高級ヘッドフォンブランド「Beats by Dr. Dre」を展開するオーディオメーカーBeats Electronicsが、Spotifyと競合する米国の音楽ストリーミングサービス『MOG』を買収を発表しました。USA Todayがレポートしています。高音質を追及するブランドがいよいよ音楽配信サービスに進出? 

Beatsはこの買収で、コンシューマー向け音楽ビジネスのオンライン分野でサービスを拡充していきます。『Beats by Dr. Dre』ブランドは、これまでオーディオマニアの製品でしかなかった「高級ヘッドフォン」(価格帯100ドル以上, これまでの市場リーダーはBOSE)市場に、クールなファッションアイテムとしての地位を確立。調査会社によれば、Beats by Dr.Dreは約10億ドル(2011年度)のUSヘッドフォン市場で53%を占めています。

MOGは、米国市場でSpotifyとの競争で後れを取っているため、ハードウェアメーカーと組むことで勢いを獲得することを目指します。発表によれば、BeatsはMOGを別会社として運営していく予定。


右がJimmy Lovine, 左がDr. Dre image via MTV

Beats Electronicsは「デジタル音楽時代のエコシステムで高品質な音楽体験を提供する」をミッションに、高級ヘッドフォンやオーディオ技術を開発しています。創業者はヒップホップ界の最重要人物で大物プロデューサーDr. Dreと、ユニバーサルレコード傘下のインタースコープ-ゲフィン-A&M (Interscope-Geffen-A&M)レコード会長で、U2等のプロデューサーを務めてきた大物人物Jimmy Iovine (ジミー・アイオヴィン)と、業界の大物2人。

今回の発表で最も興味深いポイントは、BeatsがMOGをどのようなサービス形態で提供するのかです。最も可能性の高いモデルは、Beatsの株式51%を所有する大株主のスマホメーカー「HTC」のモバイル端末で、ユーザー向けに提供するやり方が有力かと思います。

image via HTC
現在もHTCが提供する端末「HTC One V」(日本未発売)などには、Beatsのオーディオ処理技術「Beats Audio」が搭載されています。

MOGは1600万曲以上の音楽カタログを持ち、無料プランと、聴き放題の月額4.99ドル(約400円)およびモバイルアクセス付きの聴き放題月額9.99ドル(約800円)の有料プランを用意したフリーミアム・モデルを米国で展開しています。

すでに4大レコード会社とライセンス契約を持っているMOGを獲得することで、時間をセーブし優位にサービスの展開を進められるでしょう。またFacebookの音楽パートナーとして連携している点も、サービス拡充を後押しすると考えられます。

MOGの特長は、他社よりも先に全ての楽曲を320kbpsで提供し始めたこと。高音質へのこだわりが見えます。またいち早くLG、サムスン、自動車メーカーのフォードなどと提携した音楽サービスで、コンシューマー向けハードウェアに聴き放題音楽を提供しています。おそらくこれらのアプローチもBeatsが気に入った要因でしょう。

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音楽情報サイトDrillSpinのコラムで配信サービスにおける音質の問題についてのコラムを読みました。 音楽のデジタル化で懸念されている音質の低下や制限というものが、MOGやBeatsのような企業がテクロノジーを駆使することで、上質な音楽配信に変えられるのではないでしょうか。

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iPodで常に何かを聴いている自分としては、Beatsのヘッドフォンは重低音と迫力が好きです。ヘッドフォンのモニターをやりたいです。これをもし関係者の方が読んでいらしたら、ご連絡お待ちしています(笑)

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ソース

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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