ソニーミュージックの韓国法人、ソニーミュージックエンタテインメント・コリアは、K-POPのレコード会社兼マネジメント会社の「KQエンターテインメント」との投資提携で合意しました。Billboardによれば、男性グループ「Block B」のマネジメントを手掛けるKQはソニーミュージック・コリアからの出資を受け戦略的パートナーとなり、2社は共同でK-POPアーティストの世界進出や国際競争力の強化を目指していきます。なお出資額を含む契約内容については明らかにされていません。

KQは、Block Bのマネジメント会社であるSeven Seasonsとして2013年にスタートし、2016年に現在の社名に変更。現在は、Seven Seasonsに加えて、韓国人の作曲家やプロデューサーを中心に新人発掘を手掛けるレーベル「KQ Produce」の運営も行っています。

KQのCEOであるショーン・キム氏は、提携にあたり「このパートナーシップの実現は、K-POPが音楽ジャンルとして国際的に認められたこと、KQのアーティストの国際競争力の表れだと感じています。この提携によって私たちは、積極的に海外市場へ進出し、世界中のK-POPファンに向けて前例のないプロジェクトを実現するビジネスチャンスを獲得できます」と述べています。

Block Bの「Shall We Dance」はすでにアメリカを意識したラテンサウンド。

K-POP人気は海外の音楽シーンで高く、とりわけアメリカでは、ワン・ダイレクション以降のポップ・ボーイバンドの流れに乗ったこともあり、動画やテレビでの注目が集まり爆発的な人気を呼んでいます。日本でも人気の男性グループ、防弾少年団(BTS)は先日アメリカでの音楽アワードショー「アメリカン・ミュージック・アワード」に出演しアメリカの全国テレビ放送での高いパフォーマンスは、参加したアーティストたちやメディアからSNSで称賛され、アメリカのテレビ初登場では大きな成功を収めています。

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BTSは今年5月にアメリカで開催された別の音楽アワード「ビルボード・ミュージック・アワード」で、SNSでの人気を競うトップ・ソーシャル・アーティスト賞を受賞するほど、SNSでの存在感は圧倒的なものがあります。

特に、BTSやWanna One、EXOは、Billboardチャートが毎週更新する、SNSで話題のアーティストのランキング「ソーシャル50」の常連と化しているほど。SNSでのファン獲得戦略による海外進出の効果が発揮されつつあります。

SNSをアーティストやレコード会社が活用することは、現代のプロモーションでは当たり前の法則ですが、2017年のK-POPは、SNSで世界中のファンを動かすだけの影響力を実践してきたアーティストたちの存在価値が顕著に見られた年だったと言えそうです(いかにして、SNSの数字を動かすかについては、様々な疑問があると思いますが…)。特に、多様化する世界のエンタメ・ビジネスの中で、K-POPが実践したのは、単にアメリカのライブ会場にアーティストを送り込むような海外進出とは全く違った手法で、情報伝播力とユニークなアーティスト性のハイブリッドの実現であり、これはヒップホップやダンスミュージックが現代コンテクストでメインストリーム化してきた現象と近い感覚をファンに与えています。

結果として、K-POPアーティストが文化的そして商業的に価値あるコンテンツであること、そしてコラボレーションで相乗効果を作れる可能性があることが、ソニーミュージックのKQへの資本提携という形につながったと考えると、「海外進出」のビジネス戦略が広域に拡大していることが分かり、日本の音楽業界が目指すコンテンツのグローバル化においても一つの方向性として捉えることもできそうです。

ソース
Sony Music and South Korea’s KQ Entertainment Strike Global Strategic Partnership (Billboard)
image via YouTube

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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