんが、音楽サービスに特化した職種である以上、音楽業界で働く人に変わりはありません。求めている要件が、音楽業界に限らないことは注目です。ご参考までにご紹介します。応募希望の方は、こちらからどうぞ。

勤務地:カリフォルニア州マウンテンビュー
This position is based in Mountain View, CA.

分野:マーケティング
The area: Marketing

職種:音楽部門 製品マーケティングマネジャー
The role: Product Marketing Manager, Music

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ソース
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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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