ロックミュージシャンのベックが、世界中で急成長している音楽ストリーミングサービス「Spotify」(スポティファイ)について独自の見解をインタビューで語っています。

アルゼンチンの新聞「Pagina 12」でのインタビュー(The Future Heartが英語翻訳を掲載)でベックは世界で広がりつつある新しい音楽ストリーミングサービスとトム・ヨークなどアーティストの議論について、

「Spotify」など新しいサービスの成長は『必然的』だよ。でも、どうやって人を支援していくのか、についての質問を彼らはうまくはぐらかしているよね。だってSpotifyから僕への収入じゃ、僕のバンドのミュージシャンやレコードを一緒に作る人への支払いも出来ないからね。彼らのビジネスモデルは機能していないよ。

とコメントしています。

ベックは、最近彼のSpotifyアカウントでプレイリストをシェアするなど、Spotifyに現在でもコンテンツを配信しています。一方でSpotifyの別の問題点も指摘しています。

Pride  In The Name Of Love  - U2 - Spotify

音楽ストリーミングで最も悲しいは、音質の問題だと僕は思う。まるで『市民ケーン』(Citizen Kane)を携帯で見ているようだよ。これが今みんなが聴いているモノだとはね! デジタルファイルの品質を向上させるチャンスはたくさんある。ニール・ヤングがそのシステムを今手がけていることも知っている。いつかそれは実現して、みんな音楽が好きになっていくと思うよ

と、答えています。

さらにベックは、近年の音楽業界について、こう答えています。

ほとんどのミュージシャンが音楽ビジネスの世界から遠ざけられてると僕は思う。僕達はビジネスマンによって作られたビジネスの世界で生きている。それが今の世界の流れだ。なぜなら彼らは音楽をその他の製品と同じように売らなければならない。もしミュージシャンにやり方が委ねられたなら、全然違う世界になっていただろうね。僕はいつもそのことを頭の片隅に覚えているよ


こちらがベックのプレイリスト

このインタビューだけでは、ベックがトム・ヨークやナイジェル・ゴドリッチ、デヴィッド・バーンなどと同じ意見で、Spotifyをはじめとする音楽ストリーミングサービスに否定的なスタンスかどうかを、読み取ることは難しいです。彼の指摘もまたミュージシャン目線のリアルなものですが、問題を解決するほどの結論には至っていません。

ソース
BECK DISCUSSES TIME GAP BETWEEN ALBUMS – PLUS SONG READER UPDATES, SPOTIFY DEBATE(11/13 The Future Hearts)
Beck Joins The Anti-Spotify Club, Shares Spotify Playlist(11/14 Stereogem)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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