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SpotifyやApple Musicの勢いを受けて、世界でメディアに話題を振りまいている定額制音楽配信。まもなく発表が予定されるアップルの新型デバイス「iPhone 7 / 7 Plus」には、イヤホンジャックが排除されLightningケーブルでのオーディオ接続に置き換える大きな設定変更が予想され、さらには新機能を搭載したApple Musicが登場すると言われているため、音楽業界にとっても大きな一日になることが予想されています。

そんな中、アップルのイベント当日に新しい定額制音楽サービスを発表すると噂されていたのは、米国最大のラジオ型音楽配信の「Pandora」。CEOのティム・ウェスターグレン(Tim Westergren)は、現地時間7日にニューヨークで開催される、ビジネスカンファレンス「CITI Global Technology Conference」に登場する予定で、その場で定額制音楽配信への参入と新サービスの発表を行う予定だったと言われています。

しかしRecodeによれば、Pandoraの発表は行われないことが決定した模様。その理由は、Pandoraが未だにレーベルと定額配信のライセンス契約で完全合意に至っていないためと思われます。

Pandoraが狙うは、今秋に定額制音楽サービスを始め、Apple MusicやSpotifyと直接競争を挑む大きな戦略の転換です。これまで主に無料のラジオ型音楽配信で米国トップの座を勝ち取ったPandoraですが、定額制音楽配信の勢いに負け、ユーザー獲得に成長の目処が立っていません。Pandora創業者が経営に再度加わり内部から見直し始め、チケット販売サービスの買収などビジネスの多角化を図っている一方で、Sirius XMによる買収の噂も浮上しています。

Pandoraのs人サービスは、月額10ドルのフルアクセスの聴き放題と、無料のラジオ視聴に更なるオプションを加えた月額5ドルのプランと2通りが用意されると言われています。ただアップルの発表会と同日発表で、彼らを勝るほどニュースのヘッドラインが取れる企業が地球上にどれほどあるのか。そう考えるとウェスターグレンが中止を決断したタイミングは、Pandoraにとってプラスに働くかもしれませんね。

ソース
Pandora won’t announce its new music services tomorrow (Recode)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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