現代はミュージシャンにとって従来のやり方に執着しているだけでは十分な収益を得ることが難しい時代です。ミュージシャンもCD(もう売れないけれど)を売る以外の収益源を自らの手で開拓しなければなりません。そのヒントはデジタルツールの有効的な活用に秘められています。

ラップシーンを代表するミュージシャンの一人、スヌープドッグ(スヌープ・ライオン)と彼のチームが収益源として見出したのはスタンプでした。彼のチームが短期間で開発したのが、無料アプリ「Snoopify」です。Snoopifyはスヌープの世界観をイラスト化したステッカー(スタンプ)をスマホで撮影した写真に貼り付けて友人と共有できる写真アプリです。(iOSAndroid

ウォールストリートジャーナルの取材に答えたスヌープのマネージャー、ニック・アドラー (Nick Adler)によれば、スヌープはSnoopifyのスタンプの売上で、毎週3万ドル (約300万円)を稼いでいるそうです。Snoopifyのスタンプには、スヌープの顔や帽子、その他もろもろスヌープに関連するオリジナルアイテムが用意されています。

ユーザーは、アプリにデフォルトでインストールされたスタンプを使うか、または有料スタンプを購入してさらに写真をデコレーションすることができます。有料スタンプは8個セットで0.99セント、または全スタンプセット420個を1.99ドルで購入できます

Snoopifyで投稿された写真はInstagramや、TwitterFacebookのハッシュタグで見つけることができます。

知っていましたか? スヌープはいち早くLINEを使い始めた海外のアーティストで、期間限定でスタンプを無料配布するなど、SnoopifyもLINEのスタンプから影響を受けたことはおおよそ考えられます。

上記のツイートのように、スヌープはよくファンとアプリやSNSを使って交流しています。

スヌープドッグがユニークでクリエイティブなアイデアマンである理由として、ファンが楽しめるアイデアをシンプルに実現することだと思います。今回は写真アプリを使うことで、強制的になることもなく、音楽ファンの日常生活の中に溶けこんでくる絶妙な距離感を保ちながらマネタイズまでも実現しています。

http://www.myplaydirect.com/snoop-lion
https://twitter.com/SnoopDogg
https://www.facebook.com/snoopdogg

ミュージシャンがマネタイズを考える場合、物販が即座に考えられる。例えば物販を実施した場合、グッズ販売には、どうしても買いたいと思う購入者が存在して初めて成功します。ですが、そのニーズを満たすためにはまた在庫も抱えなければなりません。さらに一度作ったものから簡単に方向性を変えることは不可能です。

一方でデジタルグッズやデジタルコンテンツを販売するのであれば、制作する前から、本当に欲しいファンが存在するのか、どれくらいの数がいるのか、どの程度のレベルが適切なのかを、普段から接しているソーシャルメディアのフォロワー関係からある程度予測することが可能です。また、コンテンツの種類を豊富に揃えることで、多様なファンのニーズにも対応ができます。スタンプのようなコンテンツやアドオン機能であれば、少額で課金ができるため、購入のハードルも下げることができます。さらにデジタルの場合は、在庫を抱える必要はありません(サーバー費はかかりますが)。

Snoopifyやその他の写真アプリやLINEのようなチャットアプリなど、ユーザーのスキマ時間を埋めてくれたりするツールのおかげで、より多くのファンの日常生活の中にミュージシャンが入っていくことができるようになります。だからといってアプリを作るとか、LINEにスタンプを作ると言っているわけではありません。

もしかするとそれはGoogle+ハングアウトを使った小規模な音楽レッスンかもしれません。オリジナルアートワークかもしれません。ファンが求め、そして本当にお金を払いたくなるような、付加価値のあるデジタルコンテンツをそれぞれが見つけることが大事です。例えば無料と有料を掛けあわせて提供するフリーミアム・モデルを検討してみるのも、手段の一つです。ここに合わせて、ソーシャルメディアで日々コミュニケーションを取りファンとの距離感やデータを獲得できれば、その結びつきが音楽やライブチケットの購入へと広がったり、ファンをロイヤルファンへと変えていくことが可能になると思いました。

大物アーティストの一人ですが、実験的な試みを行なっているスヌープ・ドッグには、現代のミュージシャンにとってのマネタイゼーションのヒントが数多くあるのでは、と思ってしまいました。

 

ソース
Why There’s a Sassy Wombat on Your Phone(6/13 Wall Street Journal)

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(Jay Kogami)

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