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デジタル音楽サーヴィスの変革はレコード会社にも変化を与えています。

世界のメジャーレコード会社の一つ、ワーナーミュージック・グループが第1四半期(10-12月)の決算を発表しました。ホリデーシーズンを含むQ1では、売上高8億2,900万ドルで前年比6.6%増加。営業利益が昨年同期の1,500万ドルから2,300万ドルと増加を記録しました。

音楽販売ビジネスはホリデーシーズンの売上好調を受けて8.3%増加7億1,400万ドル。音楽売上ではフィジカル(前年比20%)がデジタル(前年比16%)よりも高い成長率を記録したことが印象的です。地域的にみると、米国、英国、中央ヨーロッパ、ラテンアメリカ、中国が売上では成長しましたが、日本の売上が低迷しました。

フィジカルの売上は2億9,300万ドル。特に成長の大きな要因は、エド・シーランの「X」、デヴィッド・ゲッタ、SLIPKNOT、そしてピンク・フロイドとジョニー・アリディの新作でした。

デジタル音楽からの売上は前年比14%増加の2億7,200万ドル、全売上の35.6%を締めました(前年同期比33.9%)。デジタル音楽の売上に貢献したのは、音楽ストリーミングからの売上増加でした。しかし音楽ダウンロードからの売上減少も拡大したことによって、デジタル全体が伸び悩みました。

Q4損益では、4,200万ドルの損失を計上、前年同期の3,500万ドルから13.9%拡大しました。

伸び悩んだ分野では、アーティストサーヴィス事業および権利関係事業からの売上の微減、音楽出版ビジネスのパフォーマンス・ライツ、ロイヤリティ・ビジネス、シンクロ権ビジネスで売上が低迷しました。

音楽出版ビジネスは売上が3.3%低下して、1億2,800万ドルから1億1,900万ドルに減少。パフォーマンス・ライツ・ビジネスも売上が11.8%低下。ロイヤリティ・ビジネス(Mechanical revenue)もフィジカルからデジタルへの収益源が移行するトレンドの影響によって14.8%低下しました。

*数値は為替変動の影響を除いた数値

世界的に音楽の聴き方がCDやデータを持つ「所有型」から、クラウドから入手する「アクセス型」へとシフトしている流れが大きくなり、デジタルダウンロードから音楽ストリーミングによる消費が拡大するトレンドが、レコード会社のビジネスモデルにも影響を与えています。

これまでは音楽ストリーミングによってCDなdフィジカルが売れなくなることが懸念されてきましたが、実際にはデジタル音楽ビジネスの中でのカニバリゼーションが本格的に進んできました。レコード会社も音楽ストリーミングからの利益を最大化するための戦略が注目されます。

ソース
WMG financials reveal rising revenues but also losses(2/12 Musically)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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