Spotifyと競合する、フランス発の定額制音楽ストリーミングサービス『Deezer』(ディーザー)が、サービスを世界160ヶ国に拡大したことを発表しました。デジタル音楽サービスでも特に注目を集める音楽ストリーミングの分野で、Deezerはどのサービスよりも先に世界へと展開しています。

先日下のブログ記事でも書きましたが、Deezerは新たに資金調達をワーナーミュージックの親会社から行い、ライバルのSpotifyよりも早い世界戦略をさらに加速させるため勢いを急速に高めている音楽サービスです。

Spotifyと競合するフランスの音楽ストリーミングDeezer、ワーナーミュージック親会社から大型資金調達、米国と日本を無視した世界戦略を拡大 (10/9)

ロンドンの伝説的なスタジオ、アビーロードで行われたプレス向け発表会でDeezer CEOのアクセル・ドーシェ (Axel Dauchez)は、160ヶ国でのサービス展開、ウェブサイトとモバイルアプリのアップデートを発表し、同社の戦略について説明しました。

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Deezerは新たに76ヶ国でのサービス開始を発表、これによりDeezerがサービス展開する国は欧州、アフリカ、中東およびアジア圏合せて世界160ヶ国に上りその数はどの音楽ストリーミングサービスよりも多くなっています。Deezerは今後もサービス拡大をめざし、新市場へのアプローチを進めていきます。しかし、世界的な大音楽市場である米国と日本への参入は、サービス開始当初から控えるとの姿勢を示してきました。
今回の発表会でも米国市場への参入について、Deezer CEOのアクセル・ドーシェは現状での進出は無いと述べています。

“We are not going to the US. One day, but not now. The market is not ready,”

Deezerはまた新しいウェブサイトとモバイルサイトを発表しました。特にソーシャルと音楽発見に重点を置いた、以下の機能が強化されます。

– Facebookとの連携強化

– トップユーザーからのレコメンデーション

– ローカル市場の編集者による音楽レコメンデーション

Deezerはさらに、ローカルのコンサート情報やツアー情報もレコメンドしていくことで、Spotifyなどの音楽サービスには無い、各国ユーザーが共感し共有できる付加価値を提供します。そのために編集チームを50%増やすことを発表しました。

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新しいiPhoneアプリでは、友人のプレイリストやアーティストが作成したプレイリストを閲覧しアクセスできるなど、シェアとソーシャルディスカバリー機能を強化しています。

今回最も大きな発表は、Deezerが無料ユーザー向けにこれまで30秒オーディオクリップのみだった制限を無くし、無制限で聴き放題できる方式に変更したことです。これによって、無料サービスを体験したユーザーが、オプションの多い有料プランへの乗り換えを促進するインセンティブになります。またDeezerは国によって、無料での視聴時間などのオプションを市場のユーザーの行動によって変えていくと述べています。

これはSpotifyと同様の戦略です。Deezerも無料プランと有料プランを提供し、無料ユーザーをより多く獲得することで、より魅力的な有料サービスへの切り替えの機会を増やす計画です。

Deezerは、Spotifyなど他社同様にフリーミアム・モデルを採用し、広告付きの無料プランと有料プランを提供します。(下記は英国プランを参照、各国で異なる)
「Deezer Discovery」 :無料プラン
「Deezer Premium」:月額  4.99€、広告無し、無制限聴き放題
「Deezer Premium Plus」: 月額9.99€、モバイルからのアクセス、IPTV、オフラインモード利用可能

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DeezerがSpotifyと明らかに違う点は、その規模でしょう。知名度の低さという点であれば、それはSpotifyの知名度が異様に高過ぎるとも言え、それは彼らの過剰なマーケティング活動の成果でしょう。Deezerが世界展開することで、各国の特にSpotifyが進出していない国でいち早く活動を始められることは大きいと思う。Deezerがローカル市場にフォーカスするという点も面白いです。国によって設定や特性が変わるサービスになれれば、より多くの人に利用してもらえるかもしれない。また音楽配信とメディア双方の特性を持ち合わせている、特異な音楽ストリーミングサービスという面も興味深い。問題は、これだけ大きく展開して、はたしてプロモーションができるのかということが懸念点です。せっかくのサービスも普及浸透しなければ意味がありません。一部でしか使われないもったいない結果にはなってほしくないと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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