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「Spotifyエコノミー」の始まりを予感させるニュースをご紹介。
音楽ストリーミングサービスSpotifyの音楽アプリプラットフォーム上で、音楽発見ができるソーシャル音楽アプリ「Soundrop」がSpotify音楽アプリメーカーとして初めて300万ドル(約2億4000万円)の資金を 「Northzone」(Spotifyに初期投資したVC)から調達したことを発表しました。  

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Soundropは、Spotifyが昨年11年に発表した「Spotify音楽プラットフォーム」に開始当初から参加したアプリの一つで、ジャンル別やバンド別のリスニングルームを作成し友人と共有しながら新しい音楽に出会うことができるソーシャルリスニングアプリです。

Turntable.fmと近いサービスですが、アバターが存在せずDJプレイを聴くだけでなく、友人を招待したりプレイリストが作成できたり、そしてユーザー自身がSpotifyの1800万曲以上の音楽カタログから選曲ができます。

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SoundropはSpotifyアプリプラットフォームにおいて、5月だけで7,000部屋以上を作成し、6000万曲以上を再生しています。Soundropの共同創業者兼CEOのインゲ・サンドヴィック(Inge Sandvik)は成功の要因として、「Spotifyでは新しい音楽を聴きたい時に知らない曲と出会う仕組みが弱い。だから昔の好きな曲を何度も聴き続ける。だがそれだけのリスニング体験だけでは、月額10ドルの有料会員料を支払う価値は無いという」と説明します。

Soundropは古い曲を探す人も、新しい曲を探す人も求める音楽レコメンデーション・発掘のニーズを満たすことでユーザーを獲得しています。
Soundropは、これまでジャンル別の部屋の拡充に注力してきたが、最近ではパーソナライズドされた部屋や非公開ルーム、Sigur Rosなどの公式アーティストルームを追加し、そして先日ユーザーが選曲できる「DJモード」を発表した。

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また今後はサードパーティがソーシャルな音楽アプリを構築できるSoundrop APIを提供していく予定です。Soundropはまた、Spotifyデスクトップアプリケーション外からのアクセスにも拡大して、より多くのユーザーを取り込んでいく予定だそうです。

僕自身もSpotifyを使いますが、Soundropはお気に入りアプリの一つです。理由は簡単で、ナビゲーションが簡単で人と接しやすいことと、聴き流しと真剣なサーチの両方ができるから。大抵は知らない曲ばかりが流れてくるけれど、部屋に参加する人とプレイリストを共有したりすると、色々な音楽情報が見えてもっと聴きたいと思うようになる。
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日本ではなじみがないけれど、海外では聴き流しツールは「ジュークボックス・アプリ」と呼ばれ、ウェブやモバイル、ソーシャルの分野で多くの企業が展開しています。中でもSoundropは、初期のInstagramと同様に単一のプラットフォーム(Spotify)に注力し、大きなSpotifyのエコシステムのみに注力して成長する点は非常にユニーク。

もしSoundropが普通のiPhoneアプリだったら、みんな使うだろうか?Facebookの友人だけの嗜好しか見えなかったらどうだろうか?音楽は一人より大勢の方が楽しいことを音楽アプリが示してくれたことは、これまでに無い体験で新たな視点を開いてくれたことにはとても感謝したいです。
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将来的にはiOS, AndroidアプリがSpotifyに来るかもしれない。例えば、Turntable.fmのSpotify版も発表されるかもしれない。そんな時代が来ると、リスナーはただの音楽配信サービス以上の使い方が楽しむことが日常になるだろう。そしてSpotifyとアプリ開発者によって音楽のエコシステムが作られる日はそう遠くない。Soundropの成功によって、これからは彼らの後を狙う開発者や投資家が現れ、アプリやサービスが増え続けるだろう。

このSpotifyエコノミーに後押しされながら市場やユーザー層も成長していってほしい。そして最後に。日本にSpotifyが上陸した時には、日本人が開発したSpotify音楽アプリが見たい。そんな世界がこれからは作られるのではないか。日本人アプリ開発者、頑張れ。

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ソース

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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