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往年のファミコンやゲームボーイのようなシンプルでチープなサウンドで、ハウスやエレクトロからグライムやダブステップにいたるダンス音楽シーンやシンセポップにまで使われて、「チップチューン」というサブジャンルまで作ってしまった8-bitサウンド。ニューヨークのアーティスト、トリスタン・ペリッヒ(Tristan Perich)さんは8-bitサウンドをさらにミニマルにした1-bitサウンドによる音楽プロジェクトを行っています。その名も「1-Bit Symphony」。1-Bit Symphonyは文字通り交響曲で5楽章で構成され、プログラムされた一つのチップが電池やスピーカーと一緒にCDケースに取り付けられています。ケース右側のジャックにヘッドフォンをつないでスイッチを入れると、ミニマル・ローファイ・チップチューンな1-bit音楽世界の始まりです。音楽のサンプルは下の動画から視聴ください。
ぺリッヒさんの作った「1-Bit Symphony」は腕時計電池で動き、スイッチを入れると、マイクロチップが電気パルスのオン/オフ動作を繰り返して波動を作り、音色がケーブルで合成され、「演奏された音」がスピーカー、そしてヘッドフォンジャックへと音が伝わります。ぺリッヒさんはインタビューで「このプロジェクトでは、アルバムはただ録音されたサウンドの音楽CDであるという考えから立ち返ってみたかった。音楽がどのように造られているのかを直接体験しているような感覚で聴いてほしい」と語っています。

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2006年にリリースした1-bit音楽プロジェクトの第一弾「1-Bit Music」(iTunesリンク)の続編となる「1-Bit Symphony」は、Cantaloupe Musicから8月24日リリース予定です。同時に限定Artist Edition版「1-Bit Symphony」もリリースされ、こちらにはシルクスクリーンにプリントされたプログラムコードと回路図が特典でついてきます。

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Loud Objectsなどエクスペリメンタルな音楽プロジェクトを手掛けるぺリッヒさんは今月17日から始まるエレクトロニック音楽の祭典、「Sonar Festival」をはじめ、アメリカ国内やヨーロッパをツアーで回る予定です。

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1-bitというコンセプトにも脱帽しますが、限られた音だけでカバーや1-bit調アレンジではなくオリジナルを作曲していることに彼のプロジェクトの面白さを感じてしまいます。不思議なほど一つ一つのブリープサウンドが調和されてメロディーを奏でています。何回か聴き込んでみると、無機質な素材ながらも調性感のある音楽が聴こえてきました。アナログシンセのパルス波と似ているのでしょうか?次は作曲やプログラミングの模様や楽器の生演奏とのコラボも観てみたいですね。CDケースに収まったデザインは美しいです。電気工学は未知の分野で、まだまだ知らないことが多々あるので、詳しい方がいらしたらぜひ解説をお願いします。
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関連ソース


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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