2007年のSXSW(サウスバイ・サウスウェスト)でのブレイクを経て、「Twitter」は世界中のテック愛好家が注目するサービスへと成長していきました。Twitterはその後、世界各地で起きているイベントの盛り上がりをツイートから分析するベンチマークへと進化しました。
3月17日から23日にテキサス州オースティンで開催された「SXSW 2015」で、期間中に「SXSW Music」と「SXSW」に関連して言及したツイート数は100万以上が投稿されたとTwitter社が報告しました。
Twitterでは、期間中でツイートのインタラクティブ・チャートを公開、さらに最も多く言及されたアーティスト、新人アーティスト、ハッシュタグ&トレンドも同時に発表しました。
期間中に最も言及されたアーティストは、大物アーティストからに加えて、日本の「Perfume」、韓国人アーティスト「Tablo」もトップ5に入っています。
トップに輝いたのはHalsey。次点で19歳のオーストラリア人アーティスト、コーディー・シンプソン。3位に現地で行ったライブが日本でライブ配信されて盛り上がったPerfume。4位は…Rae Sremmurdのステージに突如登場したマイリー・サイラス。5位にランクインしたEPIK HIGHのTablo。EPIK HIGHのライブが米国メディアでも取り上げられるなど、高い注目度を集めていました。
最も言及されたアーティスト トップ5
1. Halsey(@halseymusic)
2. Cody Simpson(@CodySimpson)
3. Perfume(@Perfume_Staff)
4. Miley Cyrus(@MileyCyrus)
5. Tablo(@blobyblo)
興味深いのは、コーディー・シンプソン、マイリー・サイラス、TabloのTwitterアカウントは100万フォロワー以上を抱える、巨大アカウントを持っていること。にも関わらずフォロワー数15万人しかない若干20歳のアメリカ人シンガーHalseyや、フォロワー数15万人にも見たないPerfumeが、あのマイリー・サイラスよりもTwitter上で話題になっているということが、リストから分かります。Twitter上での話題作りの手法が、単純に派手なライブやサプライズではなく、コンテンツや創作活動の本質的な価値をファンを巻き込みながらソーシャルやメディアを通じて伝えていけるかによって、共感を生むキッカケにつながっているように感じました。
yeah!! “@BuzzFeedMusic: .@halseymusic, @MileyCyrus & @Perfume_Staff were among @sxsw’s big winners, says Twitter
http://t.co/MxXOcXKLvt
— daitomanabe (@daitomanabe) March 23, 2015
ライゾマティクスの眞鍋さんも盛り上がってる。
(この記事を書くキッカケになったのもこのツイート。ありがとうございます)
SXSW 2015が注目した新人アーティスト
SXSWでは、これから世界的に話題を集める可能性を持ったアーティスト達が一挙に集まる場所。いわば新人アーティスト発掘に最も適したイベントです。ですので、SXSW期間中にTwitterで話題になることは、新人アーティストや無名アーティスト、マネジメントにとっても、今後の成功を決める意味でも重要課題です。
今年、最も言及された「新人アーティスト」は以下の5組。リストを見ると、音楽ファンにとって見たことある名前もあることが分かります。
業界から一目置かれているインディーズレーベルFool’s GoldからすでにアルバムもリリースしているヒップホップのデュオRun The Jewelsや、BBCが注目する「BBC Sound of 2015」に選ばれたイギリス人シンガーJames Bay、SoundCloudで大きなフォロワーを抱えるLAのシンガーKehlani。さらにシングルチャートトップ20入りをすでに果たしているアトランタの若手ヒップホップ兄弟デュオRae Srummurd。
最も言及された「新人アーティスト」トップ5
1. Halsey(@halseymusic)
2. Run the Jewels(@runjewels)
3. James Bay(@JamesBayMusic)
4. Kehlani(@KehlaniMusic)
5. Rae Sremmurd(@RaeSremmurd)
こちらでも、注目の集め方がTwitterだけに集約されていないのが特徴的です。SXSWでいきなり発掘される「超大型新人」というよりも、すでにYouTubeやSoundCloud、Instagramなどを駆使してファン層を築き、情報発信してきた実績のあるアーティスト達ばかりで、「彼らが見たい!」と思ってSXSWの会場に足を運んだファンも少なくないのではないでしょうか?
最も多く言及されたハッシュタグ
今回名前の出たアーティスト達は、すでにアメリカでもメジャーとレコード契約を結んでいたり、すでにアルバムをメジャーからリリースしているアーティスト達ばかりで、正直な気持ちとしては新人発掘という意味では驚きが少なかったという気持ちと、話題作りのアプローチが変わって来たことを改めて実感しました。ITのスタートアップたちがSXSW期間中はTwitter上で話題を生み出そうとイベントやキャンペーンを誰しもが張っていた時期が数年前まで流行っていましたが、その波も最近は鎮火している気がすることを考えると、音楽の世界でも、イベント的な「話題」で盛り上がる客層と、音楽的な「話題」で盛り上がる客層と、二極化しているような気がします。どことなくメジャーとインディーズという図式にも当てはめることも出来て面白いと思います。
ソース
Halsey, Run The Jewels & Miley Top Twitter’s Most-Shared During SXSW (Billboard)
SXSW’s Big Winners, According To Twitter(Buzzfeed)
ht @daitomanabe