アメリカレコード協会(RIAA)は、米国の音楽売上に応じて認定するゴールド&プラチナ認定プログラム制度に、SpotifyRdioを始めとする音楽ストリーミングサービスYouTubeVEVOなど動画配信サービスの再生回数をカウントすると発表しました。

今回の変更が適応されるのはRIAAが認定するデジタル・シングル・アワードで、これまで音楽ダウンロード数を基準として50万DLをゴールドディスク、100万DLをプラチナディスク、200万DL以上をマルチプラチナディスクに認定してきました。新しいカウントでは、ストリーミング再生100回がダウンロード1回とカウントされていきます。今後RIAAは再生回数とダウンロード回数の合計で、ゴールド&プラチナ・ディスクを認定することとなりました。変更によって、すでに56曲が影響を受け、デジタル・アワードに認定されました。

今回新たにゴールド&プラチナ・ディスク認定を受けた楽曲例

エアロスミス: I Don’t Want To Miss A Thing (ゴールド)
ラナ・デル・レイ:Video Games (ゴールド)
ホイットニー・ヒューストン:I Will Always Love You(ダブル・プラチナ)

ゴールド&プラチナ・ディスクの実績にはSpotify, Rdio, MOG, Rhapsody, Xbox Musicなどの音楽ストリーミングサービスと、YouTube, Vevo, MTV.com、Yahoo Musicなど動画配信サービスでの再生回数がカウントされます。

RIAAの変更の背景には、業界グループとRIAAの間で1年以上に渡る話し合いが行われてきました。今回音楽ストリーミングサービスと動画サービスの再生回数を開始するにあたり最も議論された点は、何回の再生回数をカウントするのかという点です。現状では、音楽ストリーミングサービスの再生回数と売上との関係は各サービスによって分かれており、また各サービスが支払うロイヤリティ料(=売上)は契約によって異なるため、ビジネス的な観点から統一することが非常に難しくなります。この結果からRIAAは消費者の行動を分析し、ダウンロードされた曲の再生回数を調べた結果、100回の再生回数が1ダウンロードという結果にたどり着いたと、RIAAの会長キャリー・シャーマンはBillboardに語っています。

今回の決定は、SpotifyやRdioの存在が業界内で確実に無視できない存在にまで成長してきたことを示して、米国内でのデジタル音楽への認知が拡大していると言えます。業界の後押しもあってこそ、新しいデジタル音楽サービスの普及につながる一貫と言えます。また音楽業界団体もデジタル音楽の現状を受け止め、積極的に取り込む活動を行なっている部分も評価されるポイントです。今何を使って音楽を聴かれているかを把握し情報に反映させることで、消費者志向の音楽シーンを形成する流れを作ってくれます。この流れは、音楽を作るクリエーターにとっても、音楽を販売するレコード会社や音楽サービスにとっても機会創出のキッカケとなります。

RIAAの動きには、クリエーターや音楽ビジネスに携わる人間と一緒になって音楽ビジネスや音楽シーンを広げようとしている思いを忠実に反映していると感じました。

日本では、日本レコード協会が認定する累計正味出荷枚数をカウントする「ゴールドディスク認定作品」に加えて、有料音楽配信売上実績をカウントする「有料音楽配信認定」が存在します。ですがおかしな事に有料音楽配信認定では以下の3つのカテゴリーに分かれて認定がされています。分ける必要があるのかどうか分かりません。この辺りに詳しい方がもし読んでいれば、お話を伺ってみたいです。

1)「着うた(R)」
2)「着うたフル(R)」
3)パソコンダウンロード(シングル、アルバム)

日本でも今の時代にあったチャートとディスク認定に切り替えた方が、音楽リスナーの声をより忠実に反映でき音楽の盛り上がり具合を支援できると思います。ここはSpotifyやレコチョクBestなどとは贅沢は言わず、まずはYouTubeとニコニコ動画を反映させることからでもご検討してみるのはいかがでしょうか?

 

ソース
Exclusive: On-Demand Streams Now Count Toward RIAA Gold & Platinum(5/9 Billboard)
Sign of the times: RIAA now includes streaming music in digital gold, platinum awards(5/10 The Verge)
RIAA Adds Digital Streams To Historic Gold & Platinum Awards(5/10 RIAA)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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