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シェイクスピアは作品の中で88万4,4212語の単語を使い、その中でわずか2万8829個のユニークな単語を使用していたそうです。ではもしこれがヒップホップアーティストだったらどうなるのでしょうか?

ニューヨーク在住のデザイナーでデータサイエンティストのマット。ダニエルズ(Matt Daniels)は、ヒップホップアーティストの語彙をデータで可視化してみるプロジェクトを始め、歌詞で使われた単語を分析し、85人のアーティスト別にチャート化しました。出来たのが、上の画像のチャートです。右に行けば行くほど、語彙が豊富なアーティストです。

分析方法

ダニエルズ氏はヒップホップアーティストの作品からリリース順に35000単語を分析しました。参照元はRap Genius

3万5000語はスタジオ・アルバム3−5枚分とEPほどのボリュームになるそうです。またアーティストが3万5000語に満たない場合は、そのアーティストがリリースしたミックステープも含まれます。

リサーチのベンチマークとして、シェイクスピアの作品とハーマン・メルヴィルの「白鯨」から3万5000語を分析しています。

語彙の分析には「字句解析」(Token Analysis)を使用、各単語は1回のみカウント。複数同じ単語が含まれる場合は1単語と認識。ただし分類が難しい単語(「pimpin’」と「pimpin」など)は除外。

またヒップホップグループはグループのリリースでカウント。ソロでもリリースしているアーティストは、ソロ作品のみをカウント。

アーティストそれぞれの数値が見れるインタラクティブなチャートはこちらのサイトでどうぞ。

Rapper Aesop Rock

トップ10に入ったのは、こちらのアーティスト。
1. Aesop Rock
2. GZA
3. Kool Keith
4. Canibus
5. Cunninlynguists
6. RZA
7. Wu-Tang Clan
8. The Roots
9. Ghostface Killah
10. Killah Priest

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最も顕著だったのはウータン・クラン。2位、6位、7位、9位とトップ10の中で4つを占める結果となりました。お互いが共にスタジオでレコーディングをするうちにそれぞれのボキャブラリーにも影響が出たのでしょうか。

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上はウータン・クランのアルバム5枚から、メンバーのユニークな単語を比較したチャート。右が語彙が豊富なアーティスト。つまりどれだけ各メンバーがオリジナル性あるリリックでアルバムに貢献しているかを示しています。

地域別の分類

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今度はアメリカ地域ごとに色で分けたチャートです。水色が「東海岸(イーストコースト)。赤が「西海岸(ウェストコースト)」。緑が「中西部(ミッドウェスト)」。青が「サウス(南部)」。

アベレージで最も使われた語彙が多かったのは、東海岸のアーティストで、4,804語。逆にアベレージで最も少なかったのは南部で4268語。これを見るだけでも、地域によって音楽のカルチャーや背景が違うことが見えて興味深いです。

有名アーティストは?

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ここでは知名度の高いスヌープ・ドッグ、2パック、カニエ・ウェスト、リル・ウェインの4人を見てみます。知名度の高さと語彙の豊富さは比例せず、結果4人は下位20%に沈みました。スヌープ・ドッグや2パックがこのエリアに別れることは個人的に驚きです。

語彙が豊富かそうでないかが必ずしも人気や富に結びつくわけではないところがヒップホップの世界なことがこのチャートはやんわりと示してくれます。ですがシェイクスピアよりも語彙が豊富なアーティストが存在するのもヒップホップという事実も明らかになりました。言葉だけの話になりますが、もしシェイクスピアをアートや文学として扱うのであれば、もしかしたら普段の生活の中でもヒップホップはよりアートとしてその価値が認知されてもおかしくない芸術の1つなのかもしれませんね。

ソース
The Largest Vocabulary in Hip Hop (@matthew_daniels)

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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