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グーグルは定額制音楽配信サービスのパーソナル化を目指しています。

グーグルは月額10ドルで提供する定額制音楽サービス「Google Play Music All Access」に、ユーザーのムードやアクティビティに最適なプレイリストを予想してオススメしてくれる新しい音楽レコメンデーション機能を追加しました。

Google Play Musicに搭載されたこの機能は、例えばユーザーが月曜日の朝にアプリを立ち上げたら、通勤や朝ジム、気分を高めてくれるプレイリストがレコメンドされる機能です。またユーザーの好みのジャンルやアーティストをアプリが学習して、自動で最適な曲を含むプレイリストを提供します。

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新機能はグーグルが7月に買収したキュレーション型音楽サービス「Songza」との連携で実現しました。Songzaは、ユーザーのアクティビティや気分に合わせた音楽をプレイリスト形式で届けるサービスが注目を集め、500万人以上のリスナーを獲得しました。

なぜSongzaはユーザーのムードやアクティビティを理解して、最適なプレイリストをレコメンドすることができるのか? それはSongzaが音楽ライターや音楽家など専門家による編集チームを編集し、ユーザーに最適と思うプレイリストを人力でキュレーションしているからです。

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人間によるキュレーションを連携したミュージックディスカバリー(音楽発見)は、世界のデジタル音楽サービスが注目する領域の一つで、今一番ホットな話題です。これまで音楽レコメンデーションやミュージックディスカバリーは、検索結果や購入履歴などをアプリがアルゴリズムで分析して最適な結果を提案する「マシーン型」が中心でした。そこにもっと人間味ある音楽レコメンデーションを提供しようとする開発者や起業家が現れ、「人型」レコメンデーションを軸にしたサービスを開発し始めました。Songzaはその象徴で、その他には8tracksなどがあります。

これまでヒューマン・キュレーション型サービスは比較的スタートアップなど小規模なアプリが開発を進めていました。しかしグーグルがSongzaを買収しキュレーション型レコメンデーションを連携させたことは、大手テック企業が今後は人力のキュレーションを重要視する流れが生まれる可能性が高まってきました。

実際にアップルはヒューマン・キュレーションを重視する定額制音楽配信「Beats Music」を買収しました。Beats Musicでは音楽メディアPitchforkの元編集長Scott Plagenhoefを中心とするコンテンツ・キュレーション・チームを集め、専門家によるプレイリストを提供しています。

世界の音楽サービスは、どの企業も大手サービスとライセンス契約を結んでいる場合が多いため、コンテンツで差別化が困難になっています。そのためサービスが提供できる付加価値は、ユーザーのコンテキストに基づいた音楽体験を提供することにあるとグーグルは語っています。

グーグルのGoogle Play Music All Accessと競合する米ネットラジオ「Pandora」と定額制音楽配信「Spotify」は、それぞれユーザー数7,600万人以上、4,000万人以上を集めています。さらに直接のライバルであるSpotifyは、すでに有料会員が1,000万人を突破して、市場をリードしています(グーグルは自社の音楽サービスについてデータは公開していません)。

Google Play Music All Access, Pandora, Spotify, Songzaは現在は感慨展開を図っているものの、日本での利用は実現していない状況です。ですので、このヒューマン・キュレーション型レコメンデーションの波が日本に来るのは、もっと先になるかもしれません。

ソース
Google brings Songza’s best feature to Play Music (10/21 The Verge)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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