ソーシャル音楽シェアサイト「SoundCloud」(サウンドクラウド)が、間もなく大型ベンチャー・キャピタリストから資金調達するとAll Things DのPeter Kafka (@pkafka)がレポートしている。
情報ソースによると、Index VentureとUnion Square Venturesが調達ラウンドをリードし、ベルリンに本拠地を置くSoundCloudに「大規模」な投資が行われている(規模は未定)。設立3年目のこの企業は2009年にDoughty Hanson Technology Venturesから330万ドルを調達しており、これまでも投資家達はこぞって出資しようとしていた。[下にベンチャー・キャピタルの紹介を加えました]
いったい何がSoundCloudを魅力的にしているのか?
それはSoundCloudがメジャーレコード会社に依存せず、プロアマのミュージシャン達が彼らの音楽をユーザー同士、そしてネット全体でシェアできるクラウドベースの仕組みを提供しているところだ。
SoundCloud上にアップされた音楽ファイルは、専用ウィジェットやAPI、アプリ、サービス、Facebookやアップル iPadなどサービスやデバイスを通じウェブ上で自由に共有することが可能になる。音楽ストリーミングサービスのSpotifyにもアップすることが可能だ。
[このように貼り付けができます]
サービスはフリミアムモデルを採用しており、ユーザーは大部分の機能を無料で利用できる。年間700ドルで追加の機能とストレージ量が利用できる。(注:メンバーシップは無料会員を含め5段階ある)
SoundCloudはメジャーから怒りの矛先を向けられることなく、100万ユーザーを獲得した。
@pkafka によると、SoundCloudはAudible Magicの指紋法認証技術を採用する予定で、これにより著作権オーナーは(違法アップロードされた)コンテンツを容易に削除することができる。(注:Audible Magicの技術はメジャーレコード会社から、Veoh、Dailymotion、myspaceなどソーシャルメディアサイトも採用)
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SoundCloudは音楽のプロモーションにおいても、ホスティングにおいてもすばらしいプラットフォームだ。使い方はLifehackerさんのポスト「「SoundCloud」で新しくてフリーな音楽を発掘、共有」が詳しく紹介していますので割愛しますが、音楽を視聴する以外での面白い機能を紹介します。
SoundCloudではユーザー間の結び付に大きく焦点が当てられている。メンバー同士でフォローしたりメッセージを送れる機能が付いており、またユーザーが楽曲に残したコメントに直接リプライすることも可能だ。さらに楽曲をコンタクトリスト宛に送れる機能や、ユーザーのアクセス解析機能も充実しているので、独立系レーベルやアーティスト、DJはプロモーション効果を測定することが出来る。
楽曲はシングル単位、アルバム単位で手軽にブログやサイトに貼り付けることができ、ユーザーはオーディオプレーヤー内からコメントを残すことができる。またプレーヤーから直接ショップサイトに飛んで高品質デジタル音源やCDを買う事も可能。
またオンライン音楽ニュースサイトのPitchfork Mediaや雑誌ローリング・ストーン、ダンス系ニュースサイトのResident Advisorは新譜を紹介する時はSoundCloudからの音源をサイト上に貼りつけている。さらに、これまではiTunes経由だったポッドキャストにおいてもユーザーがコメントできたり共有できることから、SoundCloudを使い始めた番組も出始め、従来のオンラインコンテンツにより一層厚みを加えてくれる。
ソーシャルな音楽サイトと言えば、これまでMySpaceの独断場だった。しかし、Myspaceは音楽サイトとSNSとしての機能が乏しい。アーティストとのコミュニケーションの場として使えるが、好きな曲やアルバムでユーザー同士がつながることは難しい。SoundCloudサイトでは、個人ページのカスタマイズや他ソーシャルメディアとの連携などの機能は提供されていない。あるのはユーザー同士のより良い共有体験だけだ。その意味では写真共有のFlickrに似ていて、利用の自由度が高い。
アーティストから音楽ビジネス関係者までが集まるサービス、SoundCloudはコミュニケーションを変える力をユーザーに持たせてくれる。YouTube動画を簡単にブログに貼りつけて、ビジュアルなコミュニケーションが可能になったように、SoundCloudも音楽でつながるコミュニケーションを可能にしている。オンライン音源を聞くだけだった世界から、共有し共感できる世界に、音楽環境もまた次のステージに変わりつつあります。
ここで上記のベンチャー・キャピタルをご紹介。
Index Ventureはスイスに拠点を置くテクノロジー分野の投資を専門にするベンチャー・キャピタリスト。オフィスをヨーロッパに置きながら、非常にシリコンバレーと強いつながりを持つ。これまでには、Skype、Foursquare、Etsyなどに投資しています。またLast.fmにいち早く投資したり、Songkick、Listen.com (リアル・ネットワークが買収)など音楽・メディアサービスへの出資、Exitの経験を有する。
Union Square VenturesはNYCに拠点を置き、ウェブサービス企業へ投資するVCで、近年はTwitter、Tumblr、Foursquare、Zyngaなどソーシャルメディア企業への投資に注力している。ここのパートナーのFred Wilson (@fredwilson) は著名ブロガーとしても知られている。(A VC Blog)
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