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2月末に日本発の音楽ハッカソン「Music Hack Day Tokyo 2014」が開催され、150人以上の音楽に関心ある日本人デベロッパーやデザイナーが集結しました。週末は、世界的な音楽企業と組んで数多くの面白くクリエイティブな音楽ハックが発表され、日本人デベロッパーが主役となる音楽イベントとしては、小規模ながらも日本のデジタル音楽シーンにおいて歴史に足跡を残したと言えるのではないでしょうか。

音楽に興味のある日本人デベロッパーが多く参加したこと、そしてプレゼンを聞いていて音楽サービスやアプリ開発のナレッジが高いことに正直いってビックリしました。さらに驚いたのは、週末に開発した後のビジョンです。

開発したアプリを将来的には正式にiOS/Androidアプリでリリースしたい、ウェブサービスで音楽好きの音楽体験を支援したい、そんな未来図をすでに持ってイベントに望んだデベロッパーが多く登場したことに驚くと同時に、これからの日本の音楽やIT業界でも音楽アプリ/サービス開発を武器にするデベロッパーがもっと増えていくだろうなぁという楽観的観測を再確認しました。

via Twitter (@Musichackday)

via Twitter (@Musichackday)

将来、音楽ハッカソンを体験した日本人デベロッパーや、ここで生まれたアイデアからデベロッパーとレコード会社、デベロッパーとアーティストなどによるコラボレーションが生まれ、新しいクリエイティブなリアルの製品が作られる流れが出来てくれたら、日本の音楽シーンにも音楽を日常的に楽しみ方が増え、音楽を聴くキッカケが増えてくれるだろう。そういう意味で音楽ハッカソンは同じマインドセットを持ったデベロッパーがアイデアをシェアできる貴重な場になってくれればと。今回、幸運にも審査員の1人として音楽ハッカソンに参加し、デベロッパーにも話を聞く機会もあった中で、そんなことを強く感じました。

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ですが、1つ反対に強く思ったこともあります。それは、「日本人は真面目すぎる!」

「音楽アプリを正式にリリース」もイイと思いますよ。それは、僕も支援したいです。ですが、音楽が本当に好きなら、音楽ハッカソンの場でもっと遊んで、「自分がこんな楽しいことを普段考えている」ことを表現してほしかったです。例えば自分が普段から何気なく日常的に行っている行動を音楽で拡張してみるとか、普段から気になっていた日常の様子を音楽で表現してみるとか、音楽とは全く関係のない領域の製品と音楽をつなげてみるとか。

皆さん、真面目に音楽を考えていることは素晴らしいと思いました。でも真面目すぎるのは、よくありません。音楽はエンターテイメント性とクリエイティブ性があって初めて成立します。だからもう少し「これ、アホや」と思える音楽ハックがあっても良かったというのが、個人的感想です。

音楽サービスや音楽アプリも機能性を追求するよりも、より一般人が理解できる日常的な要素があったほうが、見ているオーディエンスや実際に使うユーザーにとってはより共感されやすくなると思います

ですので、今回ご紹介するのは、Gracenoteのメンバーが作った遊び心満載の音楽ハック、パチスロ型の音楽プレイリスト生成ウェブアプリ「パチ.IO (pach.io)」です。

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Pach.ioPach.io(英語)

パチ.IO(パチオと読みます)はすでにウェブ上で公開されていますので、上のリンクで遊んでみてください。

このウェブアプリはとてもシンプルな音楽アプリで、誰でも気軽に遊べます。サイトに行ったら画面をクリック、すると「ムード」、「ジャンル」、「年代」の3つのカテゴリーをパチスロのように動きだします。そして3つに揃った配列の結果をアプリのエンジンであるGracenoteのAPIが解析、該当する音楽をYouTube動画とSpotifyから引っ張りプレイリストを自動生成してくれる、音楽アプリです。

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パチオなんですが、非常にシンプル。操作は、ただクリックするだけ。どんなプレイリストが出来るかは、毎回お楽しみ。当日、審査員を努めたWired誌編集長の若林恵さんも「これ、面白い!」って隣で言ってました。

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パチオでは、楽曲の解析エンジンにGracenoteが今年リリースしたばかりの最新音楽解析プラットフォーム「Gracenote Rhythm」の APIを使い、楽曲を抽出するためにSpotify APIとYouTubeを活用しています。

抽出する楽曲は日本語ではじき出せるので、日本人アーティストのプレイリストが生成されます。ですがSpotifyがまだ日本人アーティストの楽曲を配信していないこともあり、Spotifyの場合は英語での楽曲の方が多くなっています。

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制作したのは、Gracenoteのサンフランシスコオフィスからやってきた、UI / UXデザイナー、イスラエル・サンドセス(Israel Sundseth)、シニア・システム・エンジニアのリック・アダムス(Rich Adams)、そしてデベロッパー・プログラム・ディレクターを務めるChing-Wei Chen(チン・ウェイ・チェン, @cweichen)のチーム。

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日本へは初めての来日。Gracenoteは、このイベントで音楽APIを提供するスポンサー企業の1つでもあり、飛び入りで音楽ハッカソンに参加する形となりましたが、このように参加したい人が自由に音楽ハックできる点も、今回のイベントの醍醐味の一つでした。

イスラエルの話では、日本に来て面白そうだと思ったもの、自分の目で見たものを音楽と組み合わせて考えてみたらパチオが出来たと言っていました。パチオのアイデアはパチスロですが、イスラエルはその他にもチケット券売機やコンビニなどからもベースとなるアイデアを4-5個持っていたのですが、あまり深く参加するのは日本人開発者に申し訳ないという理由で、エントリーを1個に絞ったと教えてくれました。

プレイリスト生成はすごくカンタンなアイデアなのですが、そのアプローチと見せ方がユニークでクリエイティブ。「パチスロと音楽」と吊り合わない組み合わせも、興味を惹かれました。世の中をよく観察して、周りとは違った視点からクリエイティブな世界を作れると、オリジナリティある音楽ハックにつながると、パチオを見て実感しました。

今回音楽ハッカソンに参加したGracenoteは2月にパチオにも使われた「Gracenote Rhythm」を日本向に正式リリース。Gracenote Rhythmは、Gracenoteが保有し管理する世界最大規模の音楽メタデータを活用して、企業やデベロッパーがカンタンにオンラインラジオを構築できるプラットフォームで、2月から商用そしてデベロッパー向けにAPIをリリースしました。

Gracenote Rhythmを使えば、企業が音楽を用いてプロモーションを行いたい時にも、ゼロから構築するのではなく、アーティストやジャンル、年代などから自動で最適な楽曲をレコメンドしてくれるので、柔軟性が高く分かりやすい音楽サービスを作ることが可能になります。

ユーザーのニーズに合わせてカスタマイズすることもできる拡張性の高いソリューションです。なおGracenoteの技術はアップルのiTunes MatchやGenius, Amazon Cloud Player、ソニーMusic Unlimited、Microsoft Xbox Musicなど大手IT企業が現在活用しています。

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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