アーティストやデザイナー、スタートアップが個人からプロジェクトの資金を集めることができる、クラウドファンディングサービス『Kickstarter』で最近成功しているプロジェクトをご紹介。

フジロック等でもプレイしたユニットDresden Dollsのメンバーで、ソロでも活躍する、アマンダ・パーマーは自身の誕生日4月30日に4年ぶりの新アルバムのリリースを発表、併せてオリジナルアルバムアートやツアー、アートギャラリーを含むプロジェクトを開催することをブログで告知しました。

しかし彼女は4年前の2008年に大手レコード会社を離れたため、プロモーションは彼女自身が行わなければなりません。そこで彼女はクラウドファンディングプラットフォーム『Kickstarter』を使ってアルバムプロモーションとアートショーのための資金調達のためのキャンペーンを開始しました。

Kickstarterページはこちら

パーマーは目標10万ドル(約800万円)で5月1日からスタート、31日間での達成を目指していました

しかし、というか素晴らしいことに10万ドルは開始わずか6時間で達成開始当日に集まった金額は22万ドル以上に上り、以降も驚異的なスピードで資金を集めています。これまでに音楽カテゴリーでの最高記録は、2012年初めにロックバンド「Five Iron Frenzy」が集めた207980ドル。下記のキャプチャでも分るとおり、パーマーのキャンペーンは1日で記録を塗り替えたことになる。

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現在(5月20日)では、総額767,516ドルを調達。目標達成率を770%以上超える金額を集めています。残り11日ありますので、まだまだ伸びそうです。

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パーマーの場合、「Pledge」と呼ばれる支援者への対価が魅力的で、寄付金1ドルから最大10000ドル(Kickstarterの上限)まで幅広く設定されています。内容も多様かつクリエイティブで、デモ音源、歌詞カード、アートワーク、ハンドメイドカバー付きのCDやアナログレコードから、スペシャルライブ、カスタムカラー仕様ターンテーブル+アナログレコード、5000ドルからのハウスパーティ権など数量限定で希少価値の高い特典を提供している。出資者であるファンは、パーマーのアイデアを世に出すクリエイティブな活動に他のファンと共感(例:アイデアへの賛同)し体験を共有(例:ライブへの参加)しながら支援する。ちなみに最高額の1万ドルでも既に1人が出資している。

またアマンダ・パーマーは、Kickstarterの寄付上限である10000ドル以上で援助したい人向けに実験的プラットフォーム「The Loan Spark Collective」を立ち上げました

The Loan Spark Collectiveがユニークな点は、支援を受けたアーティストが借りた資金を作品発表後に返済するだけでなく、『Creative Interest』(クリエイティブ利子)を支払うというもの。Creative Interestとは貸し手とアーティストが賛同するチャリティ団体のために借り手であるアーティストは自身のクリエイティブ性を発揮することでチャリティ活動を支援するという仕組み。例えば、アーティストはチャリティ団体のイベントに無償でライブを行う、アートを提供するなど。パーマーは同サイトでは「寄付(donation)」型の資金調達ではなく、「Loan (融資)」型の形態であることを強調しています。

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Kickstarterでは、カテゴリー別にフィルム(3200万ドル)と音楽(1900万ドル)が昨年に最も資金調達に成功しており、資金力の無い多くのミュージシャンやクリエーターが自らのプロジェクトや作品を世に送り出すため同サイトを利用している。(参照:2011: The Year in Review

クラウドファンディングの現状は、ソーシャルカンパニーの市川裕康さん(@Socialcompany) による現代ビジネスのコラム『ソーシャルビジネス最前線』で詳しく紹介されているので、こちらをご覧ください。

またアーツ・マーケティングの山本純子さん(@junkoy)のブログも、非常に参考になるデータや活動が詳細に記録されており、ご覧になることをお薦めします。

個人的に見てKickstarterやクラウドファンディングで興味深いことは、「今は存在しないモノ」や「人のクリエイティブ」に対して共感し対価を支払う人の関心だったりつながりだったり応援するアクションが起こる、共鳴の連鎖。一般の人が参加する仕組みを広げるサービスや、パーマーのように参加できる喜びを支援者に提供する姿勢には、今後の活動支援へのヒントを感じます。今後日本でも創作活動でクラウドファンディングを活用したいという人と支援したいという人が一人でも多く増えてくれればと願います。

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今回はどのようにプロジェクトが進行したかをまとめてみました。次のエントリーでは、アマンダ・パーマーはなぜこのキャンペーンが成功したのか、何を学べるのかについてまとめたいと思います。

アマンダ・パーマー Facebookファン数142995人(5月20日現在)

 
       
 

ご参考までに関連記事です。興味のある方は是非。

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ソース

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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