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ソーシャルな音楽リスニング体験を提供する米国発の音楽サービス『Turntable.fm』(TTFM)が、ユニバーサルミュージック、ソニーミュージック、ワーナーミュージック、EMIの4大レコード会社とライセンス契約を締結したことを、テキサス州オースティンで開催されたSXSW (サウス・バイ・サウスウェスト)で発表しました。

複数のDJやユーザーが同時に参加でき、コミュニケーションができるソーシャルな音楽リスニングサービスであるTurntable.fm。契約の詳細はTechCrunch Japanなどをご覧ください。このブログでは、Turntable.fmに期待する音楽業界のコメントをピックアップしてみました。また設立者が考える収益モデルについてもまとめてみました。

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共同設立者のSeth Goldsteinが言う「ラジオでもなく、オンデマンドでもない」ユニークなモデルに基づくTurntable.fmは、わずか設立9ヶ月の間でASCAP (米国作曲家作詞家出版者協会)とBMI (米国の音楽著作権管理団体)とライセンス契約を結び、豊富なコンテンツライブラリーへのアクセスを取得した。また一流投資家やレディーガガ等セレブリティからの巨額投資、モバイルアプリのリリース、Facebookと音楽パートナーとして提携など、急速に活動範囲を拡大している。

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image via CNN

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【レコード会社】

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ワーナーミュージックの上級VP, Stephen Bryanは、Turntable.fmなどラジオサービスが、サブスクリプション(購読モデル)や楽曲購入へと誘導する重要な役割を果たしていると述べています。また動画サービスのVevoや(The Black Keysなど所属アーティストが)音楽ストリーミングサービスのSpotifyにコンテンツ配信を見合わせているが、ワーナーとしては広範な支持を集めるTTFMには、新しい音楽コンテンツのプロモーションツールとしての機能にも期待しているそうです。

「デジタル化する音楽の世界に消極的な潜在的オーディエンスを引き込む入り口(ファネル)だと思っている。レコード会社に所属する全てのアーティストには、これらの新しいビジネスモデルに参加してもらいたい。そして長い時間をかけて使いこなせるようなってほしい」と述べています。

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ユニバーサルミュージックのシニアVP, Bill Campbellは、Turntable.fmが持つソーシャルエンゲージメント、音楽発掘、ゲーミフィケーションの組み合わせに魅力を感じると伝えています。ユニバーサルのアーティストが独自のアバターや仮想アイテムの特典も考えられると述べています。

「音楽発掘がゲーム化になれば、アーティストへのソーシャルエンゲージメントやロイヤリティに発展するだろう」

またCambpellは、ラッパーのWaleが2011年に行ったPRを例に挙げたTurntable.fmのライブと並行したプロモーションツール利用も示唆します。

「アーティストがツアー期間中に世界中のファンが参加できるバーチャルライブを開催することもできる」

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EMIの上級VP, Mark Piibeは、数多い音楽ストリーミングサービスにおいてTurntable.fmが提供する独自の音楽体験に魅力を感じています。
「ネットラジオのように、プログラムが選択したコンテンツが流れてくるのではなく、常に参加型でかつ複数のDJが入れ替わる一定環境が、Turntable.fmには存在する」

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【広告】
GoldsteinはTurntable.fmの収益化について説明します。TTFMは、SXSWで初の公式パートナーとしてペプシと半導体メーカーのインテルと手を組み、ブランド特設ルームの開設やDJコンテストを開催しました。コンテスト勝者のDJ @Qbertplaya はSXSWで開催したTTFMパーティでのDJプレイできる権利やウルトラブックなどの商品を獲得しました。 

GoldsteinによればTurntable.fmは「従来の広告モデル」を受け付けることは計画しておらず、「TTFMはユーザー体験を向上させることに注力しており、ユーザーのために価値や才能を提供できるブランドと提携していきたい」と述べています 

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Turntable.fmが多くの注目と支持を集めてきたことが、今回の契約に結び付いたことに間違いないでしょう。個人的にはTurntable.fmは「音楽サービスのZynga」になっていく気がします。仮想アイテムやブランドルームとリアルタイム性、ソーシャルグラフとインタレストグラフ、セレンディピティ。TTFMは仲間に、知らない相手にストレスなくコンテンツを届けるシンプルな仕組み。だが様々な要素が組み合わさり、つながることができる。それはソーシャルメディアだから感じることができるつながりであり、普通に閲覧するサイトやプラットフォームでは実感することはない。

Turntable.fmのようなスタートアップや新興サービスが半世紀以上に渡り業界(音楽ビジネス)を形成してきた大企業と手を組める環境になったことは、世界的にみても非常に魅力的だと思います。魅力的なサービスや人と共有共感できるソーシャル性には確実に機会があるということを象徴しているのでは、ないでしょうか?

ご参考までに関連記事です。興味のある方は是非。

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ソース

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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