アメリカ最大ユーザー数を持つネットラジオ「Pandora」が第3四半期の決算を発表しました。

第3四半期(8-10月)は損失が前年同期比54%増加1億8200万ドルとなり、純損失170万ドルを計上しました。なおPandoraは前年同期には205万ドルの純利益を計上していおり、赤字は拡大しました。

Pandoraは損失増加の原因を、楽曲のロイヤリティ料支払いなどコンテンツ獲得コスト、製品開発コスト、マーケティングコスト増加のためとしています。

第3四半期の売上は1億8000万ドルで前年同期比50%増加しました。

売上増加の大きな理由は、好調な広告売上(収入の80%以上)で、今期は1億4430万ドルに達しました。モバイルからの広告売上は前年同期比58%増加し1億500万ドルに増加しました。

サブスクリプションなどその他の売上は3600万ドルでした。

Pandoraの第3四半期での視聴時間は41億8000万時間で前年同期比17%アップしています。

PandoraのCEO、ブライアン・マックアンドリュース(Brian McAndrews)は決算発表のカンファレンスコールで、アクティブユーザー数減少について、

昨年と比較した数字だけを見れば、Pandoraは順調に成長しているように見えます。しかし、第2四半期(5-7月)の数字と比較すると、「コンテンツ獲得コスト」がさらに拡大し、「アクティブユーザー数」は減少しています。

前年比で見ると、10月のアクティブリスナー数は20%増加し7090万人に達しました。この数字は、9月から比べて2.9%とわずかに減少しました。我々はこの減少を、Pandoraユーザーでも最も関与度が低いカジュアルリスナーがその他のサービス、多分iTunes Radioを試した結果だと考えています。

週ごとの分析では、減少はiTunes Radioローンチ後数週間の間にほとんどとどまりました。それ以降、アクティブリスナー数は安定し、10月末までに拡大してきました

と、コメントしています。

視聴時間の増加は、Pandoraが9月に月間40時間の視聴時間制限を無くしたことが影響していると考えられます。

Pandora 第3四半期決算

・売上高:1億8000万ドル(non-GAAP方式:1億8158万ドル)
・損益:170万ドル
・広告売上:1億4430万ドル
・モバイル広告売上高:1億500万ドル
・コンテンツ獲得コスト:8699万ドル
・視聴時間:41億8000万時間
・アクティブユーザー数:7090万人(前年同期比20%アップ)
・RPM(Revenue Per Thousand Listener Hours):40.11ドル
・米国内ラジオシェアは8.06%(前年同期比6.61%)

米ネットラジオPandoraの第2四半期決算、売上高が55%アップも純損失は拡大

Pandoraとは?

米国で最大のネットラジオ「Pandora Radio」は、アメリカでウェブ、モバイルリスナー向けに無料のパーソナライズド・ラジオ・サービスを提供します。

Pandora最大の特徴は、独自の音楽解析システム「Music Genome」を活用したパーソナリゼーション機能です。Music Genomeは音楽学者やアーティストなどプロフェッショナルが、各楽曲のテンポやハーモニーなど特徴を直接分析したデータベースで、このデータを元にユーザーの趣味嗜好に合わせた最適な楽曲をレコメンドする仕組みです。ユーザーはPandoraをブラウザ、iOSやAndroidなどモバイルアプリ、XboxやPlayStation, 自動車の車載インフォテイメント・システムなど、幅広いプラットフォームで利用することができます。ですがPandoraが利用できる国は現在米国とオーストラリア、ニュージーランドに限定されます。

Pandora Reports Record 3QFY14 Financial Results(11/21 Pandora)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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