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ユニバーサルミュージックの出版部門ユニバーサルミュージック・パブリッシング(Universal Music Publishing)は、YouTube専門のメディア会社と楽曲のライセンス契約を締結しました。

契約によれば、このメディア会社が配信するYouTubeアーティストは、ユニバーサルミュージックのカタログを使ってカバー曲を制作または動画のサントラとして利用することができるようになり、YouTubeアーティストと楽曲権利者、配信元で動画からの広告収入をシェアする契約となります。つまり、カバー曲でマネタイズできるように楽曲の利用をオープンにしたのです。

ライセンス契約で合意したのは、YouTubeのマルチチャンネル・ネットワーク「Fullscreen」と「Maker Studios」の2つ。2社はYouTube専門の動画ネットワークで、2つを合わせた月間再生回数は40億以上と驚異的な数を叩きだすネットワークです。

Fullscreen

Maker Studios

マルチチャンネル・ネットワークとは(MCNs)?

マルチチャンネル・ネットワーク(MCNs)とは、複数のYouTubeチャンネルを配信し、コンテンツ制作者に動画制作、プロモーション、権利管理、マネタイズなどのサポートを提供するネットワークです。コンテンツも多岐に渡り、コメディやスポーツ、ゲームなど様々です。FullscreenやMakerなど大型ネットワークの他にも「Machinima」,「Bent Pixels」,「base79」などがあります。
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Fullscreenでは現在700組以上のミュージシャンが動画を配信しており、その多くはカバー曲を発表するミュージシャンで、中にはYouTubeで再生回数が数百万を超えるような人気のミュージシャンもいます。制作スタジオとしてFullscreenは過去に、ペプシ、Twitter、フォード、NBC、任天堂といった企業のYouTubeチャンネル制作も手がけている。Fullscreenの創業者George StrompolosはGoogle出身者で、YouTubeのパートナー・プログラムを開発した一人。Fullscreenは昨年ワーナーミュージックの出版部門Warner/Chappell Musicとカタログ使用で同様のライセンス契約に合意しています。

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Maker Studiosはオンライン向けのテレビ番組スタイルのコンテンツ制作を得意としています。Maker Studiosでは現在5000以上のYouTubeチャンネルがあり、1億4000万人以上のチャンネル購読者が存在します。有名な音楽動画チャンネルでは「Epic Rap Battles」や「Gregory Brothers」、「Snoop Lion’s WestFestTV」などの音楽番組があります。番組はMakerの持つスタジオで制作されたものもありますが、多くは独立系動画制作者によって独自に制作された番組です。
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今回発表された契約では、MCN2社が配信するYouTubeアーティストは世界最大の楽曲カタログを持つユニバーサルミュージック・パブリッシングから楽曲を使用しカバー曲を制作できる権利が与えられます。そしてカバー曲の動画からの広告収入はYouTubeアーティスト、権利者、MCNsでシェアされます。

これによりYouTubeアーティストそして楽曲権利者は、双方が動画からマネタイズできる仕組みが生まれました。またユニバーサルミュージックも人気YouTubeアーティストに楽曲をカバーしてもらうことで、オリジナル曲をプロモートする流れができます。

さらにYouTubeアーティストとMCNsは、難しい権利問題に直面する問題なく、クオリティの高い動画を作成配信することができるようになりました。

この契約でユニバーサルミュージック・パブリッシングや楽曲権利者への動画からの収益は当初小規模になると想定されています。しかし、動画制作者がどの程度頻繁に楽曲を使うか、そしてその動画がどれくらいネットで人気を博すかによっては、巨大な利益が見込めます。

またYouTubeで高い人気を持つチャンネルを配信するMCNsと契約することで、今後オーディエンスが拡大することで更なる収益を音楽家やユニバーサルミュージックは見込めます。

高い収益の理由の一つに、FullscreenやMakerなど良質なネットワークへ支払われる高額の広告費が挙げられます。YouTubeネットワークには、その再生回数の多さ、質の高いコンテンツ、クリエイティブ性から広告費が通常よりも高く設定されていて、より確実に視聴されやすい動画に高額の広告費を支払う企業や広告主が増えています。ネットワークが配信するトップYouTubeアーティストの場合、カバー曲の再生回数は百万や千万を超えることは普通です。

これまでレコード会社や音楽家は、YouTubeに投稿されるカバー曲や動画で著作権のある楽曲が無断で使用されるためロイヤリティが支払われていないケースに悩まされてきました。多くの場合、レコード会社はそれらの動画を削除するか、その動画に広告を出稿することができます。広告出稿の場合、権利者はカバー曲の場合、動画の売上から50%を、マスター音源の場合(口パク動画など)売上の15%を取得することができます。

しかしカバー曲や楽曲利用は検索が難しかったり、検索された時点ではすでにネットでの人気がピークを過ぎているため、広告収入を最大化できず、レコード会社や権利者はマネタイズの機会を逃してきていたのが現状です。

今回の契約では、カバー曲や楽曲利用に動画投稿の時点から広告を始められるため、マネタイズにつなげることが可能になります。

この契約は凄い! なぜかというとクリエーターの自由度がうんと上がるからです。動画を投稿する時に削除されることを恐れる必要も無くなったし、カタログが増えて収入も増える可能性も増える。YouTubeアーティストにとっては理想的な契約ですね。YouTubeを見る側も知っているカバー曲が増える可能性があって、その動画が良質なプロダクションによって制作されると、見たくなりますよねきっと。例えばボカロアーティストを配信するネットワークがあるとします。この人達が自由にユニバーサルミュージックの楽曲をカバーすることができるようになるんですよ。
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Megan NicoleとかTyler Ward, Luke Conardとか、YouTubeで人気のあるアーティストの多くはカバー曲で有名になってますからねー。今だったら動画を投稿後数日で数10万、数百万の再生回数に届くくらいですからね。プロのアーティスト並です。カバーアーティストにここまでオープンな姿勢を取るユニバーサルミュージックは凄いと思いました。

どれだけYouTubeのクリエーターがハイレベルなのか、よく知りたい人は「Streamy Award」をチェックしてみてください。

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ソース
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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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