(追記:エイゾフの経歴で、Tadd IgarashiさんからFBページでご指摘をいただき、訂正いたしました。「その後アーティスト・マネジメント会社Front Line Managementを設立」 と記しましたが、正しいキャリアは、アーティスト・マネジャー業から始まり、Front Line Management設立年は1974年でした。今回辞職したFront Line Management Groupは2005年に新たに設立したマネジメント・グループ会社です。お詫びして訂正いたします!)
音楽業界で最も影響力のあるビジネスパーソンの一人である、ライブ・ネイションの会長アーヴィン・エイゾフ (Irving Azoff)が同職を辞任することを発表しました。
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エイゾフはまたライブ・ネイション傘下で250人以上の大物アーティストを抱えるマネジメント会社Front Line Management GroupのCEO職も同時に辞任します。
同時に、エイゾフは自身のライブ・ネイション持株170万株をアメリカのメディア会社Liberty Media (リバティメディア)に売却、これによりLiberty Mediaの出資比率は26.4%へと増加します。
世界最大のコンサートプロモーション企業で、マドンナやU2、ジェイZら大物アーティストと「360度契約」を交わすライブ・ネイションは今後、代表取締役社長兼CEOのマイケル・ラピーノが同社の指揮を取ると発表しています。
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エイゾフは、1974年にイーグルスのマネジメントを開始し、アーティスト・マネジメント会社Front Line Managementを設立、バンドを成功へと導くと同時に業界での知名度を高めます。80年代にMCAレコードのトップを務めますが、その後2005年には活動の中心であるマネジメント事業をFront Line Management Groupとして統合し、CEO職を務めていました。Front Line Management Groupは2008年にチケット販売の大手Ticketmasterが買収、エイゾフはTicketmasterのCEOへと就任します。その後、世界最大規模のコンサートプロモーション企業のライブ・ネイションが2010年にTicketmasterを買収、エイゾフは2011年2月に会長へと就任します。
情報ソースによれば、エイゾフは現在彼自身がマネジメントするアーティストは、自身のマネジメント会社を通じて今後も携わっていくとのこと。エイゾフがマネジメントを務めるアーティストは、イーグルス、ヴァン・ヘレン、クリスティーナ・アギレラなど、大物スターが揃っています。将来、大物アーティストがエイゾフを追い、ライブ・ネイションのマネジメントを離れるようなことがあれば、同社にとっては大打撃になることが予想されます。
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ライブ・ネイションは、Ticketmasterとの合併後、事業の世界展開、アーティストの海外ツアー、各国のイベント・プロモーターとの提携に注力しています。日本でも昨年、SUMMER SONICを手がけるクリエイティブマンと提携し合弁会社『LIVE NATION JAPAN』を設立し、日本での興行を強化しています。
今後気になるのは、業界ベテランで大きなチカラを持つエイゾフの動きと、株式を買収したLiberty Mediaが今後比率を高め大株主となるのかどうか。今や世界規模となったライブ・ネイションの事業が短期で変わることは考えにくいですが、場合によっては、ライブ・ネイションの事業再編や他企業の合併が起こることで、巨大化したコンサート業界の競争が活性化する可能性があります。個人的には、ライブ・ネイションは非上場企業になったほうがいいと思います。。。
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Liberty MediaはStarz等テレビ関連が大きな事業でしたが、音楽ビジネスにも関心を高めつつあります。Liberty Mediaが投資する主な企業は、以下になります。特に音楽ビジネス関係では、ライブ・ネイションの他に、インターネットラジオ局のSirius XM (シリウスXM)の最大株主でもあります。
Associated Partners, L.P.
Barnes and Noble Inc.
Kroenke Arena Company LLC.
Live Nation Entertainment Inc.
Mobile Streams Plc
Sirius XM Radio Inc.
Time Warner Inc.
Viacom Inc.
最後まで読んでいただきありがとうございました。