今年に入り、サービスの経営難が浮上した「SoundCloud」のライバルサービスの一つと言われてきた、イギリスの音楽スタートアップ「Mixcloud」が、メジャーレコード会社のワーナーミュージックとライセンス契約で合意したことを発表しています。音楽ストリーミングサービスを提供するMixcloudはワーナーとの契約を皮切りに、本格的な定額制ビジネスに進出します。

Mixcloudにとって同社初めてのレコード会社とのライセンス契約となり、残るユニバーサルミュージックとソニーミュージックとも交渉中だといいます。

ミックステープ、DJミックス、ラジオ番組、ポッドキャストなど、長時間のオーディオコンテンツの配信を手がけるMixcloudは月間リスナー数1700万人に向けて、配信するコンテンツの数は1200万以上を超えます。SoundCloudがこれまで発表している月間リスナー数1億7500万人に比べると規模は小さいですが、インディーズレーベル、ネットラジオ局のNTS Radio、TiestoやCarl CoxなどプロデューサーやDJたちから支持を集めてきました。

MixCloudが目指す定額制サービスがどのような内容か、他社といかに差別化するかは、明らかにされていませんが、SpotifyやApple Musicなどの菜を出すまでもなく、定額制音楽サービスといえば音楽ストリーミングサービスという認識が広がっている中で、DJミックスやミックステープなどにフォーカスするMixCloudがどのようなサービスを展開するかは注目が集まります。

これまでの無料サービスでは、ライセンス契約の問題によりオフライン視聴などの機能が提供できませんでした。

共同創業者でコンテンツディレクターののニコ・ペレス(Nico Perez)によれば、MixCloudは「Spotifyなどと同じ、全カタログ聴き放題を真似するつもりはない」と語っており、「コンテンツクリエイターや番組制作者、DJたちに収益が分配できる定額制サービス」の提供を計画していると言います。

MixCloudの始まりは2005年と音楽ストリーミング市場の中では古く、学生だったペレスたちがオンライン上でDJミックスをシェアしづらいフラストレーションから、「ラジオ版YouTube」を目指して立ち上げたサービスとして運営されてきました。

見逃されがちな特徴として、MixCloudは独自のコンテンツIDシステムを開発することによって、ユーザーが投稿したオーディオデータ、トラックデータを個別に認識し、SoundExchangeなどデジタル著作権徴収団体にロイヤリティ料を支払ってきました。

ペレスは音楽業界へのロイヤリティ分配の問題について次のように述べます「創業当初から私たちは権利保持者たちと長時間のオーディオフォーマットからの収益源確保と、音楽ストリーミング市場において重要なキュレーションに取り組んできました。メジャーレコード会社との直接契約を締結したことによって、私たちはアーティスト、キュレーター、音楽ファン、音楽業界に最善な貢献活動を継続します」

2016年はMixCloudにとって、大きなマイルストーンをいくつも迎えた節目の1年でした。8月には、DJミックスやラジオ番組、ポッドキャストをアップする「キュレーター」の数は100万人を突破。

2015年から開始したスマートスピーカー「Sonos」や、「Apple TV」「Chromecast」での連携をさらに強化し、コンテンツを自宅でも配信できるようにスマートスピーカーやスマートホームデバイスへの配信にも着手し始めました。

ソース
Mixcloud and Warner Music Group announce direct licensing deal (Mixcloud)
Mixcloud Celebrates 1 Million Curators Milestone, And What It Means (Mixcloud)
Take a look at the new and improved Mixcloud (Mixcloud)
Mixcloud strikes music streaming deal with Warner (FT.com)

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執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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