米国でユーザー数最大を誇るネットラジオ「Pandoraが、第2四半期決算を発表した。

四半期の売上高は前年同期55%増で1億5740万ドル(約155億3223万円)となった。広告からの収入は1億2850万ドルで、前年比44%増加した。しかし最終損益は780万ドルの赤字を計上した。

数値的にはPandoraの視聴時間やアクティブユーザー数は前年から確実に伸びているが、先行きは怪しい。例えば、視聴時間を見ると前期から大きく数値が減少している。つまりユーザーがPandoraを聴く時間が減っている。さらにPandoraはいまだ赤字経営を続けている。

米国最大のネットラジオPandora、第1四半期は2860万ドルの赤字計上、モバイル事業が好調

Non-GAAP方式では、売上高が60%増の1億6200万ドル、サブスクリプションの収益は470万ドル、モバイルからの広告収入は1億1600万ドルで、前年同期から92%と大きくアップした。モバイルは収益の73.7%を占めている。

純損失は43.8%増加し、780万ドルに拡大した。営業損失も44%拡大し760万ドルとなっている。

四半期にPandoraが計上したコンテンツ獲得コスト=ロイヤリティ支払い料を含むコストは8190万ドルで、収益の52%に上る。これは過去2年間で最も低い額となっている。

四半期のトータル視聴時間は38億8000万時間となり、前年同期の33億時間から18%アップした。

Pandoraによれば、アクティブユーザー数は7120万人で前年同期から30%アップしている。また2013年7月の全米ラジオ市場シェアでPandoraは7.08%となっており、こちらも拡大した。

PandoraのCEOで会長のジョー・ケネディは、「Pandoraの大きなモバイル分野での成長(92%)は、Pandoraのビジネスモデルが大きな影響力を持つことを示している。将来的な成長を促進するため、我々は新しいテクノロジー、チャネル開拓、Pandoraが提供する価値を最大化する可能性へ今後も投資を加速させていく」とコメントしている。

Pandora 第2四半期決算

・売上高:1億5740万ドル(non-GAAP方式:1億6200万ドル)
・損益:780万ドル
・広告売上:1億2850万ドル
・モバイル広告売上高:1億1600万ドル
・コンテンツ獲得コスト:8190万ドル
・視聴時間:38億8000万時間
・アクティブユーザー数:7120万人
・RPM(Revenue Per Thousand Listener Hours):33.90ドル

Pandora Reports Record 2Q14 Financial Results(発表資料)

Pandoraとは?

米国で最大のネットラジオ「Pandora Radio」は、アメリカでウェブ、モバイルリスナー向けに無料のパーソナライズド・ラジオ・サービスを提供します。

Pandora最大の特徴は、独自の音楽解析システム「Music Genome」を活用したパーソナリゼーション機能です。Music Genomeは音楽学者やアーティストなどプロフェッショナルが、各楽曲のテンポやハーモニーなど特徴を直接分析したデータベースで、このデータを元にユーザーの趣味嗜好に合わせた最適な楽曲をレコメンドする仕組みです。ユーザーはPandoraをブラウザ、iOSやAndroidなどモバイルアプリ、XboxやPlayStation, 自動車の車載インフォテイメント・システムなど、幅広いプラットフォームで利用することができます。ですがPandoraが利用できる国は現在米国とオーストラリア、ニュージーランドに限定されます。

これまで市場で地位を確立してきたPandoraですが、Appleが来月から開始すると言われる音楽ストリーミングサービス「iTunes Radio」によってユーザーを大きく奪われる可能性もあります。Appleがモバイル市場にどのような影響を及ぼすかで、Pandoraのビジネスが大きく変わるかもしれません。アメリカのモバイル音楽市場の今後に注目していきたいです。

ソース
Pandora Revenue Beats The Street, Grows 58% To $162M For Its Last Quarter Before iTunes Radio(8/22 TechCrunch)
Pandora Reports Record 2Q14 Financial Results(8/22 Pandora)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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