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Skype創業者が立ち上げたサブスクリプション型音楽ストリーミングサービス「Rdio」(アールディオ)は、新しいパーソナライズド・ラジオ機能「Stations」を発表しました。Stations機能はユーザーの音楽の趣味嗜好や視聴履歴などのデータをRdioが分析し、最も最適な音楽プレイリストを自動生成してくれます。

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Stations機能では、ユーザーの趣味嗜好の他にも、フォローしている友人知人の音楽情報や、SNSでフォロー・いいね!した音楽情報などもベースに、自動レコメンドするステーションを構築してくれます。例えば何を聴きたいか分からないという場合は、好きなジャンルやアーティスト名を入力するだけで、自分のテイストに合う音楽が自動再生されます。

RdioはStations機能によって、オンデマンドな音楽視聴の楽しみ方に加え、パーソナライズされた全自動の音楽レコメンデーションを加え、新しい音楽と出会う音楽発見(ミュージックディスカバリー)体験を拡張します。

RdioのStation機能はウェブプレーヤー、iOS、Androidアプリ向けに提供開始しました。

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「Stations」の特徴と機能

エンドレス・ステーション:好きなアーティスト、ジャンル、曲名で検索するだけで、ステーションが開始できます。また400以上の音楽ジャンルの中から検索もできます。

新UI:再生している楽曲に「いいね!」して、自分のステーションをよりパーソナライズすることが簡単になりました。また楽曲セレクションを「Artist Only」か「Adventurous」に設定できるので、好きなアーティストを聴き続けたい場合でも、聴いたことない新しい音楽を聴きたい場合でも、音楽の好みによって調整ができます

「You FM」:ユーザーの視聴履歴、Facebookのいいね!、Twitterのフォロワー、Rdioでいいね!した楽曲を分析し、その結果に最適なステーションを自動生成してくれます。You FMは音楽解析サービス「Echo Nest」(エコー・ネスト)のエンジンをベースに構築されています。

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RdioのStation機能では、以下のようなソーシャルグラフやインタレストグラフをベースに趣味嗜好を分析しステーションを自動生成します。

■ ユーザーが好きなアーティスト/楽曲/ジャンルから自動生成されるステーション
■ ユーザーがブックマークしたお気に入りの「コレクション」から生成されるステーション
■ Rdio内でつながる友人が聴いた「Heavy Rotation」から生成されるステーション
■ ミュージシャン、音楽メディア、音楽専門家などRdioユーザーの視聴行動をベースに生成されるステーション

最も特徴的な機能としては、ユーザーは友人の「You FM」をクリックして、友人のステーションを聞くことができることではないでしょうか? 例えば読者の方がRdioをお使いなら、僕のステーション「Jay FM」を聴くことができます。

このアプローチは、音楽が自分の聴いた楽曲やコレクションだけにとどまらず、ソーシャルグラフ、インタレストグラフでつながる音楽好き同士から新しい音楽を知ることができ、人と音楽がつながる可能性が以前よりも高まります。

例えて言うなら、昔友人の家に遊びに行った時に置いてあるCDやアナログをチェックする感覚がウェブ、モバイルで実現するのです。この気軽な感覚「パーソナル化」した音楽体験が、ユーザーにとってより音楽とのつながりを強くすると感じます。個人的にとても面白いと思います

またStations機能は定評のあるRdioの美しい洗練されたデザイン性を受け継いでいます。ユーザーがクリックしやすいように、手間がかからずクリックができるよう、見やすいスマートなインターフェースに完成されています。

パーソナライズド・ネットラジオの拡がり

Rdioの基本サービスは、オンデマンドの音楽ストリーミングサービスです。この分野にはスポティファイDeezerなど多くの企業が参入しています。

一方でPandoraやAppleが今秋から開始する「iTunes Radio」といった、ユーザーの趣味嗜好を分析し最適な音楽をレコメンドする、パーソナライズド・ネットラジオサービスがあり、こちらも多くの注目を集める音楽サービスです。

新しい業界のトレンドとなりつつあるのが、この二つを統合したハイブリッド型音楽サービスです。Googleが展開する「Google Play Music All Access」は、オンデマンドとパーソナライズド・ラジオのハイブリッド型音楽サービスで、有料ユーザーに総合的な機能を提供しています。またスポティファイやDeezerもパーソナライズド・ラジオ機能を提供してきました。Rdioも今回Stations機能を開始し、ハイブリッド型の音楽サービスの提供を目指します。

Rdioはこれまではユーザーが自ら検索した音楽を再生するか、他のユーザーが生成したプレイリストを再生する、音楽体験が主でした。今回の新機能では、RdioがDJとなり、ユーザーに最適な音楽をスマートに届けます。

音楽を見つける方法に正しいアプローチはありません。ですが音楽サービスがただ一方的に楽曲数を増やし続けるだけでは、ユーザーの音楽体験を引き上げることは不可能です。

サービス自体がレコメンドしてくれる機能は非常に便利だと思います。その意味でパーソナライズド・ラジオ機能は今後も成長し続けると思っています。

その中でも特に今後重要視される特性の一つは、前途のソーシャルグラフ・インタレストグラフでつながる人同士から音楽に出会う「ソーシャル・ミュージック・ディスカバリー」だと思います。友人知人が聴いた音楽をフィルターに、新しい音楽をエンドレスで視聴できるアプローチは、「驚き」や「つながり」など音楽にコンテキストをもたらしてくれます。その結果、音楽を聴くことが「楽しい体験」と感じさせてくれると思います。

Rdioの新機能は音楽発見のオプションをまた一つ増やしてくれて、音楽ストリーミングサービスの有料会員になる価値を作りました。新しいやり方で音楽を見つけてみたい、人と音楽の体験をシェアして音楽のつながりを作りたいと思われる方Rdioやスポティファイをオススメしますよ。

ソース
Find Your Frequency: Stations on Rdio(8/8 Rdio Blog)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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