beatport_logo

訂正:「世界最大のEDMストアBeatport」と記していましたが、世界最大のエレクトロニックミュージック・ストアBeatport」に変更しました。@S0heighさんご指摘ありがとうございました(2014年5月27日13:30)

チャートでランクインすることは、ファンやメディア、ビジネス関係者から注目を集めるために重要であって、人気サイトの音楽チャートに入ることの影響力は計り知れません。世界最大のエレクトロニックミュージック・ストアBeatportのチャートは、エレクトロニックミュージックシーンのベンチマークでもあり、DJやプロデューサー、レーベル、プロモーター、ファンに世界規模で与える影響は、成功への大きな足がかりともなります。

しかしチャートシステムには、金で不正に操作するランキング操作を行う行為が常に存在してきました。

Beatportはこのランキング操作問題を提示し、不正行為を働くDJやプロデューサー、レーベルに対して徹底した対応をしていくことを明らかにしました。エレクトロニックミュージックで影響力の強いBeatportの強い発言は、解決に向けたアプローチへの賛否両論が議論されたりするなど、ネット上で話題になっています。

beatport_chart

Beatportは問題を明確にした上で現在どのように対策を実行しているのかについて触れて、そして不正行為を行った者に対する処分を述べています。

Beatportがブログで公開した分を全訳で掲載してみました。

どんなスタイルやジャンルでもアーティストにとって、音楽ビジネスに食い込むことは常に困難でした。DJの場合、競争が激化するためさらに難しくなります。テクノロジーのイノベーションは、ダンスミュージックを作り始めるための障害を軽減しており、同時に我々のコミュニティにおいてプレスからの関心も高まっています。その結果、多くのDJやプロデューサーは、過去に例のないほどの量の音楽を制作しています。さらなる競争が、注目を集めることを難しくしています。

音楽業界の歴史は短期で成功を収めたい詐欺師で満ち溢れています。Payola、MySpaceボット、偽イイね!、再生回数水増し、フォロワー不正購買。その他のデジタルプラットフォームと同様に、Beatportでも注目を集め「1位を獲得した」と自慢するために、チャート順位を上昇させようと不正行為を行うアーティストやレーベルが存在します。

私たちは、Beatportのチャート順位がDJのキャリアにおいて重大なインパクトを与えていることを嬉しく思います。それは、DJ達がふさわしい認知度を獲得できるようにチカラを尽くしている私たちスタッフ全員の原動力となっています。これを実現するためには、絶え間ない注意とイノベーション、そしてコミュニケーションが必要になります。過去数年に渡り、私たちは、金を受け取り見返りにBeatportのチャート順位を不正操作するサービスが増加していることに気付きました。

これに対し、私たちはチャートの動きを毎日監視しており、異常を探しています。チャート不正操作を防ぐテクノロジーを開発し向上させてきました。私たちの取り組みは常に成功する、または今後も成功するとは言い切れません。しかし日々向上していることは確かです。

もし不正に順位上昇しているレコードやトラックを見つけた場合、私たちはその楽曲をストアから排除します。次のステップとして私たちは不正行為を働いたアーティストやレーベルを永久追放します。これは冗談ではありません

私たちはこれらの不正行為が起こることを残念に思い、また強い怒りがこみ上げてきます。いわゆるランキング上昇サービスを使おうと考えている人には、結果となる代償を考えるべきと強く伝えたいです。これらの不正行為は、金銭的な損失以上に、キャリアの損失, 名誉の損失、そしてモラルの損失です。

まず初めに、もし売上を上げてチャート順位を高めるために必要な需要を不当に作ろうとするならば、あなたはあなた以上に注目に値する第三者の順位を奪っているのです。あなたがやっていることは不正行為よりも深刻です。これは窃盗行為であり、あなたは詐欺師です。実際には獲得していない名声を偽り、誰かを傷つけています。

第2に、チャート順位操作行為は滅多に成功しません。ヤラセ業者を特定できるヒントはあります。これらのヤラセ業者は口ではうまいことを言いますが、実際には私腹を肥やすために、躍起になっている意欲的なDJの弱みに付け込んでいるに過ぎません。これらの不正行為へ支払われる金は全て無駄です。

第3に、不正行為で捕まる可能性があります。不正行為が見破られることは音楽業界が最も嫌うことです。あなたは長期的に恥をかくことよりも短期の収入を選びますか?

不正行為は破壊的な悪行です。どんなに魅力的で手軽、匿名であるように見えても不正に近道を通る手法よりも、合法的かつ自然な形で勝ち取った成功ののほうがはるかにすばらしいものです。

これは決して最近起きた問題ではありませんが、Beatportが説明する通り、不快な行為です。しかしSNSによって音楽のニュースの流れが大きくなったことで、アーティストに注目を集めることが今まで以上に難しくなっていることも事実であって、その判断基準がチャートに大きく委ねられているということも問題です。Beatportのような大手サイトがスタンスを明らかにすることに大きな意味があり、今後の解決や議論に向けて重要なステップだと思います。

ソース
Beatport warns producers on why you shouldnt cheat the system(5/15 inthemix)
Cheating: The Costs and the Consequences(5/14 Beatport)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
取材、記事執筆、リサーチ、音楽ビジネスやストリーミング、海外PRに関するコンサルティングのご相談は、お問い合わせからご連絡を宜しくお願い致します。

  • プロフィール
  • お問い合わせ