米国TV局CBSでデジタルトレンドを追いかけるTV番組「What’s Trending」(@WhatsTrending)が7月26日に放送した番組で、「ソーシャル音楽 (Social Music)」の特集がありました。全国ネットワークでオンラインサービスが特集されることも驚きですが、ソーシャルな音楽サービスという極めてニッチなジャンルを取り上げたことが最も大きな驚きで、米国メディアの好奇心の高さに改めて感服しました。(日本でも特集されないかな?)
その番組内で、クリエイティブ・マーケティング/デザイン会社のColumn Five Mediaが手掛けた、音楽ストリーミングサービスの現状を示した素晴らしい動画『Social Music Revolution』(ソーシャル・ミュージック・レボリューション)がフィーチャーされたのでご紹介です。
image via BMI
動画ではTurntable.fmやSpotifyなど、Myspace以降のソーシャルな音楽サービスとトレンドを紹介してくれます。内容は英語ですが、分かりやすいクールなグラフィック(Column Five Mediaはインフォグラフィックデザインの専門家でもあります)と、具体的な数値が入っているので、元ネタ(と思われる)「ソーシャルメディア・レボリューション」と同様で理解しやすいです。以下は解説の抄訳です。
What’s Trending Social Music from Chase Ogden on Vimeo.
– 現在、新しいオンライン音楽の時代が幕を開け、音楽ストリーミングが音楽ダウンロードに代わってユーザーの音楽体験を実現している– ユーザーはレコード、CD、mp3ファイルを所有することよりも、無制限に近い音楽にアクセスできるほうが価値が高いと感じている
– 音楽ストリーミングサービスは目新しくはなく、Last.fmはナップスターの時代から存在していた– 従来との違いは、音楽ストリーミングにソーシャル性が追加されたこと– これまでアーティストはMyspaceなどのサイトにPRしたい楽曲をアップしてきたが、ファンがアーティストの楽曲を友人に教えたい時は、直接相手にmyspaceページのリンクを伝えることしかできなかった– 2008年に登場した「SoundCloud」は、アーティストによる楽曲のアップロードや、ファンがブログに埋め込んだり、SNSで共有できたり、インタラクティブなコメント投稿の機能を実現した
image via Wired
– リアルタイムなソーシャル音楽体験を楽しみたいユーザーは、2011年に開始した「Turntable.fm」に集まり、早くも371,000人の月間アクティブユーザーを獲得している。
– ソーシャル音楽の分野で最も大きなニュースは、2008年に欧州で開始したクラウドベースの音楽ストリーミングサービスの「Spotify」で、最近米国サービスを開始した– SpotifyはPandoraのようにフリーだが選曲が出来て、Groovesharkのようにストリームしてくれるが再生にバッファがないため曲間の遅滞がない– Spotifyはフリーだが、全機能を利用するには、有料会員になる必要がある– ヨーロッパでは会員数1,000万人を抱え、160万人が有料会員になっている– 米国での競合サービス「Rhapsody」は2001年から存在しているにもかかわらず、80万人の有料会員しかおらず、フリーのサービスも提供されていない– 米連邦議会は著作権のあるコンテンツの違法ストリーミング配信は最大5年の懲役に相当する重罪とする法案を検討しており(Commercial Felony Streaming Act)、Spotifyの米国上陸は音楽ファンにとって、これ以上ない良いタイミング– もしSpotifyのビジネスモデルが成立するなら、違法音楽ストリーミングは衰退し、処罰に怯える必要がなくなれば、もっと音楽を楽しめるでしょう
このような内容が全国メディアで取り上げられるとは、米国の音楽ビジネスがiTunesやアマゾンに対抗してストリーミング、ソーシャル音楽の盛り上がりに期待していることを実感できます。これからもメディアで取り上げられる機会は増えていき、テクノロジーが主眼ではなくソーシャルな音楽体験に共感する人が増えていくことを予感させます。
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