夢に向かって進んでいる一人の音楽プロデューサーの話。

先日サムスンとパートナーシップを結び、サムスンGalaxy端末ユーザーに先行無料配信を始めたジェイ・Zの4年ぶりの新アルバム「Magna Carta Holy Grail」。革新的な音楽プロモーションやリーク情報がメディアやオンラインで大きく話題を集めていますが、ビヨンセやジャスティン・ティンバーランド、ファレルなど豪華なタレントとの共演も話題になっています。そんな世間の注目を集める新アルバムに、プロデューサーとして参加した16歳の女の子のサクセスストーリーにも注目が集まっています。

その女の子とは、音楽プロデューサーでビートメイカーの「WondaGirl」ことEbony Oshunrinde。16歳のカナダ人高校生ですが、ジェイ・Zの「Magna Carta Holy Grail」の楽曲「Grown」にビートを提供したプロデューサーの一人としてクレジットされているのです。

 

彼女は、音楽家系でもセレブな家庭出身でもなく、どこにでもいるようなごく普通の女子高校生です。ただ普通と違うのは、音楽への熱い思いと、普通の16歳では体験できないような音楽制作に関わったということです。

Oshunrindeが音楽制作を始めるキッカケとなったのは、9歳の時にジェイ・Zとティンバランド(Timbaland)がスタジオで音楽を制作している動画をネットで見て、音楽への興味を掻き立てられ、自分も同じようになりたいと思ったそうです。

ここからが現代の子供らしいやり方です。彼女はまず音楽ソフトウェアをダウンロードしまくり、ビートを作成し始めます。

そしてビートの作り方も、YouTubeにアップされている音楽制作のハウツー動画を見て覚えたと言います。

つまりビートメイキングは完全に独学で、しかもネット学習でゼロから覚えたところが今風の子供と言えます。

彼女は15歳の時、トロントで毎年開催されるビートメイカーのためのコンテスト「Battle of the Beat Makers」で見事に優勝し、トロントのレーベル「Black Box Music」と契約を結び初めてスタジオでビートを作り始めます。

Magna Carta Holy Grailにビートが使われる経緯は、Oshunrindeが当初スタジオで作ったレゲエ調のビートを1年前に出会ったラッパーでプロデューサーのトラビス・スコット(Travis Scott)に送ったところ、なんとトラビスはテキストを受け取った瞬間にジェイ・Zと一緒にスタジオで音楽制作の真っ最中だったというタイミング。数日後トラビスが「人生が変わるよ」とテキストを送ってきてそこでOshunrindeは初めてジェイ・Zのアルバムに自分のビートが採用されたことがわかったそうです。

アルバムMagna Carta Holy Grailにプロデューサーとして参加することが明らかになって以来、彼女のTwitterには彼女を応援するツイートや、一緒に音楽制作をしたいというメッセージが数多く届いているそうです。

https://twitter.com/WondaGurlBeats

WondaGurlの例は、極希でありえない話かもしれませんが、元気をもらう話です。ネットで音楽を見てインスパイアされ、自分で音楽をネットから学ぶやり方も若者らしいですし、アイデアにリミットは無いことを再確認しました。本来のやり方に制限されることのない新しい発想とオープンな姿勢によるアプローチが彼女にはあります。ネットの可能性は無限ですね。

こんな人が日本にも現れて、受け入れられる音楽制作の環境ができたら、もっと新しい音楽が生まれ、作りたい人も増えていってくれるでしょう。そんな環境が一日も早く生まれることに期待したいです。

これが世界を巻き込む音楽マーケティングの最先端! ジェイ・Zとサムスン、Galaxyユーザーに最新アルバムを無料で7/4から先行配信

 

ソース
Jay-Z credits Brampton teen WondaGurl on new album(7/4 Toronto Star)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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