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EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)界で最も人気のあるニュースサイトinthemixが、「世界のEDM業界で最も影響力のある50人」(The 50 Most Powerful People in EDM 2013)を発表しました。

このリストではDJやアーティストを人気リスト化する代わりに、音楽業界でEDMビジネスを動かすマーケティング企業、プロモーション会社、マネジメント会社、レコード会社などのキーパーソンをピックアップし、一人づつ丁寧に紹介しています。日本にいると想像がつきにくいですが、今世界では「EDM」は人気の音楽ジャンルで、Ultra Music FestivalElectric Daisy Carnivalなど数十万人を動員できる音楽フェスがあちこちで開催されていたり、EDMアーティストやDJがチャートのトップに上り、グラミーなど賞を受賞する人も増えています。

2012年の大きな音楽トレンドの一つは、EDMがアンダーグラウンドのカルチャーではなくなり、メインストリームに広く認知されたことです。Skrillexやデヴィッド・ゲッタ、Swedish House Mafia、Deadmau5、カルヴィン・ハリスなどアリーナを埋めるほど人気を持つアーティストの存在が当たり前になってきました。

Deadmau5 @Ultra Music Festival via Flickr

 

EMIが行った最新の調査では、米国内だけでEDMファンは7300万人存在すると推定され、2011年から900万人増加したという結果が出ています。また調査会社ニールセンによれば、2012年に人気の高い音楽ジャンルのトップ5のうち、シングル売上で最も成長率が高かったのはEDMで、35.6%にも上りました。このことからEDMはただのブームにとどまらず、イベントでの動員や音楽売上というビジネス効果も高まっていると言えます。

Swedish House Mafia @Electric Daisy Carnival via Flickr

 

そんなEDM人気を支えるのはDJやミュージシャンだけではありません。そこにはプロモーション会社、マネジメント会社やエージェンシー、クラブオーナーなどの存在があります。

特徴的なのは大手レコード会社の人間の数は少ないことです。これはEDMブームがレコード会社主導ではなく、ライブイベントとアーティストマネジメントの手によって拡大しているかが、伺える結果かもしれません。

日本ではまだEDMというとクラブのDJというイメージで、世界のブームに乗り切れていない感があります。ですが、EDMは音楽業界で最も勢いのある分野で大きなビジネスチャンスの一つでもあるわけですので、日本国内のEDMアーティストや音楽が世界に出れる大きな機会と感じます。日本でEDMシーンを作り普及させるためには(どの音楽文化でも同じ事ですが)、このリストにいるようなビジネスパーソンの存在が必要不可欠になると思います。

このリストを通じて、世界規模で広がっているEDMシーンの成長を支え、EDM文化と音楽ビジネスをメインストリームに押し上げているビジネスパーソンの存在を少しでも知っていただき、EDMに興味を持っていただければ嬉しいです。

The 50 Most Powerful People in EDM 2013

(ページの最後にリストを追加しました)

 

50位. Shailendra Singh (Sunburn Festival)

– インド最大のEDMフェス「Sunburn Festival」を2007 年からオーガナイズ、Sunburnは世界の音楽フェスでトップ10にランクイン(CNN)
– スリランカでSubburn Festivalを開催し、海外展開を開始


49位. ケビン・コサツ、アンドリュー・マックイネス (Teamwork / Mad Decent)

ディプロ、A-Track、Skream & Benga、Katy Bなど有名EDMアーティストが所属するマネジメント会社Teamwork Management代表
– グラミー賞ノミネートのディプロと共同でレーベルMad Decentを設立(「Harlem Shake」などヒットを生む)

48位. トム・ポールマン (クリアチャンネル・コミュニケーションズ)

– 全米で1200局以上を運営する最大のラジオ・ネットワーク「クリア・チャンネル・コミュニケーションズ」のプログラミング・プラットフォーム担当社長
– クリア・チャンネルのオンラインラジオ「iHeartRadio」でのEDMチャンネル『Evolution』では、ピート・トン、ディプロ、  Wolfgang Gartner、ファットボーイ・スリムなど有名アーティストの番組を放送しEDMリスナーを拡大する
– iHeartRadio Music FestivalでのEDMセレクションではSwedish House Mafia, Calvin Harris, Deadmau5らを起用、ラジオとフェスでEDMをプロモートする

47位. ジェイソン・エリス (Positiva A&Rディレクター / ヴァージン・レコード A&R)

– ダンスミュージック・レーベルPositiva RecordsのA&Rディレクター、ヴァージン・レコードのA&R担当
デヴィッド・ゲッタSwedish House MafiaDeadmau5ら人気アーティストのリリースを担当する


46位. ケビン・リー、セス・コムズ、スコット・ヒックス (Sol Republic)

– 高音質高級ヘッドフォンブランド「Sol Republic」の創業者、Beats by Dr. Dreに対抗する
– ファッショナブルな高級ヘッドフォンをダンスシーン向けにプロデュース、スティーブ・アオキ、ベニー・ベナッシなどとブランド・パートナーシップを結ぶ

45位. ブレット・ロビンソン、ジェイソン・アヨウビ、マーク・ジェイムス (Future Entertainment )

– 新興市場のオーストラリアのメルボルンから始まったダンスイベント・プロモーション会社「Future Entertainment」代表、大型フェス「Future Music Festival」をオーガナイズ
– Future Music FestivalではThe ProdigyからAvicciまで新旧のアクトをヘッドライナーにブッキング
– アジア地域へも事業を拡大し、Armin van Buurenの「A State Of Trance 600 Tour」をプロデュースする

44位. リン・コスグレイヴ (Safehouse)

– EDMアーティスト・DJの英国マネジメント会社「Safehouse Management」の創業者、イビザ島で強い影響力を持ちアーティストマネジメントやイベントプロダクションを行う
– 所属アーティストでスターDJのカール・コックスとのコラボレーションで、「Ultra Music Festival」、「Stereosonic」、「Global Gathering」など大型フェスでのステージやイビザのクラブSpaceでのレジデンシーをプロデュース

43位. リズ・ミラー (Big Beat / Atlantic)

– アトランティック・レコード傘下のダンスミュージック・レーベル「Big Beat Records」の再編を託されたジェネラル・マネージャー
– Big BeatのA&Rからマーケティングまで全てを統括し、1987年に始まった老舗ダンスレーベルの再建を成功させる
– Big Beat再発進後、Skrillex, Martin Solveig, Chromeoなど大物アーティストと契約

42位. ローレンス・ヴァヴラ、マット・コロン (Deckstar)

– アメリカで最も早くダンスミュージック・アーティスト向けのマネジメント会社「Deckstar」を立ち上げる
– 人気DJ, Steve Aokiのマネージャー
– Steve Aoki, Nervo, Infected Mushroom, Holy Ghost!など大物DJ・アーティストを現在は抱える

41位. ロブ・ダ・バンク (Bestival)

– BBC Radio 1のラジオDJ、レーベルオーナー、イギリスの野外フェス「Bestival」のオーガナイザーを務める
– ワイト島で開催するBestivalでは、数々の賞を受賞
– ヘッドライナーには、エルトン・ジョンからスティービー・ワンダー、クラフトワークなど多ジャンルに渡る大物ミュージシャンをブッキング


40位. ジェイソン・ベントリー (KCRW)

– サンタモニカの人気ラジオ局「KCRW」のミュージックディレクターで、人気番組「Morning Becomes Eclectic」を担当するダンスミュージックDJ
– 90年代にはローカルイベント「bossa:nova」のオーガナイザーを務める、過去にはローカルDJからダフトパンクまでがゲストで出演
– グラミー賞の「Best Electronic/Dance Album」カテゴリーの新規設立のためのロビー活動を行った一人
– EDMビジネスの業界向けカンファレンス「EDMBiz」のホストの一人


39位. マーティン・ゴンタッド (CIE Argentina / Creamfields)

– 「南米ダンスミュージック界で最も影響力のある男」(DJ Mag)
– イギリスの超大型野外ダンスフェスCreamfieldsの海外展開をサポート、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催する「Creamfields BA」をオーガナイズする
– 1日で10万人以上を世界中から動員する大型フェスに成長させ、南米最大規模のダンスイベントを作る

38位. ぺぺ・ロセロ (Space Ibiza)


– ダンスミュージックのメッカ、イビザ島の人気クラブ「Space Ibiza」のオーナー、Space Ibizaは音楽業界から数多くの賞を受賞する


37位. リー・アンダーソン (AM Only)

– 米国のEDMアーティスト・ブッキングエージェンシー「AM Only」でSkrillexのブッキングを担当するエージェント
– Skrillexとのコラボレーションで、列車で米国東海岸を移動するツアー「Full Flex Express」を2012年に実施、ディプロやGrimes, TokiMonstaなどもツアーに参加
– Laidback Luke, Foreign Beggars, Zedd, SBTRKT, Tommy Trashなどのツアーを過去に担当する

36位. グレン・メンドリンジャー (Astralwerks)

– 米国のダンスミュージック・レーベル「Astralwerks」のジェネラルマネージャー
– Swedish House Mafia, デヴィッド・ゲッタの人気EDMアーティストをロースターに抱え、クラフトワーク、ブライアン・イーノ、ケミカル・ブラザーズ、Fatboy Slim、Royksoppなど大物アーティストの作品をリリースする
– ケミカル・ブラザーズ、Basement Jaxx、Airなど世界的に知名度の高いアーティストを90年代からサポートする



35位. デイヴ・グルトマン (LIV / Miami Marketing Group / SFX)
– EDM業界が注目する、マイアミの音楽シーンに特化した音楽マーケティング会社「Miami Marketing Group」を設立、マイアミEDMシーンのキーパーソン
– マイアミのナイトクラブを、人気アーティストやセレブを集め話題性を高めることで都市の人気アトラクションへと変え、音楽シーンを拡大させる
– Miami Marketing Group はSFXが買収する

34位. クリス・ハーン (Primary Talent) 

– ロンドンの大手ブッキングエージェント「Primary Talent International」のエージェント
– ハドソン・モホーク、Wolfgang Gartner、Tiga、Zed Dead、A-Trakら人気EDMアーティストのブッキングを担当

33位. ティム・スミス(Blood Company)
– Skrillexのマネージャーで、OWSLA、Boyz Noize、Zeddなどを抱えるアーティストマネジメント会社「Blood Company」CEO
– ロック・フェスのヘッドライナー出演から300人規模のクラブ出演を仕掛ける

32位. リカルド・アーゲル(Pacha)

– イビザ島のスーパークラブPachaの創立者
– Pachaをロンドン、ニューヨーク、ブラジルやアルゼンチンなど世界で展開するブランドへ成長させる

31位. スティーブ・グッドゴールド(Windish Agency)

– 米国のアーティストエージェンシー「Windish Agency」のエージェントでダンスミュージック担当
–  Skream、Aphex Twin、Hot Chip、Justiceらのツアーとライブを担当
– 新人アーティストを積極的に開拓、音楽ライセンス事業へ拡大するなど、エージェンシーの価値を高める

30位. デヴィッド・ルイス(David Lewis Productions)

– スーパースターDJ、Armin van Buurenのマネージャー
– トランスDJのマネジメント会社「David Lewis Productions」を設立、アムステルダム、香港、ニューヨークにオフィスを構える、米国での成長へとつなげる

29位. ジェイムズ・パルンボ(Ministry of Sound)

– ロンドンの老舗人気クラブ「Ministry of Sound」共同創業者で会長
– コンピレーション、レーベル、ネット、フランチャイズ化で、クラブを数百万ドル規模の世界的ブランドへと成長させる

28位. ステファニー・ラフェラ(Atom Empire)

– アメリカ人人気ハウスDJ、Kaskadeのマネージャーでアーティストマネジメント会社「Little Empire」代表
– ハウスミュージックDJをElectric Daisy Carnival, Ultra Music Festivalなど数多くの大型野外フェスでのヘッドライナーとして登場させメインストリームでの成功へと導く
– 過去にはレディーガガのマネジメント会社Atom Factoryのエレクトロニック音楽部門Atom Empireの代表を務める

27位. マリア・メイ(Creative Artists Agency)

– 米国の大手エージェンシー「Creative Artists Agency (CAA)」のエレクトロニック音楽担当エージェント
– デヴィッド・ゲッタ、ポール・オーケンフォルド、2many DJs、Azari & III, デビッド・モラレスなどDJやEDMアーティストのエージェントを務める

26位. ベン・ターナー(Graphite / IMS)

リッチー・ホウティンのマネージャー
– ピート・トンと共同でダンスミュージック業界向けビジネスカンファレンス「International Music Summit」をオーガナイズ
– 音楽ブランド・マーケティング会社「Graphite Media」代表
– 英国の野外フェスBestivalの共同オーガナイザー

25位. アレキサンダー・ユング(SoundCLoud)

– ベルリンの音楽共有プラットフォーム「SoundCloud」の共同創業者でCEO

24位. ギャリー・リチャーズ(HARD / ライブ・ネイション)

– アメリカのイベント・プロモーション会社「HARD Events」の代表、米国EDMイベント事業のリーダーの一人
HARD Summer Music Festival, Hard LAなど数多くのダンスミュージックイベントを主催し、オルタナティブなDJやアーティストを数多くブッキングする
– HARD Eventsはライブ・ネイションが2012年に買収

23位. アッシュ・ポウノウリ(At Night Management)

– スウェーデンのアーティストマネジメント会社「At Night Management」代表
– 世界的な人気DJ、Aviciiや新人のCazzetteなどのマネジメントを担当
– ブランドとのマーケティングと大型フェス出演で、Aviciiを短期間で米国のメインストリーム市場で成功させる

22位. デイヴ・リーン(インタースコープ・レコード)

– 大手レコード会社「インタースコープ・レコード」のA&R担当
– ヒップホップ中心のレーベルにEDMアーティストをサインする、Nero, Zedd, LMFAOなどと契約、メジャーヒットを生み出す

21位. サム・カービー(WME)

– アメリカの大手エージェンシー「William Morris Endeavor(WME)」のエージェントで音楽部門副社長
– Basement Jaxx, Fatboy Slim, Groove Armada, Crystal Methodと契約、エージェンシーのEDMアーティスト事業を拡大させる

20位. ロブ・ストリンガー(コロンビア・レコード)

コロンビア・レコードの会長兼CEO
– ダフト・パンクと契約、様々な話題づくりでアーティストの復帰作に大きな注目を集めることに成功

19位. リッチー・マクニール、ドロール・エレズ(Totem Onelove / Stereosonic)

– オーストラリアで最大のダンスミュージック・ツアーフェス「Stereosonic」のオーガナイザー
– EDM業界が注目するオーストラリア市場で最も影響力のあるプロモーター
– Swedish House Mafiaの解散ツアーをオーストラリアで開催

 

18位. シェリー・フィンケル(SFX)

– マイク・タイソン、マニー・パッキャオ、イヴェンダー・ホリフィールドら大物プロボクサーの元マネージャー
– これまでジミ・ヘンドリックス、ローリング・ストーンズ、60万人以上を動員したSummer Jamロックフェスをオーガナイズ
– イベントプロモーション会社SFXで買収部門代表を務める

17位. マシュー・アデル(Beatport)

– 5000万曲以上を取り扱う世界最大のダンスミュージック・オンラインストア「Beatport」CEO
– 音楽情報検索アプリ「Shazam」との提携、イベントプロモーション会社「SFX」による買収によってEDM界でのBeatportブランドの価値を高める
– BeatportをDJ向けのストアから、一般向けのコンテンツ・プラットフォームへのシフトを目指す

16位. マイケル・コーエン(Complete Control)

– 世界的なスターDJ Tiestoを始め, Tommy Trash, Bingo Playersなどを抱えるアーティストマネジメント会社「Complete Control Management」の代表
– 現在はPhoenix, Bloc Party, ハドソン・モホーク、Baauerを抱える「Control Music Group」と合併し、さらに幅広いアーティストの活動をサポートする
– DJ Tiestoのアメリカ進出とSNS戦略で大きな成功を収める

15位. ニール・モフィット(Angel Management Group)

– 大型ダンスフェス「Godskitchen」「Global Gathering」をオーガナイズするイベント会社「Angel Management Group」の創設者
– 米国ラスベガスでEDMイベント・ナイトクラブ事業のコンサルティングを行う
– ラスベガスのMGM Grandに7000人が収容可能な大型クラブ「Hakkasan」をオープン、DJ Tiesto、Calvin Harris, Steve AokiをレジデンスDJとして招くことに成功

14位. ノア・テッパーバーグ、ジェイソン・ストラウス(Marquee Nightclubs)

– アメリカで最も興行収益の高いラスベガスのクラブ「Marquee」共同創設者兼オーナー、年間8000万ドル以上の収益を上げる
– Marqueeブランドでニューヨークとシドニーにフランチャイズを立ち上げる

13位. エイミー・トムソン(ATM Management)

– スウェーデンのハウスユニット「Swedish House Mafiaのマネージャー
– ヨーロッパでの成長、マイアミ「Masquerade Motel」でのレジデンシー、米国での活動、大規模解散ツアーなどトリオのマーケティング戦略を統括
– 現在はシルク・ドゥ・ソレイユとのコラボレーションするラスベガスの大型ナイトクラブ「LIGHT」の音楽マーケティング・ディレクターを担当

12位. スティーブ・ウィン(Wynn Casinos)

– ラスベガス・ストリップで最も影響力の強い一人、ミラージュやベラージオなど有名ホテルを建設したことで有名
– 「Encore Beach Club」, 「Surrender」など人気ナイトクラブのオーナー
– Skrillex, デヴィッド・ゲッタ、ディプロなど大物DJ40人以上と2013年レジデンシー契約を結ぶ

11位. マーク・ギレスピー、ディーン・ウィルソン(Three Six Zero Group)

– カルヴィン・ハリス、Deadmau5をクライアントに持つ英国のアーティストマネジメント会社「Three Six Zero Group」共同創業者兼ディレクター
– ジェイZのレーベルRoc Nationと提携、カルヴィン・ハリスをリアーナとコラボレーションさせ、世界的なプロモーションでメインストリームでの成功を収める

10位. ドニー・エストピナル(Disco Donnie Presents)

– 毎年1000以上のダンスミュージック・イベントをオーガナイズするイベントプロモーション会社Disco Donnie Presentsの創業者
– イベント本数では米国最大規模
– 2012年にSFXへ売却、買収は一般メディアがEDMビジネスへ注目するキッカケとなる。

9位.ラッセル・ファイビッシュ、アダム・ラサコフ(Ultra Music Festival)

– 動員数で世界最大のEDMイベントの「Ultra Music Festivalオーガナイザー
– 独立系EDMフェスでありながら開催は週末2回に渡り、イベントは世界中から30万人以上を動員する
– アルゼンチン、ブラジル、韓国、クロアチア、イビザなど海外進出を果たす

8位. パトリック・モクスレイ(Ultra Records)

– 米国のインディーズEDMレーベル「Ultra Records」創業者、ソニーミュージック エレクトロニック音楽部門社長
– Ultra RecordsのロースターではDeadmau5, カルヴィン・ハリス, Tiesto, Steve AokiなどアーティストをEDM界トップレベルまで押し上げる
– ソニーミュージックが2013年にUltra Recordsを買収後、ソニーミュージックのダンスミュージック部門社長に昇格し、所属アーティストの流通網を拡大させる

7位. ポール・モリス(AM Only)

– アメリカのブッキングエージェンシーAM OnlyのCEO
– Skrillex,デヴィッド・ゲッタ、ティエスト、Above&Beyondなど大物からHardwell Knife Partyなど新人まで、EDM界で最も影響力あるアーティストロースターを持つ
– アメリカのトップエージェンシーの一つ「Paradigm Talent Agency」との提携を実現、テレビ、映画、広告などでEDMアーティストのマーケティングを拡大させる

6位. ピート・トン(BBC / IMS / WME)

– 英国BBC Radio1 ラジオDJ(Essential Mix, Essential Selection)で20年以上に渡りラジオからタレントを発掘し続ける
– 音楽業界向けカンファレンスInternational Music Summitを立ち上げ運営
– アメリカのトップエージェンシー「William Morris Endeavor (WME)」で エレクトロニック音楽部門のパートナーを務め、ヨーロッパアーティストの米国進出やEDMアーティストの世界展開をサポート

5位. ジョエル・ジマーマン(William Morris Endeavor Electronic)

– 米国最大のエージェンシーの一つ、ウィリアム・モリス・エンデヴァー・エンターテイメント(William Morris Endeavor 、WME)でEDM部門のトップ
– Deadmau5, Afrojack, Avicciなど人気 EDMアーティストのマネジメントやマーケティングを統括

4位. ダンカン・スタッターハイム(ID&T)

– ヨーロッパ最大のEDMイベント会社「ID&T」共同創業者でCEO
– 「Mysteryland」「 Q-Dance」「Tomorrowland」「Sensation」など大型イベントをマーケティングとソーシャルメディアによってブランドの認知拡大に成功させ動員数を伸ばす
– ID&Tを1億3000万ドルでSFXに売却、米国事業への進出を開始

3位. ジェイムス・バートン(ライブ・ネイション)

– 音楽プロモーション会社ライブ・ネイションのエレクトロニック音楽部門社長
– 英国のクラブブランド「Cream」創業者(ライブ・ネイションが買収)
– EDMアーティストの世界ツアー、イベント、ライブ事業での企業買収を担当

2位. ロバート・シラーマン(SFX)

– EDMイベント・プロモーション会社SFX Entertainmentの創業者
– 世界最大のイベント・プロモーション企業ライブ・ネイション最大のライバル、音楽フェス、クラブイベント、音楽マーケティングを手がける
– Disco Donnie Presents, Dayglow Productions, Voodoo Experience, ヨーロッパで最大のID&TなどEDMイベント会社を買収、世界最大のEDMオンラインストアBeatportを買収し、米国内でのEDM音楽イベントのプレゼンスを拡大

1位. パスクアーレ・ロテラ(Insomniac)

– ラスベガスで開催する大型EDMフェスティバル「Electric Daisy Carnival」を手がけるEDMイベント・プロモーション企業InsomniacのCEO。
– Electric Daisy Carnivalは毎年30万人以上を動員する大型イベントに拡大、地域、企業、一般音楽ファンの関心をEDMイベントに向けさせ、ビジネスへの注目を高めることに貢献
– ニューヨークやシカゴ、プエルトリコでもサテライト・エベントを開催
– ライブ・ネイションとSFXがInsomnia

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EDM業界はビジネス的にも大規模なシーンを形成しています。そしてこの流れは今年2013年にも世界的に拡大していくでしょう。今まで以上にダンスミュージック・アーティストが大きなフェスで注目されたり、世界規模で新作がプロモーションされたりアーティスト同士のコラボレーションが実現したり、テレビやウェブでのプレゼンスを高まっていくと思います。そして、シーンが広まれば音楽を届ける手段も拡大し変化していきます。EDMの周辺での音楽プロモーションやデジタルサービス、イベントでは新しいことが起きる気がします。EDMを楽しむこと可能性を感じます。

一方でDJがラップトップでプレイしているだけ、とかボタンを押しているだけのパフォーマンスとか、クラブ向けの音楽が揶揄されることも多いのもEDMです。そして大物アーティストとコラボしたリリースが増えている現状も、昔から活動しているアーティストやエレクトロニック音楽ファンの間では評判がよくないことも多々あります。しかし世界では、EDMブームに乗って新しいアーティストや音楽がエレクトロニック界隈では登場していることもあって、これは音楽シーンとしては良い傾向だと思います。そして、なによりこれまで全く注目されて来なかったエレクトロニックの分野に関心を持つ人が増えたことはEDM最大の功績で、リスナー人口が増えることは今の音楽業界にとっては重要なことです。ビジネス的、音楽的に見てもEDMは世界的に非常に興味深いジャンルで、ブームがつくる今後のエレクトロニック音楽全体に大きな可能性を感じます。

最後に、リストの50人はこのようになっていました。

1. Pasquale Rotella (Insomniac)
2. Robert F.X. Sillerman (SFX)
3. James Barton (Live Nation)
4. Duncan Stutterheim (ID&T)
5. Joel Zimmerman (WME Electronic)
6. Pete Tong (BBC/IMS/WME)
7. Paul Morris (AM Only)
8. Patrick Moxey (Ultra Records)
9. Russell Faibisch & Adam Russakoff (Ultra Music Festival)
10. Donnie Estopinal (Disco Donnie Presents)
11. Mark Gillespie & Dean Wilson (Three Six Zero Group)
12. Steve Wynn (Wynn Casinos)
13. Amy Thomson (ATM Management)
14. Noah Tepperberg & Jason Strauss (Marquee Nightclubs)
15. Neil Moffitt (Angel Management Group)
16. Michael Cohen (Complete Control)
17. Matthew Adell (Beatport)
18. Shelly Finkel (SFX)
19. Richie McNeill & Dror Erez (Totem Onelove/Stereosonic)
20. Rob Stringer (Columbia Records)
21. Sam Kirby (WME)
22. Dave Rene (Interscope)
23. Ash Pournouri (At Night Management)
24. Gary Richards (Hard/Live Nation)
25. Alexander Ljung (Soundcloud)
26. Ben Turner (Graphite/IMS)
27. Maria May (CAA)
28. Stephanie LaFera (Atom Empire)
29. James Palumbo (Ministry of Sound)
30. David Lewis (David Lewis Productions)
31. Steve Goodgold (Windish Agency)
32. Ricardo Urgell (Pacha)
33. Tim Smith (Blood Company)
34. Cris Hearn (Primary Talent)
35. Dave Grutman (LIV/Miami Marketing Group/SFX)
36. Glenn Mendlinger (Astralwerks)
37. Lee Anderson (AM Only)
38. Pepe Roselló (Space Ibiza)
39. Martin Gontad (CIE Argentina/Creamfields)
40. Jason Bentley (KCRW)
41. Rob Da Bank (Bestival)
42. Lawrence Vavra & Matt Colon (Deckstar)
43. Liz Miller (Big Beat/Atlantic)
44. Lynn Cosgrave (Safehouse)
45. Brett Robinson, Jason Ayoubi & Mark James (Future Entertainment)
46. Kevin Lee, Seth Combs & Scott Hix (SOL Republic)
47. Jason Ellis (Positiva/Virgin)
48. Tom Poleman (Clear Channel)
49. Kevin Kusatsu & Andrew McInnes (Teamwork/Mad Decent)
50. Shailendra Singh (Sunburn Festival)

ソース
The 50 Most Powerful People In EDM 2013(3/25 Inthemix)

 


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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