UKロックバンド、コールドプレイ(Coldplay)が待望の新アルバム『Mylo Xyloto (マイロ・ザイロト)』を10月にリリースした。同作は2011年のアルバムセールスで最も成功したアルバムの一つになっています。大物アーティストの3年ぶりの新作ということで海外チャートではリリース前から1位を獲得するほど話題を集めていました。

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image via Midem
最も際立ったマイルストーンは、デジタルアルバム売上。英国内での第一週のデジタルアルバム販売が83,000枚に達し、これまでの最高記録だったTake Thatの『Progress』(79,800枚)を抜き去り新記録を樹立したそうです。アルバム全体も2011年で第2位となる売上(208,000枚)を記録して好調なスタートを切っています。

一方で、バンドがSpotifyでアルバムを配信しなかったことが、メディアや評論家の間で話題となりました。Spotifyだけでなく全ての音楽ストリーミングサービスで楽曲を配信しないことがプロモーションとアルバム売上につながるかが、大きな疑問でした。

あらゆるチャネルにおいてプレゼンスを最大化しようとする現在のデジタルマーケティングにおいて、特に注目度の高いSpotifyを無視することは、成功につながるのか。

結果としては、これ以上ないアルバム売上を記録。(音楽ストリーミングサービスをバイパスすることが)成功かどうかは別としても、これを受けてコンテンツホルダー(アーティスト、レコード会社、権利保有者)は今後コンテンツ販売戦略を再考するかもしれません。メディアの反応を少しまとめてみました。

All Things DのPeter Kafka (@pkafka)は、「Spotifyのロイヤリティ(再生される度にレコード会社やアーティストに支払われるお金)では、アルバムダウンロードやCD販売の売上には到底およばない」として、コールドプレイの決定はビジネス的なものだったとしています。

Billboard BizのGlenn Peoplesは、YouTubeへの動画投稿やマドリードなど世界ツアーのストリーミング中継などを例に出し、バンドは既にフリーのプロモーションを行ってきたことを強調しています。言い換えれば、Spotifyで無料配信する代わりに、無料でプロモ音源は提供してきたということ。

Mark Mulligan (@Mark_Mulligan)は最もはっきりと、売上への貢献、ロングテール、など音楽ストリーミングサービスとアーティストの間にある問題点をブログで指摘しています。

世界的アーティストであれば、最新テクノロジーを駆使してグローバル規模のこれまでにない注目を集めるプロモーションを実施するように感じますが、今回のコールドプレイの例はその逆。(確かにライブストリーミングなど大規模な取組みは行いました)

しかしYouTubeを使う、Facebookを使う、Twitter(@Coldplay)を使うといったベーシックなプロモーションに集約していることは驚きだった反面、派手なキャンペーンでなくても的確なターゲットがあれば成果が付いてくるということを実証したアルバムローンチではないでしょうか?

大きなリスナー数を獲得するのか、ファンとつながるためチャネルを効率よく集約するのか、目的に沿ったPRキャンペーンは日本でも今後実験されてくるのではないでしょうか。みなさんはどう思いますか?

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ソース
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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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