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MTVはイタリアのミラノで25日に開催する「MTVヨーロッパ・ミュージック・アワード」(MTV EMAs)をバーチャルリアリティ (VR)技術を使ってライブストリーミング配信すると発表しました。

MTV EMAは日本時間で26日早朝5:30(ヨーロッパ標準時9:30pm)に始まります。アワードはMTVのEMA専用アプリをダウンロードして見ることができる仕組みで、アプリは現在世界のApp Storeで配信中。日本のアプリストアからもダウンロードが可能です。すでにハコスコやGoogle Cardboardを持っている人はiOS/Androidアプリをダウンロードしてアワードを360度の視点で見ることができる、画期的なMTVの取り組みです。

MTVはまたInstagramとアワードショーでパートナーシップを結び、バックステージからアワード用にカスタムされたInstagramフォトブースを設置して、アーティストからの写真や新しくリリースされたばかりのBoomerangアプリを使った動画を配信します。

MTVの親会社Viacomは、今年のMTV EMAsは世界で初めて全番組をVRストリーミング配信配信するアワードショーになると言います。一般のユーザーはアワードの放送中にEMAアプリで360度の動画が見れます。しかし、VRライブストリーミング配信を完全に楽し見たい人は、ハコスコのようなVRビューワーが必要な点が残念なところ。

ですが、テレビの生放送を全てVRでストリーミング配信する放送技術は、これまでの動画配信と比べて大きなテクノロジーの進化で、新たな音楽体験をファンに届けるアプローチと言えます。

MTVやVH1、BETやコメディ・セントラルなどメディアブランドを運営するViacom International Media NetworksのCEO、ボブ・バキッシュ(Bob Bakish)はVRでのストリーミング配信について、「現時点でVRは主流とはなりきれていない。だが勢いは出始めている。MTVのオーディエンスの多くは新しいテクノロジーのアーリーアダプターを代表している。我々は常にファンとつながる新たな手法を模索している中で、この分野で実験的な試みが実現できることにワクワクしている」と答えています。

世界でも音楽番組の中で特に注目を集める番組と言えるコンテンツがアワードショーになっています。それはテレビ放送だけでなく、ネットからのアクセス(ライブストリーミング配信)とソーシャルメディアでのバズとしても、ファンが活発にインタラクションを行う時間になっています。そのため、MTVはじめテレビ局は毎年新たなテクノロジーを使って、放送とファンや、テレビとアーティストとファン、そしてテレビと広告とファンをつなぐ新たなアプローチを実施する実験的な番組にもなっています。

まだネットやソーシャル、テクノロジーを活用したテレビ放送は日本では大々的に導入されていませんが、番組が放送される最中に番組の話題がTwitterのトレンド入りするケースは多数見られます。ただ、Twitterのトレンド入りするだけでは次の行動にまでつなげることは難しく、そのためにはテレビ視聴体験の中でのコンテンツとテクノロジーに新しい付加価値が求められていることも事実です。例えば、VRは一つのテクノロジーであって、アワードショーなど価値あるコンテンツを作り出せるからこそ、VRでライブ配信をする意味も深まります。アーティストのプロモーションや企業の広告、テレビ番組のブランディングにまで発展させる体験型テレビ視聴は、今後日本でも増えるかもしれません。

ソース
MTV EMAs in Virtual Reality Livestream (Hollywood Reporter)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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