スウェーデン人アーティスト達が、音楽ストリーミングサービスからのロイヤリティ収入を巡り、ユニバーサルミュージックとワーナーミュージックを告訴する準備をしていることが明らかになりました。
もしレコード会社がアーティストに対して、Spotifyなど音楽ストリーミングサービスからのロイヤリティ分配を増やさなければ、アーティストはSpotifyなどから楽曲カタログの引き上げを要求すると、Swedish Musicians’ Unionの弁護士、ペア・ヘレイ(Per Herrey)が言っています
スウェーデンでは、レコード会社と80年代またはそれ以前に契約したアーティストはアナログレコードやCDをリリースした場合、レコード売上の6-10%を受け取る契約内容になっています。分配の理由としては、レコード会社がスタジオ制作やマーケティングのコストを請け負うだけでなく、フィジカルCDのコスト、ディストリビューションコストなど製造から物流までの支払いを請け負ってきたからです。
Spotifyの場合、これらのコストが発生することはありません。しかしユニバーサルミュージックやワーナーミュージックなど幾つかのレコード会社は、CDと同じ配分で売上をアーティストと分配しているのが現状です。
ヘレイは組合に加盟する数名のアーティストに至っては、レコード会社とアーティストとの間で合意された契約が古すぎてデジタル領域でのディストリビューションや販売に関する内容まで含んでいないため、ユニバーサルミュージックとワーナーミュージックは、彼らの音楽を音楽サービスで使用する権利さえも持っていないと主張します。ハレイとアーティストは、デジタル・ライセンスはサードパーティのライセンスとして扱われるべきで、売上分配は50対50であるべきというスタンスを取っています。
ロイヤリティ料分配の問題はスウェーデンだけに限ったことではありません。イギリスの音楽家組合「Musicians’ Union」もスウェーデン人アーティストと同様のスタンスを取っています。
Musicians’ Unionのホレース・トゥルーブリッジは
レコード会社はフィジカル販売のコストほどオンライン配信でコストを被っていません。ですが、彼らは海賊行為で大きな被害を受けてきた背景から、デジタルにもフィジカルと同じロイヤリティ料分配を適応してきました
とコメントしています。
一方で、ロイヤリティ料分配をアーティストと公平に分配するレコード会社もあります。XL Recordingsの親会社、ベガーズ・グループ(Beggards Group)はすでにアーティストとロイヤリティ収入の分配比率を50対50に変更しています。
イギリス作曲家を代表する業界団体「PRS for Music」のCEO、ロバート・アシュクロフト(Robert Ashcroft)もSpotifyのロイヤリティ料分配を問題視しています。アシュクロフトは作曲家や著作権利者もラジオのロイヤリティ支払いと同様に、レコード会社やアーティストと同規模のロイヤリティ収入を得るべきだとコメントしています。
今回レコード会社を訴えるスタンスを見せているアーティスト名は明らかになっていません。ハレイは今回の件が裁判所ではなく交渉の席で解決できることを望んでいるともコメントしています。
ソース
Spotify row: artists threaten to sue labels over music streaming(10/25 The Guardian)