Twitterで音楽ビジネスの責任者を務めるなど、テクノロジーと音楽ビジネスを掛け合せた世界で活躍してきたボブ・モジドロウスキー(Bob “Moz” Moczydlowsky)が主宰する音楽スタートアップに特化したアクセラレータープログラム「Techstars Music Accelerator」が、グローバル市場を目指す音楽スタートアップに向けた2018年のプログラム「Techstars Music 2018」を発表しました。

2016年に開始されたTechstars Musicは、テクノロジーを活用して音楽業界の課題を解決し、新たなビジネスを作ることを目指した音楽スタートアップを支援し、グローバルな音楽市場のビジネス活性化に貢献させることを目的としたプログラム。2017年に実施した3カ月のアクセラレーター・プログラムでは、世界から集まった少数精鋭の音楽スタートアップ11社を支援し、戦略や製品開発から資金調達までを行い、出資額は1500万ドル以上に上りました。

2018年のプログラムは、約10社の音楽スタートアップの参加を目指しており、今週10月26日(木)には、東京・渋谷で「Techstars Music 2018」の説明会も開催予定。主宰者のボブ・モジドロウスキーとディレクターのジェン・ニコラス(Jen Nicholas)が来日して、アクセラレーター・プログラムについて日本からも募集を募るとのこと。

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日程は、2018年2月5日にロサンゼルスで3カ月のプログラムが開始。5月3日には、世界の音楽業界関係者や投資家、VCの前で成果を発表するDemo Dayを実施予定。優れたスタートアップには投資が実施されます。

音楽業界と連携するアクセラレーター・プログラム

ITの世界では、当たり前となっているスタートアップ支援を目的としたアクセラレーター・プログラムですが、デジタルテクノロジーとの融合が著しい音楽業界にとっては、現状の問題を解決する方法や、新たなビジネスの創出、出資からのビジネス拡大など、新しいアプローチとして近年注目を集めています。

Techstars Musicの大きな特徴には、世界からレコード会社や音楽テクノロジー会社など、音楽業界からパートナー企業が名を連ねていることが挙げられます。特殊な音楽業界のノウハウを持つパートナー企業が、事業計画や製品開発、資金調達など、スタートアップをグローバル市場へ導くためのアドバイザーやメンターとなり、新しい音楽ビジネスをボトムアップで創出していく仕組みです。

2018年のプログラムには、日本から唯一「レコチョク」がパートナー企業として参加することが発表されました。その他には、大手レコード会社のソニーミュージック、ワーナーミュージック、音楽出版社のConcord Music、マネジメント会社BILL SILVA ENTERTAINMENT、 Silva Artist Management、Q Prime Artist Management、著作権プラットフォームのRoyalty Exchange、ゲームスタジオのHarmonix Music Systemsの計9社が参加します。

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Techstars Musicが目指す課題解決

Techstars Musicのもう一つの特徴として、参加する音楽スタートアップには、音楽業界の課題を解決し、スケールするビジネスを求めている点です。収益拡大、違法なチケット転売、データ活用、新人発掘など、多くの課題は、日本を含め、もはや世界規模での問題となっており、音楽業界やエンターテインメント業界が解決策を求めて四苦八苦しながら解決策を模索しています。

Techstars Musicはこうした現状を改善するため、音楽スタートアップを音楽業界と結びつけ、業界の問題に共同で取り組んでいくという、業界にはこれまでに無いアプローチを提供しています。

2018年のプログラムでは、下記の多岐に渡る課題を解決する音楽スタートアップを募集しています。

・自宅、ライブ会場、フェス、IoT向けの新しい音楽体験
・音楽コンテンツ制作、コラボレーション、シェア
・マーケティング、チケット、Eコマース
・コンテンツ・インフラ、配信
・権利管理、分析、ライセンスビジネス
・データマイニング、機械学習
・デジタルネイティブ向けの音楽教育
・テクノロジーを活用したアーティスト発掘
・イベントの安全性確保

2017年のプログラムに参加した音楽スタートアップも、音楽ビジネスとテクノロジーが融合する世界において、現在の課題解決と新しい市場を創出することを目的した企業が集まりました。

・AI:Amper、PopGun、SyncSpot
・音楽コンテンツ生成、シェア:Pacemaker
・ライブビジネス:Hurdl、Robin
・ブロックチェーン、メタデータ:Jaak
・ポッドキャスト:Pippa
・ファン獲得:Shimmur
・インタラクティブな音楽体験:Superpowered、Weav

日本では現在は音楽スタートアップやエンタメ業界に特化したファンドやアクセラレーター・プログラムはまだまだ少ないですが、世界第2位の音楽市場である日本の音楽業界にとって、テクノロジーと産業を連結させる優れた音楽スタートアップやエンタメ・スタートアップの発掘と育成は、新しい収益源の確保や、課題解決に繋がる可能性として、今後さらに注目を集めていくことと感じます。

一方でスマートフォンや音楽ストリーミング、音声AI、スマートスピーカーのように、社会へ大きなインパクトを与える分野をリードするスタートアップをやみくもに応援することが、果たして今の音楽業界に求められていることなのか、スタートアップとどのような関係を構築するかにおいても、理想と現実を今一度問い直す必要もあるように感じます。

そして、日本の音楽業界にとっても、何も日本に特化した音楽スタートアップに限らず、世界規模で音楽スタートアップを支援することでも、先進的なテクノロジーを最適化した新しいビジネスのチャンスにつながると視野を広げる時代が来ていると言えるでしょう。そうした意味で、Techstars Musicを始めとするアクセラレーター・プログラムと連携していくことも、日本のレコード会社や音楽業界にとって、デジタル時代のグローバル規模での音楽ビジネスに軸足を移行するための可能性の一つとなることに期待したいです。

ソース
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Techstars Music Accelerator Adds Three New Member Companies for 2018 (Techstars Music)

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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