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ダブステップ界で世界的に人気のDJでプロデューサーのSkreamが、FACT Magazineで現代の作品についての考え方や、EDMについて答えているインタビューが話題を集めています。ロンドンのクロイデンから生まれたダブステップ・シーンを10年以上に渡って引っ張り、最近ではテクノやハウス、4×4のDJとして世界中を飛び回るSkreamが、今ポピュラーミュージックと化したエレクトロニック・ミュージックの世界に何を感じているのかが分かるインタビューになっています。

– アルバムは古いコンセプトだと思いますか?

Riton(Henry Smithson)が言ってた。俺は彼と一緒にパリでEd Bangerのパーティーでプレイしていたんだ。で、彼が「俺はミックステープをやっているぞ」と言うから、俺は「そのミックステープをやってるって一体どういう意味だ?」って聞いた。そしたら彼は「それはアルバムじゃない。ミックステープなんだ。だけどミックスされてないんだ」と答えた。彼が言おうとしたことは、つまり「アルバム」っていう言葉を取り払うとかっこ良くなるってことだ。「アルバム」という言葉にはプレッシャーがかかっている。その代わり彼はそれを数ヶ月間分の作品のスナップショットだと言う。ところがアルバムの場合は、くだらないものばかりをテーブルにぶちまける。

アルバムはどんどん過去の遺物になりつつある。だけど、それはプレッシャーのせいだ。人はアルバムを「バンドがアルバムを作る」ようにアルバムを見ている。だけどRitonは「これはアルバムじゃない。ミックステープだぜ」って言ってる。そうすることでプレッシャーが無くなったみたいに感じた。俺はアルバムは重要だと思っている。世界で何百万って曲がSoundCloudなんかを使って毎日のようにリリースされてるだろ。音楽を聴く手段がどんどん簡単になっている。だから今はシングルをリリースすることはすごく難しくなった。俺が何かをSoundCloudにアップする。次の日には再生回数が数千回を超えてる。だけどそれっていうのは…ただ曲をアップしただけだぜ。シングルである必要もない。人に聞いてほしい曲、ただそれだけだ。

アルバムはすごく重要だ。アーティストが何をどうするかにもよるけど、俺にとってはアルバムは重要だ。その理由は、アルバムにはある種の構造があるからであって、トラックをただ公開することとは違う。それから何かしら活動をしているように、人に理由を与えてくれる。人はアルバムにワクワクしていると思っている。アルバムを買うことやダウンロードすることに興奮してくれる限り、アルバムには意味がある。一方で、アーティストがどこから来ているかにもよるけど、だけど俺は絶対アルバムはまだ音楽を購入する人にはとても重要だと思っている。そして音楽を作っている人にとっても、それは同じだと思う。

エレクトロニック・ミュージック・コミュニティが(ジャンルや人気によって)分裂しているかについて

昔以上に分裂している。ベースミュージックみたいな人気は「全てが一つになる」感じだけど、その逆でもっと分裂した感じだ。ある意味理にかなっている。(中略)今、オーバーグラウンドとアンダーグラウンドの戦いが勃発して、人はオーバーグラウンド側に関連付けされるのを嫌っている。俺の言うオーバーグラウンドは、一般的で似通った音楽のことだ。だけどDisclosureのようにオーバーグラウンドにいるけど、いい音楽をプレイしているやつらもいる。

EDM人気の今後について

アメリカでは、Disclosureみたいなアーティストがすごい人気で、大きくなることはいいことだ。特にEDMみたいな流れの勢いに乗るとね。俺はキノコ雲て呼ぶ。この領域に関連する音楽がつまらなくなっていることに人が気がつき始めたと思う。そして今は良い音楽がまた人気を集め始めた。特にアメリカだ。Kaytranadaのような素晴らしいやつが現れた。注目も集めている。以前だったら彼のように良い音楽を持っているけれど、アンダーグラウンドでしか活動できずに本当の価値が理解されることはなかった。

俺はEDMは終わりに近づいていると思う。いや終わりじゃないな。ラスベガスはこれからも残る。みんなディープハウスに入れ込んでいる。今まで以上によく聴くよ。6-7年前までディープハウスといえば「Naked Naked music」でジャジーなトラックばかりだった。アメリカでいいハウスのパーティーに行くと、普通に良い音楽ばかりがプレイされてる。誰もそれが何なのかは分かってないけど。ディープハウスには凄く関心が高まってる。人が再びいい音楽に興味を持つようになった。それはいいことだ

この数年間DJやリミックスを中心に活動してきたSkreamがアルバムが重要ということは、意外かもしれません。エレクトロニック・ミュージックのDJ達にとってはDJやフェスが重要と思われがちで、EDMの世界的な広がりが来年以降も続けばオーバーグラウンドにおけるより一層需要が高くなっていくと期待されます。Skreamもアメリカや世界のEDMフェスでは常連の一人なので、彼のインタビューには「ソールドアウト」との反感も買っています。

しかしその一方で、2015年にはDJ達もフェスといった安全地帯から抜けだして、音楽を制作する流れにシフトしていくかもしれません。

ソース
“I can’t f**king stand EDM anymore”: Skream bites back(11/25 FACT Magazine)

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執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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