Appleが、独自のオンライン音楽ストリーミングサービス開始に向けて、大手レコード会社の2社と契約直前にあるとCNETがレポートしています。

Appleの新音楽サービスは、iTunesと連携した無料オンラインラジオサービス(「iRadio」と噂)になると予想されます。また新サービスはモバイルでも提供され、曲の始めに戻れる機能(通常オンラインラジオでは出来ない)など独自の機能を搭載するとのことです。

Appleは数週間のうちにユニバーサルミュージックワーナーミュージックと新サービスでライセンス契約に合意する可能性があると情報ソースは伝えています。Appleはサービスのローンチを今年の夏に予定し、米国だけでなく、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、日本での早急のローンチも計画しているとのこと。一方でApple はソニーミュージックや音楽パブリッシャーを説得させる必要が今後あります。

米国最大のネットラジオPandora Radioの2012年を振り返る、年間視聴は130億時間以上に拡大

ビジネス面では、Appleとレコード会社の契約内容は、米国最大のネットラジオPandora Radioがレコード会社へ支払うロイヤリティ料を大きく下回る契約内容になると情報ソースは伝えてられます。ロイヤリティ料の低減は音楽ビジネスにとっては不利な条件ですが、Appleは新しいサービス開始において、複数の収益源をレコード会社とシェアする提案をしているとのこと。可能性として、iTunesを連携させ、聴いた曲を購入できるシステムを組み込むことで新たな収益源を提供するとレポートでは伝えています。またAppleはラジオサービスに新しいオーディオ広告をのせることでレベニューシェアへとつなげる可能性も考えられます。

オンラインラジオでは米国最大のPandoraは、無料サービスの提供によって多くのユーザーを獲得する一方で、巨額のロイヤリティフィーをレコード会社に支払う契約があるため、広告収入だけで事業の利益化に結び付けられないのが現状です。

世界的に2013年は大手テクノロジー企業の音楽ビジネスへの本格参入が期待されています。Appleを始め、GoogleとYouTubeの定額制サービスやAmazonの定額制サービスに加え、既に開始しているMicrosoftのXbox MusicやサムスンのMusic Hubなど大企業は、ウェブやモバイル以外にデジタルストアやデバイスと連携したサービス提供で、レコード会社や事業会社に大きなロイヤリティフィーや新たな収益源を構築することが、可能になります。音楽サービス企業はAppleやGoogleなどが支払う巨額のインセンティブを支払うだけの資本力が今のところ持ちあわせていません。

Appleは毎年6月に開催する開発者向けイベント「Worldwide Developers Conference」で新サービスを発表するのではと言われています。

アップルCEOティム・クックと高級ヘッドフォンBeats by Dr. Dreのトップが会合、音楽サービスについて話し合う


ソース
 For labels, Apple’s iRadio deal could be sweeter than Pandora(4/6 CNET)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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