米国のサブスクリプション型音楽サービス「Rhapsody」(ラプソディ)は大規模な組織変更を行ったことが明らかになりました

まず過去3年CEOを務めたジョン・アーウィンと、CFOのアディ・デハリア (Adi Dehajia)の経営陣二人を解雇し、後任のCEO探しを開始しました。後任のCFOには、元スターバックスで戦略・コーポレート開発グループに所属していたイーサン・ルーディン (Ethan Rudin)が就任しています。次にRhapsodyは同社の15%にあたる従業員30人を解雇しました。

今回の組織変更は、Rhapsodyの大株主となった投資グループ「Columbus Nova」による決断によるものです。Columbus Novaは、有名な音楽ビデオゲーム・シリーズ「Rock Band」のオーナーでもあります。Culumbus NovaはRhapsodyの大株主だったRealNetworksとViacomから同社のシェアを獲得したと見られますが、株式の分配については分かっていません。

Rhapsodyの取締役会は、米国での事業を再編し、ヨーロッパや新興市場での成長を加速させるために事業の見直しを始めました。Rhapsodyは現在「Napster」ブランドの音楽サービスをヨーロッパ15カ国で展開しています。

Rhapsodyは2001年にサブスクリプション型ビジネスをいち早く音楽に持ち込んだ企業で、10年以上に渡り競争の激しいサブスクリプション型音楽サービスの分野を生き抜いてきました。しかし、近年はスポティファイやPandoraなど新たに台頭してきた音楽ストリーミングサービスに対抗することが出来ず、市場での存在が低下する一方でした。

Rhapsodyが音楽ストリーミングのトレンドに乗り遅れた理由の一つに、新規ユーザーの集客に有効な広告付きの無料サービスを提供せずに、有料サービスのみで運営してきたことが挙げられます。

Rhapsodyの発表は、アップルが無料の音楽ストリーミングサービス「iTunes Radio」をデフォルト搭載したiPhone 5s/5c(米国の話)を発売開始する直前に行われたことから、再編を迫られる音楽サービスが今後も出てくる気がします。今のところ噂はありませんが、どこかの企業がRhapsodyを買収して音楽サービスを開始したり、既存のサービスを強化するかもしれません。

ソース
Eclipsed by rivals, Rhapsody reduces staff and ousts key managers(9/16 The Verge)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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