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新年明けましておめでとうございます。

2014年もAll Digital Musicをご覧になってくださりありがとうございました。
多くの方にご支援いただきながら一年間を通じて、デジタル音楽のトレンドを追い続け、みなさんにお届けすることができました。

ここでは2014年で気になったデジタル音楽のトレンドを振り返ってみたいと思います。

音楽ストリーミング中心の2014年

2014年にデジタル音楽の世界で最も急激な変化と議論を集めた話題はといえば、やはり「音楽ストリーミング」だったのではないでしょうか。SpotifyやPandoraの名前が日本国内でも取り上げられることが増え、またSpotifyが有料会員数1,250万人以上に達するなど、急激な速度で無料/有料のフリーミアム・モデルのサブスクリプション型が世界的に引き続き成長した一年でした。

また1月に開始したサブスクリプション型音楽配信「Beats Music」をアップルが買収したことも大きなニュースでした。アップルに加えて、グーグルはSongza買収に続いて、ようやくYouTubeのサブスクリプション型音楽サーヴィス「YouTube Music Key」を開始しました。またアマゾンも定額制のPrime Music、マイクロソフトもXbox Musicを展開するなど、巨大なプラットフォームを持つIT企業が規模と体力を駆使して音楽サーヴィスに参入したことで、競争はますます激しくなりました。

2014年はアーティストやレーベルが音楽ストリーミングの分野で初めて大きく存在感を示した年でもありました。「テイラー・スウィフト」のウォール・ストリート・ジャーナルでの寄稿記事とSpotifyから全楽曲を削除する行動力が、デジタル時代における音楽クリエイターの価値と音楽サーヴィスの関係を考えるキッカケを生み出したことは、デジタル音楽の短い歴史の中での大きな転換点と言えるでしょう。レディオヘッドのトム・ヨークは、Spotifyに対して否定的な意見を示す一方で、BitTorrentで「Tomorrow’s Modern Boxes」を配信する独自の手法でDIYなマネタイゼーションとプロモーションの答えを示しました。

ビジネス面では、SoundCloudが広告モデルや課金モデルにシフトし始めたことや、YouTubeがサブスクリプション型音楽サーヴィスを開始したことは、これまで無料だった音楽サーヴィスにマネタイゼーションとアーティストへの還元が重要視される流れが来ていることを表し、フリーと有料のフリーミアムモデルが2015年以降も重要なトレンドになることを予感させています。

iTunesの今後

一方であまりうれしくないトレンドとしては、音楽ダウンロードの売上低下がありました。iTunesでの売上が大きく減少し始めたことは、音楽の消費方法がファイルをダウンロードする「所有型」からクラウドからストリーミング再生する「アクセス型」が伸びてきていることを世界各地のマーケットでは見られるようになりました。日本では5月にようやくアップルの「iTunes Match」が開始しましたが、一体どれくらいダウンロード購入につながったのか、気になってきます。

音楽テクノロジーの面では、モバイル・アプリの利用が音楽体験をサポートするツールとして必要不可欠になってきました。特に世界的に顕著なのが、ライブや音楽フェスでの画像投稿や、テレビとの連携で、TwitterやInstagramなどのサーヴィスが音楽の世界では、プロモーションや瞬間的なバズの生成装置、イベント前後の継続的なコミュニケーション・ツールとしての役割を果たすようになりました。ただ一方では、目新しい音楽テクノロジーは出現しなかった一年でした。2015年にはウェアラブル連携、スマートデヴァイス連携などで音楽テクノロジーの進化が注目されています。

2015年は音楽の世界がテクノロジーを取り込む一年になると予想しています。オンラインやモバイル、ソーシャルなど既存のデジタルテクノロジーを取り入れるアプローチが深くなるにつれて、音楽の共有方法やコミュニケーション、動画やインタラクティブ、ライブやフェス、ビジネスなどあらゆる音楽体験の場で、ITやクリエイティブの業界との連携が生まれ、既存の音楽文化が再生したり新しい音楽文化が作りあげられていくように感じます。これらの文化がどれだけ日常化するかによって、音楽の聴き方や体験の仕方に劇的な変化が訪れる可能性は大いにあります。

「ジェイ・コウガミ」の2014年

このブログと個人での活動についても少し総括させてください。

All Digital Musicは2014年を通じて、比較的専門性が高く、海外のビジネス/テクノロジーのトレンドを幅広く紹介できたのではないかと思っています。実数は公開いたしませんが、ページビューは前年比290%アップ、訪問者数は91%アップと大きく伸びました。これも数あるメディアの中でこのブログを読んでくださった音楽好きでテクノロジー好きなみなさまのおかげです。All Digital Musicを支えてくださった読者のみなさまにお礼申し上げます。

2014年は、より多くの人にデジタル音楽の面白さや関心を届けることを一つの目標にあげていました。その結果として、All Digital Musicを外部メディアに取り上げていただく機会を増やすことができました。ブロゴスやYahoo! Japan、Huffington Post Japanを始め外部メディアで掲載していただいたことで、音楽の業界以外の方の目に触れるキッカケが作れたのではと思います。改めてご担当者のみなさまにお礼申し上げます。

個人レベルでもフリーランスの仕事を数多くご依頼いただきました。ライターや執筆の仕事や講演、イベントでのモデレータ、また企業やレコード会社、マネジメント会社、メディアからのご相談やコンサルティングなどがありました。また海外関連のイベントでの講演、海外サーヴィスやメディアのサポートとしてお手伝いさせていただく機会も頂きました。いずれもAll Digital Musicからの情報発信から仕事につながったケースがほぼ100%というところでした。フリーランスの活動は増やしていきたいと以前から考えていましたので、2015年もさらに活動の幅を広げていきたいと思います。

2014年個人のハイライトとしては、小室哲哉さんに個人のブログとしてインタビューするという前例のないチャレンジが実現できたことです。デジタルテクノロジーをテーマにしたインタビューということで、音楽以外のところからも高い反響をいただきました。同時に、All Digital Musicがアーティストの声を届けるスペースとして利用していただけたこと、その第一弾に小室さんに出て頂けたことは、読者のみなさんが楽しめるメディアとしてさらにチャレンジし続けて行きたいと感じました。

この他には、日本初の音楽ハッカソン「Music Hack Day Tokyo」のジャッジに選んでいただいたこと、THE BIG PARADEに出演させていただいたこと、GLAYのHisashiさんとTwitter対談させていただいたこと、この3つも今年のハイライトでした。

反対に2014年で実現できなかったことのほうが、実現できたことよりも多いです。音楽とITのつながりを実現できなかったこと。イベント参加や発表案件への関わり方が少なかったこと。継続性が足りなかったこと。他にも実現できなかったことが数多くあります。プロとして活動をしていることは、対価をいただいていることですので、みなさんに記事を読んでいただく時間や、企業の担当者さまのお時間に対して見合う価値を提供しなければいけないはずですので、2015年は情報の価値を高めることを目指し、そしてみなさんと業界に少しでも貢献できる度合いを引き続き高められるように、コンテンツ制作と情報発信の手法を改善していくつもりです。あと「音楽ブロガー」の肩書がよく分からないと言われることも多々有りました。もっと個人の役割を明確化しなくてはいけないとも感じています。

最後になりましたが、2015年は音楽の世界でデジタルテクノロジーがさらに進化して、音楽体験の日常化を飛躍させる年になってほしいと感じています。音楽のデジタル化は、アーティスト活動から音楽の聴き方、ライヴの楽しみ方、さらにはビジネスの在り方まで、音楽につながる全ての人の価値観を変える世界規模の流れです。All Digital Musicはこのデジタル世界の根幹を伝えるため、今年も去年以上にこれまで誰も試していないチャレンジにトライしていくつもりです。僕は音楽とテクノロジーが大好きです。この2つを楽しみながら、そして一人でも多くのみなさんに音楽の可能性をもっと感じて頂けるように、情報発信を続けていきます。

2015年も引き続きAll Digital Musicを何卒よろしくお願いいたします。

ジェイ・コウガミ
音楽ブロガー

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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