この夏のローンチを目指すYouTubeのサブスクリプション型音楽ストリーミングサービスは、当分先になりそうな気配です。その強引な交渉内容がインディーズレーベルの反対を招いています。
インディーズレーベル団体を代表する業界団体Worldwide Independent Network (Win)は、YouTubeがインディーズレーベルに個別にアプローチし、交渉余地のない契約に同意するように強引に迫り、同意できなければYouTubeからコンテンツを削除すると脅していると主張しています。
Winによれば、YouTubeとの契約書は、SpotifyやRdio, Deezerなどの音楽ストリーミングサービスと比べて、レーベルのコンテンツを過小評価し、レーベルに大きく不利な内容になっているとのことです。YouTubeはすでにソニーミュージック、ワーナーミュージック、ユニバーサルミュージックの3大メジャーレコード会社とは個別にライセンス契約の交渉を行いました。
Winが代表するインディーズレーベル団体には、AimやIMPALAといった大手インディーズレーベル団体が加盟しています。
WinのCEO、アリソン・ウェナム(Alison Wenham)は、
これらの行動は不必要で弁解の余地も無く、さらに商業的に問題ある行動で、これらの行動によって起こる損失から推測するとYouTubeにとって痛手になると信じています。
とコメントしています。
22日の段階でWinはYouTubeとの間で広範囲に渡る交渉戦略についての協議を行い、WinはYouTubeに対し契約内容を撤回することを求めてきました。しかしWinによれば、まだ交渉に進展は見られていません。
Winを支持する声明文は以下の国のインディーズレーベルや業界団体からも出ており、今回の対立は世界的な広がりを見せています。
- オーストラリア
- オーストリア
- ブラジル
- カナダ
- デンマーク
- フィンランド
- フランス
- ドイツ
- イタリア
- オランダ
- ニュージーランド
- ポルトガル
- スペイン
- スウェーデン
- 韓国
- 英国
- 米国
- ベトナム
噂ではYouTubeは幾つかの国のインディーズレーベルには交渉の連絡をしていないといわれています。
新しい音楽ストリーミングサービスでは強引な交渉戦略に反対意見が浮かび上がっていますが、YouTubeはインディーズレーベルにとって、ミュージシャンとファンをつなぐ重要なプラットフォームであることには変わりません。
【関連記事】
・YouTubeのサブスク音楽サービス「Music Pass」は今夏開始、グーグルが準備中?
・YouTubeが音楽業界への貢献を主張:「過去数年間で10億ドル以上を支払ってきた」
ここで言われている強引すぎる契約内容は分かっていませんが、SpotifyやRdioとの交渉でインディーズレーベルがここまで声を上げることがなかったことを考えると、考えられることは 1)ものすごく不利益、2)インディーズレーベルの交渉術が上がった(SpotifyやRdioなどとの経験から)。広告ビジネスのYouTubeとグーグルが音楽ビジネスを本気で改革しようと思っているとは考えにくいが、このままだとYouTubeのサブスクリプション型音楽サービスはメジャーなアーティストしか見れないクールじゃないサービスで始まりそうです。
ソース
Talks with indie labels stall over YouTube music subscription service (5/23 The Guardian)