日本に次いで、世界的にCDセールスが高いと云われてきたドイツの音楽市場が変わろうとしています。

2017年の年間売上を発表したドイツの音楽業界団体「ドイツ音楽産業連邦協会」(BVMI)によれば、年間のドイツ音楽市場の売上高は前年比で0.3%減少して15億8800万ユーロでした。

注目したいのは内訳です。

フォーマット別のシェア推移を見ると、最も成長したのはデジタル音楽の売上で前年比22.7%増加して7億4100万ユーロに伸びました。ダウンロードが19.3%減少して1億5700万ユーロ。2013年をピークに年々下落傾向に入っています。一方、定額制と広告モデルの音楽ストリーミングサービスからの売上は42.8%増加してが5億4900万ユーロに達したことがダウンロードの損失を補い好調を記録した大きな要因です。

最も低迷したのはCDを含むフィジカルからの売上で前年比14.3%減少して8億4800万ユーロ。CDの売上は15.9%減少して7億2200万ユーロ、アナログレコードは5.1%増加して7400万ユーロ。

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CD購入低迷 シェアは50%を割る

市場全体でのフォーマット別のシェアを細かく見てみると、CDのシェアは45.4%と「50%」を切りました。音楽ストリーミングが34.6%、ダウンロードが9.99%、アナログレコードが4.6%、音楽DVD/Blu rayが2.9%、その他のフィジカルが0.5%でした。CDの減少が圧倒的にドイツではデジタル音楽といえば音楽ストリーミングが浸透しています。

フィジカルは市場全体でのシェアが53.4%を占めていますが、2016年のシェア62.1%からさらに減少が止まりません。対照的にデジタル音楽2016年の37.9%から46.6%にシェアが拡大、デジタルがドイツで主要な音楽フォーマットになるのは時間の問題です。

YouTubeが作るバリューギャップ問題を見過ごさない

BVMI会長のフロリアン・ドゥリュッケ(Dlorian Drücke)はレポートの中で、ドイツ市場はポジティブな進化を遂げているとして次のように語っています。

ドイツの音楽業界が取り組んできた多様化戦略の結果によって、音楽ストリーミングの強い影響力が現れています。しかし、デジタル音楽ビジネスのシェアが拡大すれば、デジタル流通の中でクリエイティブなコンテンツをマネタイズにつなげていくことがさらに重要となってきます。あらゆるフォーマットの音楽消費をライセンスと結びつける必要があります。国際レコード産業連盟(IFPI)が行った調査によれば、ドイツ国内での音楽のストリーミング再生の約半分はYouTubeなど動画ストリーミングが使われていますが、音楽市場への売上シェアはわずか1.9%と低く、34.6%もの売上シェアで市場に貢献している定額制または広告モデルの音楽ストリーミングとは対照的です。『バリューギャップ』(価値の乖離)と呼ばれているこのアンバランスさを許すことはできません

YouTubeとの対立が長年に渡り続いてきたドイツの音楽業界では、著作権管理団体「GEMA」との係争が2016年にようやく和解に達し、2017年にようやくYouTubeのブロックが久しぶりに解禁された年となりました。

YouTubeに音楽消費量を占められてしまうことは市場の成長を妨げる要因であり、CD購入だけでなくダウンロードも低迷を続けるドイツの音楽業界は、音楽ストリーミング市場をいち早く成長させ、売上減少に歯止めをかけ市場規模を拡大させるためさらにデジタル音楽への移行を進めると予想されます。

そして2018年は、YouTubeを「バリューギャップ」を作る張本人として批判の矛先を向け、「セーフ・ハーバー・ルール」を規制するため政治家やドイツ政府に圧力をかけるBVMIやドイツ音楽業界の動きがさらに加速するはずです。

ソース
Germany Sees ‘Real Traction’ in Streaming, But Music Revenues Were Flat in 2017 as CDs & Downloads Decline (Billboard)

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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