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カニエ・ウェストが2月11日にリリースする最新アルバム「The Life of Pablo」(T.L.O.P.)が、カニエも共同オーナーとして名を連ねる定額制音楽配信サービス「TIDAL」で配信することを、本人がTwitterで明らかにしています。

TIDALは、カニエ・ウェストとも何度もコラボレーションしてきたジェイ・Zが運営する定額制の音楽ストリーミングサービスで、他のサービスと比べてCDクオリティの高音質(44.1 kHZ、16ビット)配信と、アーティストが運営に参加してファン向けのコンテンツを意識したサービスを目指しています。

カニエ・ウェストは日本時間12時6時(現地時間11時東海岸時間16時)にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでファッションブランド「Yeezy」の新コレクションを発表する予定。これに合わせて、TIDALでは新アルバム「T.L.O.P.」の配信と一緒に、ファッションショーが独占でライブストリーミング中継されます。

ファッションショーは世界各地の映画館やシアターで同時中継されることがすでに決定しており、米国では全てのチケットがソールドアウトになるほどの人気です。TIDALは定額制音楽配信でありながら、MVやドラマなど動画コンテンツの配信、さらにはイベントのライブストリーミングも手掛けるサービスであるため、今回のカニエ・ウェストの場合などイベントと絡めたプロモーションには最適なプラットフォームと言えるでしょう。TIDALはカニエ・ウェストのショーを有料ユーザーそして無料でも配信します。

TIDALは人気アーティストのアルバムを独占リリースする戦略に積極的で、この動きはSpotifyやApple Musicも同じくアルバムの配信を強化するなど相互に影響を与え合い、定額制音楽配信の分野で一つのトレンドとなっています。特にTIDALには若者向けをターゲットにしたイメージが強く打ち出されているために、共同オーナーとして参加するアーティスト達だけでなく、若者層を狙うアーティストにとって音楽をプロモーションする新しい場所となり始めています。

最近ではリアーナが最新アルバム「ANTI」を独占で配信したり、プリンスが新アルバムを発表するなど、独自性の強いアーティストがTIDALのプラットフォームを徐々に活用しだした印象が強くあります。そして今年最大の注目アルバムの一つでもあるカニエ・ウェストの最新作までも配信するTIDALは、定額制音楽配信における独占コンテンツ配信の動きをさらに加速させていくと予想されます。

このトレンドによって、アーティストの最新アルバムをいち早く聴きたい熱心なリスナーから、話題に敏感なカジュアルリスナーの関心をリリース直前に最大化できるメリットが生まれます。また以前は、アルバムがリリース前にリークされてネットに違法アップロードされる深刻な海賊行為が蔓延していました。定額制音楽配信の独占配信のシステムが普及してきたことは、アルバム・リリースをサービスが展開される主要の市場でいち早くリスナーに届ける合法的な仕組みが徐々に浸透していると言えるでしょう。もちろん今でも世界では海賊行為が続きそのためにアーティストやレーベル、マネジメントも対処方法を考え、プロモーションを強化しています。定額制音楽配信の独占コンテンツ配信は、その課題を解決する答えの一つとして普及していくことが業界にとってもリスナーにとっても嬉しい進化になっていくと感じます。

ソース
Kanye West’s new album is called The Life of Pablo, and here’s the track list(The Verge)
Kanye West will livestream the debut of his new album on Tidal tomorrow(The Verge)

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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