アップルは、日本時間9日に発表するとみられる新しい定額制音楽ストリーミングサービスの交渉を数日前となった今でも行っているとブルームバーグが伝えています。

アップルの配信ライセンスを巡る交渉では、レコード会社が定額制音楽ストリーミングで最大手の「Spotify」と結んでいるロイヤリティ分配額をさらに上回る取り分を望んでいることから、同意に至らずにいると関係者は明らかにしています。アップルは日本時間9日に開発者向けの大規模イベント「WWDC」をサンフランシスコで開催する予定で、その前に交渉の決着を付けたいと考えているようです。

ブルームバーグは関係者の話として、Spotifyの月額9.99ドルの有料プランの売上から55%を受け取っていると言われ (音楽パブリッシャーは15%)、アップルとの交渉でレコード会社は60%近くに引き上げたレートを望んでいると、伝えています。

現在アクティブユーザー数6000万人以上のSpotifyでは、その内の25%、1500万人が月額9.99ドルの有料プラン利用者です。つまり75%はフリーサービスのユーザーとなっているのが現状で、Spotifyはフリーサービスから有料サービスへの移行率を高めて収益化を狙っています。

一方でアップルが発表すると言われる定額制音楽ストリーミング「Apple Music」は、昨年買収したBeats Musicをベースにした有料プランのみのサービスになるとすでに報道されています。

進化したMusicアプリ

関係者によれば、新しい音楽アプリは音楽ストリーミング、ダウンロード、そして改良された無料のラジオサービスiTunes Radioを連携させたハブの役割になると言われています。そしてこの中には、人気アーティストの先行リリースや音楽PVが配信されるなど、これまでのiTunesとは違ったコンテンツを楽しめる内容にアプリが進化しています。

アプリでは、「Apple Connect」と呼ばれるアーティスト向けのプログラムが用意され、アーティストが個別のページを開設できる無料の機能が新たに追加される予定です。この中でアーティストたちは、曲を無料でファンに提供出来たり、動画を配信する機能があり、iTunesの「今週のシングル」と同じこができるようになります。

ソース
Apple’s Pushing to Complete Streaming Music Deal Before Event (Bloomberg)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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