Warner Music Group
大手レコード会社のワーナーミュージックでは、Spotifyなど音楽ストリーミングサービスからの売上はデジタル売上で25%を占めるまで急成長しており、さらにiTunesなど従来のダウンロード販売にも影響を与えずにデジタル売上を伸ばす要因であることが分かりました。音楽ビジネスに携わる人には朗報ではないでしょうか。

 

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ワーナーミュージックが発表した第3四半期決算によれば、減収減益ながらも、全体的にデジタル売上の成長がフィジカル売上の低減を補完する結果となりました。

ワーナーミュージックは第3四半期は3200万ドルの損失を計上。前年同期比4600万ドルの損失からは回復。

 

収益は5%減の6億5400万ドルとなった。音楽売上は5億1800万ドルで、前年比5.3%減(5億4700万ドル)だった。

 

こちらは全体売上
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デジタル売上は前年比13%増で2300万ドルを記録、音楽売上の41.5%を占め、前年同期比34.9%から成長した。今四半期でのデジタル売上は、フィジカル売上の低減を上回るものになりました。

 

音楽部門売上
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このデジタル売上の中で、SpotifyやPandora Radioといったサブスクリプションサービスや音楽ストリーミングサービスがデジタル売上の25%となる5400万ドルを上げたことが分かりました。

 

ワーナーミュージックが示すサブスクリプションやストリーミングに含まれるサービスは、
  • Spotify, Rhapsody, Muve Music等オンデマンド型の音楽ストリーミングサービス
  • Pandora RadioやSiriusXMなどオンラインラジオ
  • YouTubeなどオンデマンド型の動画サービスからのロイヤリティ売上です。
ここにはiTunesやアマゾンのクラウド型音楽サービスは含まれません。
音楽ストリーミングが計上する5400万ドルは全体総収入でも8%となっています。ワーナーミュージックによれば、音楽ストリーミングサービスは、ダウンロード売上の伸びを上回るほど急速に成長しているとのこと。Spotifyなどの音楽サービスは急激な成長を続けながら既存のサービスを脅かす代替ではなく、新しい収入源となると言えるのではないでしょうか。

 

ワーナーミュージックのCEO, スティーブン・クーパー(Stephen Cooper)は、「デジタル売上の目覚ましい成長は、フィジカル売上の損失を埋め合わせる以上の結果をもたらしていることから、これは業界変革の可能性を示しています」とコメントしています。

 

参考までに、クーパーは電話会議で日本の違法ダウンロード刑事罰化についても触れています。

 

ワーナーミュージックの決算詳細はこちらでご覧いただけます(英語)

 

 

今回の結果は、Spotifyなど音楽ストリーミングサービスがレコード会社にとって新たな収益源となっていることを証明しています。

 

聴き放題ができるため音楽の購入にはつながらないとの懸念もあった音楽ストリーミングサービスですが、CDなどフィジカルの減少を補完するだけでなく、iTunesやAmazonなどのダウンロード販売の売上を妨げずデジタル売上を伸ばしていることから、音楽ストリーミングサービスとフィジカル・デジタル音楽は共存ができることが分かりました。

 

今後音楽ストリーミングサービスの会員数と視聴時間が増えれば、音楽レーベルにとってはデジタル部門でのさらなる成長が期待できます。

 

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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