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アップルがBeatsの30億ドル(約3000億円)での買収を発表しました。この買収は、アップルがヘッドフォン、定額制音楽配信といったビジネスに参入する可能性を広げただけでなく、ジミー・アイオヴィンとドクター・ドレーの音楽業界に多大な影響力を持つ2人のビジョナリーを迎えることに成功しました。

この二人が同時にアップルに来ることは、音楽業界にとって革命的なことです。

米音楽業界紙ビルボードは買収発表後に、レコード会社や音楽サービス、作曲家団体など業界のキーパーソンにアップル・Beatsについて取材を行いました。はたして音楽ビジネスの最前線で活躍するビジョンを持ったビジネスパーソンは、この買収をどう見ているのが、彼らのコメントをご紹介します。

ソニーミュージックCEO兼会長ドッグ・モリス(Doug Morris):ジミー・アイオヴィンの元上司でユニバーサルミュージックCEO時代にBeats創業を認めた

この組み合わせは、音楽ビジネスとテクノロジーの橋渡しとなるだろう。アップルは賢い。そしてこの業界の未来である音楽ストリーミングの成功を加速させる。ティム・クックとエディー・キューは賞賛に値する。大勢の人は、今回の買収を理解することさえできないだろう。アップルは、この業界で、既成概念にとらわれずに物事を考えられる、非常に独創的な人の1人を手に入れたと思う。もしスティーブ(・ジョブズ)はこの買収を嬉しく思うだろうね。

スクーター・ブラウン(SB Productions):ジャスティン・ビーバー、カーリー・レイ・ジェプセン、アリアナ・グランデ、Martin Gaarrixらのマネージャー

僕たちは、自分たちがいるこの業界がマルチメディア・ビジネスそしてブランディング・ビジネスに進化する様子を見ている。音楽が全ての始まりで、音楽が共通言語であるため、伝播することが可能なんだ。ジミー・アイオヴィンは、常にパイオニアであり、今回もまた僕たちは彼と音楽がどう文化に影響を与えるかを目の当たりにしている。この買収はそれを象徴するものであり、僕はジミーがもう一度基準を押し上げて、僕みたいな若者がもっと高いレベルに行けるように刺激を与えてくれたことを称賛する。

人々は音楽をいろいろな方法で消費することが好きで、音楽ストリーミングが好きな人でも音楽を購入することもあるが、人は一つの方法で音楽を消費することはない。ラジオで新曲を見つけた人は、雑誌で新しい音楽を見つけた人や、音楽ストリーミングで見つけた人、iTunesから見つけた人とは、全く違うものになる。最終的には人々が変化に順応することは素晴らしいと思うし、私たちが目撃しているものは、この業界が半死状態じゃなく、変化している業界だということを証明していると思う。

ダニエル・エク:Spotify のCEO

僕はいつもアップルがいつか音楽ストリーミングをサービス提供すると思ってきた。しかし我々は最高の製品を開発することに注力していて、結構満足している。ユーザーは本当に最高の製品か、ただセット売りされているものかの違いを理解できる。有料会員数1000万人はその良い兆候だ。我々はマーケットシェアを狙って戦っているわけじゃない。音楽業界はあるべき姿と比べたら、まだまだ小さい。イギリスでは、音楽ストリーミングが全体のシェアを成長させている。

(先週行われたBillboardとのQ&Aから)

トム・シルバーマン:Tommy Boy Records CEO

2つのストーリーがある。音楽サブスクリプションが健全で持続性ある音楽のカギで、アップルのこの領域への参入は最終的にはアーティストと投資家にとって、今までの音楽売上なんかよりはるかに大きい収益を生み出すことになるだろう。もう一つのストーリーは、音質の話だ。アナログレコードは今年37%成長している。その一方でその他の音楽フォーマットは二桁台で売上が減っている。これはMP3よりも良い音質で音楽を体験したい人が増えているサインだ。ニール・ヤングの記録破りなKickstarterキャンペーンが、高音質オーディオへの関心復活を促進してくれた。アップルは昨年売上10億ドルのBeats Electronicsを買収したことは、人がイヤホンではも優れた体験を求めている証拠だ。ただ音楽を聴くだけではもはや満足できなくなった。これは、ハイレゾ音楽ファイルやイヤホンやスピーカーなどより高音質な音楽再生デバイスといった高音質化に向けた動きの始まりだ。アップルがBeats買収でこのムーブメントを牽引するリーダーになるだろう。

ポール・スプリンガー:Rhapsody チーフ・プロダクト・オフィサー、アメリカ担当上級副社長

長い間Rhapsodyは手頃な価格での無制限の音楽配信のリーダーでした。私たちはこのアイデアに基いて世界第2位の音楽サブスクリプション・ビジネスを構築してきました。よりお大勢の人にどんな音楽でもいつでもどこでも楽しめる方を紹介することで、この領域を成長させる分岐点にいる。

マーク・マリガン:MiDia Consulting共同創業者、コンサルタント

これまで誰もがティム・クックはスティーブ・ジョブズの影から抜け出せないと言ってきた。今回の買収はティム・クックが「私は事業を全く違う方向に舵取りするほど大胆で勇気があるだろう」といっているようなものです。スティーブ・ジョブズのやり方とは違います。

サブ・ブランドをアップル社内で運営するような動きは、アップルはこれまで行なってきませんでした。アップルは非常に多くのことが出来ると思っています。2社は品質という意味合いをもつ向上心が強いブランドです。アップルのブランドと顧客ベースが歳を取ったということに疑いの余地もありません。ブランドを再び活性化するチャンスです。

ジェフ・ラーハン:ニューヨーク大学 Tisch School of the Arts学長

Beats買収は、強化されたiTunesのようだ。PRの観点からしてみれば、アップルにとても現代的なイメージを植え付けた。アップルはそれをとても欲しがっていた。音楽は長年ジミー (・アイオヴィン)のプラットフォームであり、彼のアーティストとのつながりは強大である一方で、この買収で彼は今までとは違う多くのクリエイティブで革新的なことができるようになり、アップルの建築家になるだろう。

ソース
Doug Morris, Scooter Braun, Daniel Ek, More on the Apple-Beats Deal(5/28 Billboard)

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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