Apple Musicはアーティストやレーベル、マネージャーが音楽マーケティングに活用できる再生データと解析ツール「Apple Music for Artists」を提供することが明らかになりました。

「Apple Music for Artists」は、2015年以降に再生された楽曲データを基に、楽曲再生数やダウンロード購入数など、より深く楽曲データを解析するためのダッシュボード形式のツールです。過去24時間から数年単位でデータを遡ってリスナーの視聴傾向を分析できるこのツールは、音楽ストリーミングサービスでのプロモーション活動を広げたいApple Musicの新しい取り組みです。Billboardが詳細な情報をいち早く公開しています。

すでに数千以上のアーティストにベータ版が提供済みで、今春にはApple MusicとiTunesでコンテンツを配信するアーティストに解放される予定となっています。

「Apple Music for Artists」では、世界各地のApple MusicとiTunesの中でどの国と都市のリスナーが再生し楽曲を購入したかを把握できるマッピング機能や、各都市別の売上トップの楽曲を把握できるランキング情報が提供されます。さらにApple Musicがキュレーションするプレイリストに追加された回数や、どのプレイリストに追加されたか、プレイリストが成長する推移までのデータを把握できます。

提供が増える音楽データ解析ツール

これまで定額制音楽ストリーミングサービスでアーティスト向けのデータ解析ツールを提供してきた代表格は、SpotifyやYouTube、Pandoraなどがあります。特にSpotifyはいち早く再生データの音楽マーケティングへの活用に意欲的な姿勢を見せ、「Spotify for Artists」を公開し、2017年にはモバイルアプリの提供など、アーティストへのデータ開示に積極的です。

またPandoraも音楽データ解析サービス「Next Big Sound」を買収して、再生数のデータ化と分析ツールをアーティストやレーベルに提供するツール「Pandora AMP」などを開発。YouTubeもアーティストや権利関係者が再生回数データを詳細に把握する「YouTube for Artists」を提供するなど、音楽プラットフォームが再生回数情報を開示していくことで、グレーゾーンと考えられている音楽ストリーミングからの収益モデルを透明化して、よりアーティストに優しいプラットフォームを作ろうとする動きを推進する流れがあります。Apple Music for Artistsの登場は、音楽プラットフォームとアーティストとの関係をより透明にしていくためのステップです。

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特に世界で巨大なプラットフォームが提供する再生データの解析は、新人アーティストやレーベルの支援を持たないインディペンデント・アーティストと彼らを支援するチームにとって、マーケットリサーチのツールとして活用でき、プロモーションやグッズ販売のマーケティング戦略や、どの都市でライブを行うか、どのプレイリストを狙うかなどの海外戦略を効率良く立てる上での貴重なデータになっていくはずです。

音楽データ解析のトレンドはすでに海外でデジタル志向の強いアーティストやレーベルに当たり前になっている感があるが、2018年の日本の音楽業界でも音楽データと分析は、一つのトレンドになることに期待したいです。

ソース

Apple Bows Apple Music For Artists to Provide Acts With Deep Analytics Dive: Exclusive (Billboard)
Apple Music now offers artists detailed streaming and download info (Engadget)

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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